Sometime that time(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

ゆうこの人柄を表すように

それは優しい味だった。



「ほんと。 きっと彼女はいいお母さんになるんでしょうね。」



真太郎はふっと微笑んだ。


「ご両親の躾が本当に行き届いているんでしょう。 食事の仕方や掃除の仕方。 目上の人への態度も・・あの人はいつもカンペキです。 女性らしくて、出すぎずに。 社長室に飾られている花も、いつもセンスが良くて。 社長が使っている灰皿や花器も彼女が趣味の陶芸で作ったものです。 お客様からもいつも褒められて。 それでもいつも控えめで。」



どんどんと

ゆうこを褒める言葉が溢れてくる。




「やっぱり。 彼女には幸せになって欲しいって思います。 誰よりも、」



志藤は黙って聞いていた。




そして真太郎は思い出したように

「白川さん、前にシルバーレコードの阿川社長の息子さんにアプローチをされたことがあって。」

と、志藤に言った。


「は? シルバーレコードの社長の息子?」

彼は少し驚いたように言った。


「翔太さんと言って、ぼくの高校までいた学校の先輩です。 一度、どーしても白川さんを誘って欲しいって言われて。 3人でゴハンに行きました。」



「・・へえええ。」



志藤はボソっと言った。


「で。 翔太さんはけっこうマジだったみたいで。 ああいう人なら結婚も考えたいって。」

真太郎の言葉に志藤はびっくりして真太郎を勢いよく見てしまった。



「結婚?」




あまりの彼の反応に真太郎のほうが少し驚いた。


「まあ・・・白川さんはちょっと・・その気がなかったんで。 まあ、友達としてつきあってほしいって言ったに留まったらしいですけど・・」


と言うと、志藤が少しほっとしたような表情を見せたのを

見逃さなかった。




「ふうん・・」



わざと興味がなさそうに相槌を打つ志藤の横顔をジッと見てしまった。





翌日の昼休み。

志藤が自分のデスクでぼーっと新聞を読んでいると、


「あっれ~? ひとり?」

南が入ってきた。


「え? ああ。 みんなお昼に行ってしまいましたよ。」

志藤は南をチラっと見て言う。


「そっかあ・・」

南はゆうこのデスクを見た。




「白川さんは。 社長についてお出かけですけど。」


「勘、ええなあ。」

南は感心したように言った。


それには答えずにまた新聞に目を落とす。




「志藤さんは? ゴハン、まだ?」


「え? あー。 なんかめんどくさいんで抜こうかと思ってたんですけど。」


「アカンやんかあ。 ゴハン抜いたりしたら! ねえ、行かない?」

南はデスクに両手をついて身を乗り出した。


「は? おれと?」


「ウン!」

満面の笑みで頷いた。




彼女は

不思議な人だ。




彼女がいるだけで

その場の空気を一気に引き寄せて。

自分のペースに引き込んでしまう。

なんとも言えないエネルギーを感じて、そのパワーに圧倒されそうだ。




志藤は南のことを

そんな風に思っていた。




「ねえ。 この前。真尋が『クラシックマスター』の取材受けたやろ? コレ。 もう見た?」

店に入ると、南は雑誌をバッグから取り出して志藤に見せた。


「ああ・・編集部から送って来ましたけど。 まだ見ていなかったな・・」

それを手にした。


「めっちゃカッコよく写ってるやん。 コレ、衣装はあたしが選んだんやで、」


「悪そうなのがいいんじゃないですか?」

志藤は笑った。


「黙ってればワイルドないい男なのにな。 しゃべるとアホ丸出しやし、」

南も笑う。




「へえ。 じゃあ、もうけっこうオケの練習も進んでるんや。 志藤さんもしょっちゅう行ってるの?」

南は鴨南そばを食べながら言う。


「まあ、ぼくとジュニアは結構行ってますけど。」

志藤も偶然に鴨南そばを選んで、二人は同じメニューを食していた。



「ゆうこも行ってるんやろか、」



ポツリと言うと、



「・・白川さんはあまり来ません。 この頃は。」



志藤は箸を置いた。




ゆうこがアプローチされてしまったお話はこちら です。


そして、ゆうこへの思いはあるものの真太郎はどうしていいのかが全くわからずにいました。

同じように南も・・・


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