彼からそんなことを言われて
もうどうしていいかわからなくなった。
「な~~~、ゴメンって、」
そんな私を気にして彼はそう言った。
私は黙ってキッチンで食器を洗っていた。
19にもなって
こんなにも男性に免疫がない自分が恥ずかしい。
そんなことも考えてしまって彼の顔が見れない。
「動けねーんだからさあ・・・。 カンタンにそっちにも行けないんだからさあ、」
何が言いたいのかもわかんないし・・・・。
「・・私のこと。 バカにしてるんだから、」
私はまだメソメソしながらそう言った。
「え? バカになんかしてねーって・・・。」
「してるわよ! こんなことで動揺してる私のこと・・・バカにしてる、」
手を拭きながら言った。
もう彼に当たらないとやってられないくらいだった。
「そりゃあさあ・・。 おれが初めて会ったタイプの女の子だけど。 さっき言ったことはホントだよ。 おれ、マジ最初から絵梨沙のこと好きだったし・・・。 けっこう遠まわしに色々言ってたんだけどな~~~。 気づかれてなかったのもショック・・・。」
「からかわれてると、思ってた、」
「気を引こうと必死だったんだよ。 男心がわかってねーな、」
憎たらしい・・・・
私は黙ってしまった。
「だからさー。 おれとつきあって。 ね?」
強引だし。
「おれとつきあえば、絶対に楽しいって!」
もー・・ヤダ。
「よくわかんない・・・。 ピアノをやることと男の人とつきあうことを一緒にできるなんて・・思えない。 」
私は本当の気持ちを言った。
「えー? そんなの普通にさあ、考えればいいんだよ。 難しく考えすぎ、」
「あなたにはそうでも私にはムリよ・・・、」
「んじゃあ。 おれのことはどう思ってるの?」
その質問にも答えられなかった。
男性とつきあったことなんか1度もなかった私は
つきあったりすれば、彼の気持ちを繋ぎとめるために
すごく気を遣うんじゃないか、って
そういうことが煩わしいと思っていた。
「・・今は・・考えられない・・・」
私はすこしはぐらかせるようにそう言った。
「・・・ま。 慌てることもないか。 これからもこうやって『濃密』につきあってけば、いつかは絵梨沙だっておれのよさがわかるし、」
その自信もどっから来るのよ!!
しかも『濃密』ってなによ!!
私はそう反論したかったけど
その気力が残っていなかった。
イヤでも父が戻ってくるまではここにいなくちゃならないし。
向こうが動けないからいいものの。
私は本当に
戸惑っていた。
強引すぎる真尋からのアプローチ。ピアノひとすじに生きてきた絵梨沙は戸惑うばかりです・・
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