Smile again(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

焼肉を食べている間も

「ちょっと、口の周り。」


高宮は夏希の口元を拭いてやった。



「あ、ヤバイ。 小学生でした? もう、すっごくおなか空いちゃって~、」

夏希は笑った。


「ほんと子供だよ。 食べ方が。 ちゃんと野菜も食べなさい、」

とサラダを取り分けてやった。


「コレ、マヨネーズが欲しいな・・・」


「なんでもかんでもマヨネーズかけるなよ。 それこそ子供だよ、」


「え~、おいしいのに・・」



夏希は通りすがりの店員に

「あ、すみません。 マヨネーズありますか?」

と言ってしまった。


「こら、だからやめろっつーの、」


「もう言っちゃったもーん・・」

夏希はふふっと笑う。



南と八神はそんな二人をボケっと見てしまった。



「なんかおれたちいること、忘れてません?」


「かもしれへん・・・」

あまりに二人が自然ですっごく仲良しなところを目の当たりにして、



こっちが恥ずかしくなる・・・。



南たちは思っていた。


「ねえ、みんなでさ、ぱーっと飲みたいね。」

南は話題を買えるように言った。


「え、なんかイベントあるんですか?」

八神は期待した。


「うーん、なんかやりたいよね。 うちでバーベキューとか! どう?」


「ひっろい庭がありますからねえ・・・」


「そやなあ・・・、」



南はバッグから手帳を取り出した。


「ねえ、7月の第二の土曜日なんかどう?」


「いいですねえ、梅雨も明けそうだし、」

八神は言った。


「ね、高宮もどう?」

と話を振られると、


「あ、7月の第二土曜はちょっと・・」


「出張?」


「いえ。 妹の結婚式なので、」


「あ、そっか。」

夏希も思い出した。


「妹の? ああ・・・」



南も彼の家庭の事情を思い出す。


「え、高宮、妹いたの?」

八神が言う。


「ええ、」


「かわいい?」

と身を乗り出したので、


「あんたは何を期待してる・・・」

南は八神のオデコをパチンと叩いた。


「きれいな人ですよ。 お母さんにソックリで、」

夏希が口を挟んだので、


「え、なに? 妹を紹介されるほどの関係?」

八神は突っ込んだ。


「えっ・・・・」

夏希は赤面した。



「や、まあ、ちょっと。いきがかり上・・・」

いきなり動揺。


「そっか、じゃあ別に日にしようか、」

南は言った。


「いや、おれの都合は・・・・事業部のイベントなのに、」


「どうせならみんなが都合がいい日がええやん。 そっか、妹さんの結婚式じゃね。 よかったねって・・言っていいの?」

と言われて高宮は笑顔で、



「はい、」

と頷いた。




帰り道、高宮と夏希は一緒に家路に着く。


「まだ妹に結婚祝やってないなあ・・何がいいかな、」

高宮は言う。


「ここは兄としてどーんと?」

夏希は笑う。


「ん。まあ、何でも持ってるけどな。 住むところも親が用意してくれるし。」


「でも、お兄さんからもらったものは、きっと特別ですよ。」

夏希は長野で会った恵の人柄を思い出す。


あまりうまくいっていない両親とは違って、兄妹は本当に仲が良さそうに見えた。



「あいつ結構、メカ好きって言うか。 パソコンとかオーデイオ大好きだし。 家電関係よりもそっちにしようかな、」


「じゃあ、プラズマテレビとか!」


「いくらするんだよ。 すげーの欲しいとか言われたらどーすんだ、」

高宮は笑いながらも、妹の幸せに対する喜びが溢れていた。



夏希はそんな彼の笑顔を見ていると自分も嬉しくなってくる。




高宮は家に帰りテレビをつけた。

ニュース番組で、9月にも解散総選挙になるのではないかとの情報がかなり確実視されていることを流している。



選挙か。

恵も忙しくなりそうだな・・・。




そのときは

そう思っただけだった。


このことが

高宮と夏希の間に

劇的な変化をもたらすことなど

夢にも思わなかった。




「あ、お兄ちゃん?」



翌日

恵に電話をした。


「結婚祝い、まだだったから。 何か欲しいものある?」

高宮は優しい声でそう言った。


「そんなの。 いいのに。」


「そんなわけにいかないよ。 なんか言ってくれ、」


「・・・じゃあ、考えておくね。」

恵は嬉しそうに言った。



「選挙になりそうなんだってな、9月ごろ。」


「まだよくわからないけど。 お父さん、どうするのかしらって・・」


「え?」


「引退、考えてるかもしれないし。」


「もう?」


「私が良さんと一緒になったら、すぐにでもって思ってるみたい。 このごろ体もしんどいとかで、」


「そっか。」



ますます恵が大変になる・・・。



高宮は妹が心配だった。



「・・結婚式、来てくれるのよね?」

と念を押され、



「え、もちろん…行くよ。」

即答した。


「良かった。 ひょっとしてお兄ちゃん、来ないんじゃないかって、心配しちゃって、」



確かに

複雑な気持ちはあるけど。



「おまえの結婚式だもん。 絶対に行く。 誰に何を言われても、」



高宮はしっかりとした口調でそう言った。


かわいい妹の結婚式が事件の発端となってしまいますが・・

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