Smile again(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「おやすみ。」

いつものようにマンションの前で手を振って別れた。


「おやすみ・・・なさい。」

夏希も小さく手を振った。



それが少し寂しく。

胸がきゅんとなる。




「んね~。 昨日、どうだった?」

翌朝、さっそく南が夏希にすりよってくる。


「え・・おもしろかったですよ、」

夏希は普通に言う。


「どこに行ったん? ドライブ?」


「・・遊園地、」


「やっぱり・・・。」

ちょっとがっくりした。



「んで。 コースター乗り倒し・・・。」


「はあ??」


「も~、めちゃくちゃおもしろかったんです。 よみうりランドのコースター全部乗って~。」


「中学生のデート?」

南はまたまたがっくりした。


「って、南さんがそこから初めてみれば~って、」

夏希はちょっと不満そうだった。


それでも南はそれに付き合わされた高宮のことを想像し、

「高宮、疲れてなかった?」

と笑った。


「ちょっとヘロヘロでした、」

と言ったのでまた笑った。


「28の男がさあ・・・。 そりゃ、ヘロヘロになるわ、」



「行きたいとこでいいって・・言うから、」

ちょっと膨れた。


「ま、そこが加瀬のかわいいトコやもんなあ、」

彼女の頭を背伸びして撫でた。


「コドモだったかなあ~。 やっぱり、」

夏希はちょっとだけ後悔した。



「ええんちゃう? 高宮もそんなん実は期待してたかもしれへんし。 ま、それはいいとして。 そのあとは??」

ニヤついてにじり寄る。


「え・・・ヒルズに戻ってきて、ゴハン食べて。 帰りましたよ。」


「え、そんだけ?」


「はい・・」


「帰ったって、別々のトコに帰ったの?」


「え・・別々ですよ、」



何を言い出すのか、この人はと思った。



「・・アカン、」

南はため息をついた。


「そんなこと言われても。」


「高宮も何やってんねん、も~~~。 昼間ヘロヘロになって夜もヘロヘロでどないすんねん!」

ひとりでぶつくさ言った。


「夜もヘロヘロって・・・」

夏希はぎょっとした。


「ほんまに、偉いな。 高宮は、」

南はつくづく言った。



「でも、なんかね。 お父さんみたいな感じで、」



夏希は笑う。



「お父さん?」


「・・なんて言ったら怒られそうですけど。 いっつもあったかく見ててくれてるみたいで。 ウチのお父さん、そういう人だったから、」

嬉しそうにそう言った。



無理をせずに
こうして楽しいこといっぱいして。

自然に寄り添っていけたら・・・。



高宮はまた忙しい毎日に戻って夏希との関係をそう考えていた。



「あ~~~~、づっがれだ・・・・」

夏希は今日一日クレームで印刷所を何往復もしてさすがにへばってデスクにつっぷした。


「かわいそやなあ。 ま、でもこれが現実。 ゴハン奢ってあげよっか?」

南が肩を叩く。


「できれば、肉でお願いします!」

いきなり元気になって起き上がった。



そこに八神もいたので、

「八神も行く?」

と誘うと、


「え? おごりですかあ?」

と色めき立った。


「情けないなあ。 そこに食いつくなんて。」


「ほんと、生活するだけで精一杯ですから。 かわいそうでしょ? 貧乏で。 南さんちと違って。」


「そのかわいさを前面に押し出すところがめっちゃむかつく、」


「え、ウソです! あ、できれば奢ってほしいかなあ・・・・」

急に態度を変えた。


「ま、しゃあないな。 んじゃ、焼肉行こうか。」


「やったぁ!!」

二人はバンザイをして喜んだ。


「こっどもやなあ~」

南は苦笑いをした。



帰ろうとすると高宮と遭遇した。


「あれ? もう終わり?」


「ええ・・・」


南はチラっと夏希を見て、


「約束とはしてへんの?」

と言った。


「え、別に、毎日・・・会ってるとかじゃないし、」

夏希は恥ずかしそうに言う。


「高宮も焼肉行かない? おごるから?」


「え?」


「あんたは金持ちやからおごらなくてもええねんけど。 ま、あたしのが若干年上やから。 今日はおごってあげる。」

と笑う。


「いいんですか?」


「二人っきりのがええのかもしれへんけど。 たまには、」

南はニヤっと笑った。


「・・からかわないで下さい、」

夏希は顔を赤らめて言った。




「高宮が戻ってきてからもうすぐ3ヶ月やな、早いなあ。」

もう6月も末だった。


「夏ですねえ、もうすぐ。」

夏希は言う。


「高宮、相変わらず忙しいの?」


「まあ、結構。 社長がこんなに仕事がある人だとは思いませんでした、」

高宮はビールをグラスで飲みながら言う。


「体鍛えないと。 社長のバイタリテイにはついていかれへんで、」

南は笑った。


「ほっとんど丸一日の休みもないし、」

ちょっとボヤくと、


「ほんとですねえ、」

夏希も同情するように言った。



「あ、全然・・進んでない感じ?」

八神が二人をからかう。




すると夏希はムッとして、八神の耳をぎゅううっと引っ張った。


「いたいっつーのっ!!」

耳を押さえた。


「ほんっと八神さんって下品ですよね!」


「おまえに言われたくないっ! 進んでないって言っただけじゃんか! 自意識過剰だっ! も~~、先輩の耳を引っ張るなんて! そのデカい手で!」


「デカいは余計ですっ!」



二人のやりとりを高宮は傍観してしまった。


それに気づいた南は


「ああ、いいのいいの。 この二人、いっつもこんなやねん。 八神は先輩風吹かせたいけど~。 加瀬のが大物やし、」

と笑った。



「も、ヤダ・・おれ・・」

八神は耳を押さえながら情けない声を出した。



南はおもしろがって二人の動向を見守りますが・・

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