Sturm~嵐(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

2時間、真尋はびっしりとピアノを弾いた。



そしてその時間と同じだけの驚きを3人は抱いた。




「あの、」


志藤は南を引っ張ってシェーンベルグに歩み寄った。


彼女に通訳させて



「・・・お願いします。 お話を。 聞かせてください。 お願いします、」


志藤は必死にシェーンベルグに頼んだ。


いったい彼が何を考えているのか、どうしても聞きたかった。




絵梨沙と真尋は帰って行った。



そしてレッスンスタジオには3人が残った。



シェーンベルグは大好きなミルクがいっぱい入ったコーヒーを飲みながら



「あんたはあいつのボスとして。 わしにあいつを任せたことを後悔しているだろう、」


いきなり見透かしたように言って来た。



「いえ・・・。 後悔は・・していませんが。 真尋を・・どうするつもりですか。」


志藤は意を決して厳しい表情で言った。



「あんたは。 素人じゃないんだろう?」


「いちおう。 日本の音大の指揮科を首席で卒業しました。  真尋は最初に会った時から、ぼくはこいつを絶対に世界に出したいって思っていました。」


力を込める彼に


「だったら。 このままあいつがあのスタイルでピアノを続けて行って、どこまで行けると思っていた?」



逆に質問された。



「・・それは・・・。」


「小さなコンサートで弾くとか? ピアノバーのピアニスト? まあ、よくて・・・あんたらのオケで競演させる?」


シェーンベルグはニヤっと笑った。



「世界に出したいって・・・。 そんなに甘くないだろう。 ヤツはコンクールが嫌いで出てこなかった。 それは自分のピアノを他人に評価を受けることが、許せなかったんだろう。 バカなくせにプライドだけは高い。 そのバカなプライドを一度粉々にしてやりたかった。」



「え・・・」



「それをぶっこわさないと。 本当の世界には出れない。」



そしてきっぱりと言った。



怖いほどの目だった。




「今までは適当に弾いてて、あれだけのモンが弾けるんだ。 ちゃんとやったらどんだけになるか、あんたもわかるだろう。」



口うるさくてたまらないと真尋は彼のことを文句言っていたのに


この人は誰よりも真尋の実力を見抜いていた。



確かに


真尋が『適当』に弾いていたことは否定できない。


『適当』という言葉がふさわしくない気がするが、その適度に力の抜けた自由さが真尋の魅力だった。



それは


危うさと表裏一体だった・・・。




巨匠は真尋を世界に通用するピアニストに育てようとしていました。志藤は軽いショックを覚えて・・・



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