Sanftheit~優しさ(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

それから。



彼はマエストロについてアメリカへの演奏旅行に出かけたが、そこでとんでもないことになった。


NYでの公演の直前にピアノコンチェルトを競演するはずだったピアニストがドタキャンして、マエストロは何を考えたのか、彼にその代役をやらせた。



マネージャーも営業サイドもそれは反対したっていうけど、それも最もで


彼は世界的に見たら単なる学生ピアニストだ。


世間的認知はゼロに近い。



それでもマエストロはプログラムも『ラフマニノフの第2番』に変えるという手段まで使って、彼に演奏させた。



その話は彼から何気ないいつもの電話で聞かされた。



私はすごくびっくりしたけど、彼は普段とあまり変わらなかった。



もうそれから気になって気になって何もかも上の空で。


いったい彼がどんな演奏をしたのかすごく気になった。



最初にパパがインターネットでその映像を入手した。



そこには


まるで創立祭の舞台と同じように堂々とピアノを弾く彼がいて。



そこにいたお客さんの驚きが伝わってくるようだった。



無名の日本人ピアニストのことは現地で話題にはなったが、残念ながらウイーンにも日本にもそれの3分の1くらいのニュースで留まってしまった。




戻ってきた彼は、いつもとなんら変わりがなかった。



「あ~~、やっぱ絵梨沙の膝枕が一番落ち着く~~~、」


ソファで私の膝枕に寝転んでテレビを見たり音楽を聴いたりすることが大好きで


同じように彼は子供のようにそう言った。




何も


変わらなかった。



と、思っていた。



そのDVDがのちに彼のお兄さんの『彼女』からお兄さんの手に渡って


ホクトエンターテイメントが動き始めることなど


想像もつかず。





そしてサマーバケーションに入り、私は父に呼ばれた。



「え? 日本に?」


「マリコがね。 彼女の大学でミニコンサートを兼ねた合宿を長野でするから、絵梨沙にも来ないかって、」


「ママが・・・」


「他の大学からも何人か招いてやってるらしいんだ。 日本にもしばらく帰ってないし、ママにもたまには顔を見せたらどう?」


確かに


前の年の秋に日本を立ってから、母には一度も会っていなかった。



両親は自分たちの都合で離婚したことを、私に申し訳なく思うらしく、


別れた後も、こうして私のことで連絡を取り合っているようだった。


何でも私のやりたいようにできるようにいつも計らってくれて。



それは本当にありがたいと思っていた。



「・・うん。 じゃあ・・・行かせてもらいます。 ママには私から連絡しておくから。」


二人の気持ちをありがたく受けることにした。



「それでね。 マリコにもう一人学生をお願いしたんだけど、」



父はそう言って笑った。



「え???」




NYでの思いがけない『公演』を終えて戻って来た真尋に・・・


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