On that days(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

夕方になり

ホールに人々が集まり始めた。



このホールのこけら落としということもあり、会場には花がたくさん飾られていた。

チケットの売り上げも好調で、当日売りもまずまずだった。



「パンフレットです、どうぞ。」

南とゆうこは入口でお客さんにパンフレットと記念品の入った袋を手渡す。


「ゆうこ、あんまり立ちっぱなしやとよくないから。 ここはもういいよ、」

南はゆうこの体を気遣った。


「大丈夫です。 今日は暖かいし、」



それに

みんなの夢を叶えるときに

自分も少しでも手伝いをしたい。



まばゆく輝く光を見つめた。




志藤は真尋の控え室をノックした。



「・・はーい」

かったるそうな声が聞こえてドアを開けると



「なっ・・・」



志藤は思わず半歩下がってしまった。



「真尋ったら・・もう、恥ずかしいから・・」


「いーの、いーの。 こーしてると落ち着くし~~~。」


真尋はソファで絵梨沙の膝枕で幸せそうに寝転がっていた。



「な・・なんやねんて」

さすがに呆れた。


「鋭気を養ってるんだってば・・・」

真尋は半分眠っているように、ニヤけながら言った。


「す・・すみません、」

絵梨沙は真っ赤になってその状態でうつむいた。


「ま・・えーけど。 衣装、皺になるで!」



もっと緊張しているかと思ったので、少々腹立たしかった。



「あ、今夜さあ。 絵梨沙の泊まってるホテルの部屋。 ダブルにしといて。」



またも暢気な発言をする真尋に志藤はズカズカと歩み寄り

頭をペシっと叩いた。


「いってえなあ・・もう・・」


「意味もなく腹立たしいっ!!」




もうスタンバイOKの楽団員のところに足早に移動し、


「みんな楽しんでやってこい!」

志藤は明るく言った。


「はい!」



若々しいこのオケは活気に満ち溢れていた。


そして

指揮者の甲本に



「音楽の楽しさをたくさんの人に広めていきましょう、」

キラキラした瞳で握手を求めた。



「ああ。」

甲本も笑顔で彼の手を強く握り返した。



なんか

ドキドキしてきた



ゆうこは関係者に用意された座席に座りながら胸を押さえた。




会場のライトが落ちようとしている頃、いきなり隣の席に志藤が急いでやってきた。



「・・し、志藤さん。」



「間に合った。 きちんとここで見よう、」

ゆうこを見てニッコリと笑った。




「もう。 おれにできることはないから。」



全てを尽くし

もう

これから舞台に上がる

アーティストたちの力を信じて。



やりつくした表情の彼に

ゆうこはホッと

息をついた。



そして

幕が開き

楽団員たちのシルエットが壇上に浮かび上がる。



そして、幕は開きました!


人気ブログランキングへ 左矢印 お気に召しましたらポチっ!わんわん お願いします!

人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ