Es glitzert~きらめき(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

シューベルトの即興曲D833



私はドアにもたれたまま動けなくなってしまった。



ずっと


ずっと



聴いていたい。



素直にそう思えた。



どうしてこんなに優しい音が出せるの?


涙が出そうなほど。



私だって


このピアノを聴くためにそこへ行きたくなる。



そんな力のあるピアノだった。



でも


彼のこのピアノを聴かされると、胸がざわつく。



その


私にはない『何か』に嫉妬して。



彼の中に眠っているその『才能』に


たぶん彼自身だけが気づいてない。


それが


他人ごとなのにすごく悔しい。



私が欲しくて欲しくてたまらないものを彼は手にしている。




彼はバイトと課題とに追われる毎日で、あまり一緒に練習ができなくなった。


もう試験日まで日にちがないことに少し焦りを感じていた。




隣に気配を感じて、慌てて玄関のドアを開けた。



「わ! びっくりした! なに??」


彼はドアを開けて本当に驚いたようでそう言った。



今日は彼がバイトが休みであることは知っていた。


いつもより早く帰宅することも。





「・・・ちょっと、」


「え?」


「・・・ちょっと・・・。 見るから・・・」


私が恥ずかしくてモゴモゴ言ったので、意味がわからないようだった。



「え?? 何を??」


「だからっ! ちょっと来て!」



言葉で言うのが照れくさくて彼の腕を引っ張った。



まさか


この人を夜に部屋に上げることになるなんて思わなかったけど。



もう


背に腹を変えられなかった。





絵梨沙は少しずつ真尋の不思議なピアノの音色に惹かれていきます。


My sweet home ~恋のカタチ。






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