Sturm~嵐(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「先生??」


真尋は彼の身体をゆっくりと揺すった。



「・・・ん・・・」


苦しそうな声を出す彼を不審に思い、額に触れた。



「え! 熱あるって! どーしたんだよ・・・」



「・・うるさいな・・・。 なんでもない、」


咳をしながらのっそりと起き上がった。



「なんでもなくねーだろ・・・。 医者に行かなくちゃ、」


「だから・・・放っておけ、」


鬱陶しそうに彼の手を払った。



「その年なんだからムリしたら大変なことになるだろーが! 強がってる場合か!」



真尋は慌てて彼を抱えて起こした。



彼がいつも掛かっている病院におぶって連れて行った。



「また先生は無理をして・・・」


医師は診察をしながらため息をついた。


「風邪ですか?」


真尋が訊くと


「まあ、そうだね。 大事をとって今日はここに入院させるよ、」


医師はニッコリ笑って言った。



「わしは入院なんかしないぞ!」


まだそんなことを言っているシェーンベルグに


「先生。 くれぐれもムリはしないようにって言ったでしょ。 約束を守れないのなら・・・。 娘さんのところに連絡しますよ、」


医師のその一言でおとなしくなった。




彼が別室に連れて行かれたあと、医師は真尋に



「きみは? 学生?」


と聞いてきた。


「えっと・・学生じゃないんですけど。 今、先生のトコでレッスンを受けてて・・・」


そう答えると医師は少し驚いて



「え、先生はもうピアノを教えるのはやめるって言ってたけど、」



と言った。


「え、ほんとですか?」


「2年前にちょっと大病をしてね。 あまりムリができないから。 娘さんはザルツブルグに住んでいるんだけど、何度も一緒に住むようにって彼女からも言われているのに・・承知しなくて。今はひとり暮らしだよ。」


「そうだったんですか・・・・」


「てことは。 よっぽどきみにご執心なんだなあ。」


医師は笑った。



「はあ?」


全くそうは思えなかったので、首を捻った。


「今回は肺炎も起こしていないし、大丈夫そうだけど。 念のため1日~2日入院して検査するから。」


医師はそう言って真尋の肩をポンポンと叩いた。




無理しちゃって。



真尋はそのまま病院のベッドで眠りこむシェーンベルグを見た。



この年で。


ひとりで住んでんだ。



もうレッスンはつけてないって言ってたけど。


おれが来る前はどうして過ごしていたんだろう。


あのピアノの部屋で。



真尋は初めて巨匠の『人間』に触れます・・・



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