「なんだよ・・いるならいるって言えよ・・・」
彼はブツブツ言いながらシャワーを浴び直して、頭を拭きながら出てきた。
「そ、そんな・・!」
私は反論しようとして、まだ彼がパンツ一丁だったのでまた慌てて背を向けた。
「か、風邪引いたらどうするの・・・。 びしょぬれのまま・・ピアノを弾いて・・・」
もう心臓がバクバクしていた。
「なんか急にビビっと来て。 すぐに弾きたかったから。」
彼はヒゲも剃ってさっぱりして言った。
「・・・サンドイッチを買って・・来たから、」
もう恥ずかしくて彼を正視できなかった。
「サンキュ。 うまそー。」
彼は全く気にしておらず、いつものように食べ始めた。
「あ~~~、なんか久々に食いモンらしいもん食った・・・」
胃袋に染み渡っているようで至福の表情をした。
「・・あまり・・・ムリをしないで。」
私はそのまま彼から目をそらしたまま帰ろうとした。
「え、もう帰っちゃうの? 絵梨沙、全然来てくれないんだもん、おれ一人ですんげえ煮詰まっちゃって、」
さっきまでの彼から少し息を吹き返したようだった。
ほんと
もう別人みたいだったのに。
「・・カギしめっきりでやってるし、様子を見に来たくても来れなかったわよ、」
私は小さな声で言った。
「あ、いっけね。 カギしめっぱだった。」
アハハと笑った。
てゆーか。
カギしめっぱで合ってると思うけど。
普通は・・・・
本当に彼の変人っぷりには呆れてしまう。
「よっしゃ、もすこしがんばろ・・・」
彼は食べ終わって立ち上がった。
私はまた彼の裸体に驚いて
「だから! 服を着て・・・!!」
目をそらしてそう懇願するしかなかった。
「ああ、そうそう。 服、服・・・。 日本と違ってめちゃ寒いもんな~~~、」
もう根本的にどうかしている。
しばらく
彼がピアノを弾くのを側で見ていた。
どんどん完成に近づくそれに
もううっとりしてしまって。
「もうすこしだから。 頑張ってね、」
私はそう言って自分の部屋に帰ろうとした。
「あ、ちょっと待って!」
彼は徐に立ち上がって、いきなり私を抱きしめた。
「なっ・・・・」
大きな彼にすっぽり包まれるように抱きしめられて、ドキドキが止まらない。
力強く抱きしめられた後、ふっと身体を離して
「チャージした。 これでまた元気になれる。」
そう言って笑った。
「もう・・・・」
私は真っ赤になった自分の顔を見られたくなくてうつむいた。
彼に振り回されながらも絵梨沙はどんどん真尋に惹かれていく自分がわかって・・・
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