passionato~情熱的な(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

だんだんと大見得を切った自分を後悔していた。



そして



真尋の番になり、



そういえば


コンクールってヤツ・・小学校6年の時以来じゃん・・・



そのことにも気づいた。



手をさすってピアノの前に座り、一息ついてから徐にピアノを弾きだした。




鐘の音・・・・




その音に観客たちはハッとした。



『ムソルグスキー 展覧会の絵』だった。



ゾクゾクとするようなそのピアノの旋律。


あっという間に真尋はその場の空気をさらった。



シェーンベルグはイスに座って杖をついた両手にグッと力が入った。



圧倒的な存在感。


表現力。


そして


美しすぎるメロディ。



屋外で風がふうっと吹いても、音が決して流れるわけでもなく。


真尋のピアノはみんなの身体をその音で包み込む。




この飛び入り参加の男のピアノに


彼が弾き終えた瞬間、立ち上がって拍手を送った。



真尋も笑顔でガッツポーズでそれに応えて場を沸かせた。




そして



圧倒的なその音で、真尋は見事優勝してしまった。



「え! 金一封も出るの!?」


手渡された封筒にまた興奮した。



「やったー!!! すげー! 嬉しいー!!!」


真尋は何のためにコレに参加をしていたのか忘れそうになった。



戻ってきた彼に


シェーンベルグは出口で待っていた。



「見た? 見た? すごくない? おれ、」


真尋は小さなトロフィーと金一封を彼に見せびらかせた。



それを鬱陶しそうに手でよけた。


「・・・なんで。 あの曲にしたんだ?」


初めて質問された。


「なんでって・・・・。 まあ、ここで・・モーツアルトじゃみんなの耳が厳しいだろうし。 おれはどっちかっていうと叙情的なのが得意なんだけど・・・外だし。 色んな音聴こえてくるからね。 もっとインパクト大!みたいなんじゃないと、この空気に流されちゃう。 だから。」


真尋はニッコリ笑った。



その時


シェーンベルグの目の色が一瞬変わった。





「名前、」


老人はポツリと言った。


「え?」


「聞こえんのか。 名前だ。 お前の名前だ。 さっきはよく聞いていなかった。」


「・・マサヒロ・・ホクト、ですけど。」


「ナニジンだ? 中国人か、」


「だから!! 日本人だっつったでしょ! んで、19の時からフェルナンド先生のトコの音楽院にいて!」


最初に経歴は話したのに、同じ話をさせられてイラついた。



「足を骨折して卒業できんかったんだろ、」


「聞いてんじゃん! まったく・・・・」



「おまえは。 何になりたいんだ?」


シェーンベルグは彼に構わずそう続けた。




何とか難題をクリアした真尋に巨匠は・・・


My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。