Tomorrow comes over(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

なぜ


自分だけを呼んだのか。


志藤は北都が考えていることが、予測できるようなできないような


少し不安な気持ちもあり


複雑な思いで彼の病室を訪ねた。



「・・忙しい所を。 悪いな。」



ベッドを起こしていられるほど良くなった彼にホッとしつつも。



「・・いえ。 社長からお呼びがかかる時は・・・あまりいい話じゃないことばかりだったので。 少しドキドキしています。」



つとめていつものように


冗談を言ってみた。



すると北都の顔がふっと緩んだ。



「まったく。 おまえは・・」



少しだけ緊張が解けた。




「真太郎の・・ことだ。」


北都は意を決したように志藤に言った。



どきんとした。



呼ばれたときから、彼の話なのではないかと思っていたから。



「・・・まだ。 彼のことを思い出そうとすると・・頭の中がぼんやりとして。 時々・・思い出しそうになると、ガチャガチャになって。 何が何だかわからなくなる、」




本音を見せない人だった。



唯一。


ゆうこと結婚したい、と言った時


この人は自分に対する怒りを露にして。




今も。


こんなに自分の弱みをみせるようなことを言う彼は


あの『鬼』の北都社長とは思えなくて。


信じたくない気持ちもあった。




「・・・もう。 真太郎さんはムリに自分のことを思い出してほしいとは・・思ってないと思います。 社長がそうやって苦しい思いをすることのほうが・・つらいと思うので、」



「正直。 ずっと彼は頑張ってきてくれたんだろうが。 ・・そのことも思い出せない。 おまえは・・ずっと見てきたはずだから。 真太郎のことを・・・おれに教えてくれないか、」



社長から


『お願い』をされるのは


たぶん二度目だ。



北都フィルを造るにあたって、自分を東京に呼んだ時。


そのときだって


もう『No』なんか言わせる空気じゃなかったけど。




志藤はふっと微笑んでうつむいた後



「真太郎さんは。 大学入学と同時に・・社長の片腕として仕事をしていらっしゃっいました。 いや、正確に言えばそのころの彼のことはぼくは知りませんが。 彼が大学を卒業して正式にホクトに入社したころに自分は大阪から呼ばれて。 ・・・ゼロから一緒に北都フィルを立ち上げる仕事をしてきました。」



静かに話を始めた。


「最初は。 何の不自由もなく生きてきただろう彼のことが。 ものすごく・・・妬ましかった。 社長の息子だからって、自分がぽっと思いついたこと実現できるってことも。 このぼんぼんがって。 バカにしてました、」



志藤は自分の当時の思いを話すと


あの頃に戻ってしまったようで


胸がきゅんとなった。



真太郎のことを話し出す志藤。 北都に向けていた言葉ではありましたが、その頃のことも思い出し胸が熱くなります。


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