Fly to the moon(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

自分のところに戻ってきてくれない彼を想う。




妻として、家族として。



自分が至らなかった。




「泣くな、」


志藤は大粒の涙をこぼし始めた南の肩に手をやった。



だから


こうしてこいつが泣いているのを見るのがイヤなんだ。




「泣くなっつーの、」


志藤は南を抱きしめた。




ずっとこうして


男と女とかの関係を飛び越えて


『親友』でもなく

『兄妹』でもなく

もちろん

『部下と上司』でもない


不思議な彼女との関係は


妻のゆうこでさえも認めるという


他人には理解できないだろうけど。




子供を抱きしめるように頭を撫でて



「きっとな。 帰ってくる。 あの人が帰るところはおまえのとこだけやんか、」


優しく言った。




それなら

どうして帰ってきてくれへんの?



って、言いたいけど。


志藤ちゃんが一生懸命に自分を励まそうって思ってくれているのがわかるから。




南は泣きながら彼の優しさにまた違う涙が出た。





「大丈夫ですか?」


軽い食事を運んできたゆうこはテーブルにつっぷすようにしていた志藤に言った。



「え・・」


のそっと顔を上げた。



「忙しいんでしょうけど。 食事はきちんと採ってください、」


「・・うん・・」



ゆうこには真太郎が姿をくらましたことも話をしていない。


いろんなことで頭がいっぱいで

もう苦しくてどうしようもなかった。





「あ・・南ちゃん。」


家に帰ると階下からゆかりがやって来た。



「お義母さん、」


「さっき。 志藤さんから連絡をもらったの。 真太郎のいるところがわかったって・・・」


「はい・・」


「でも、詳しい場所は教えてくれなくて。」


「・・・あたしも聞いてないんですけど。 でも・・・きっと真太郎が戻ろうって思う気持ちにならないと・・・無理やと思うんで。 ・・とにかく無事でホッとしました、」


少しだけ微笑んだ。



「ごめんね、」


ゆかりはうつむいて南にあやまった。



「お義母さん、」



「あれからね。 真也さん・・・ずっと家族の写真を見ているの。 思い出そうとしてることはわかるんだけど。 お医者さまも急激に焦って記憶を取り戻そうとしてはいけないっておっしゃるんだけど。 ・・あたしも行くたびに子供のころの真太郎の話をしてみるの。」



ゆかりはつらそうに顔を上げて


「でも。 やっぱり・・・・思い出せなくて。」



お義母さんだって


つらいんだ・・・



南はふうっと息をついた。



つらいつらい南でしたが、今は自分が頑張りどころだと気持ちを奮い立たせます。


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