A heart to believe(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「なんかね、そういうことが一番じゃないって言うか。 まあ、男だから? 好きな女の子を抱きたいって気持ちはあるよ。 たまらなく思うこともある。 だけど、それがないからって加瀬さんのことをきらいになるとか、冷めるとか。 そういうのはないから、」


「高宮さん・・」

夏希は彼の言葉に手で涙を拭った。


「さっきみたく。 一緒にゴハン食べて。 きみが、おかしくって大笑いしたり。 何気ないことを話しているだけで、楽しいんだよ。 おれは・・・」


「あ、あたしがおかしいからってつきあってんですかあ??」

それはそれで複雑だった。


「違うって。 ほんっとそうやって素直なトコとか。  そういう所が好きだなあって。」

高宮はいつものようにストレートに言ってくる。



「え・・」



「お母さん、本当に心配してるんだ。 なかなかそこまでできるって人、いないよ。 本当に娘のこと考えてる。この前、おれにもね。 何でも経験だからって。 心配しながらもちゃんと見守ってるって感じで。 いいお母さんだなあって、」

彼女の肩に手をかけてそっと引き寄せた。


「でも。 そーだよな。 おれもあんまちゃんと考えてなかった。 ごめん。 こういうことは、きちんとしないと、」

そして彼女のサラサラの髪をやさしく撫でる。



きもち・・いい。



夏希は彼の肩にもたれながら、ふと目を閉じる。

こうして頭を撫でられているだけで



すっごく

なんだろ・・・

安心できて。


お父さん・・・みたいで。



夏希は父を思い出していた。



動かなくなった彼女に、

「寝ちゃったの?」

と声を掛けた。


「ううん、起きてるけど。 なんか、きもちい~って・・・」

ぼんやりとして言った。


「気持ちいい?」


「ん・・・」

本当に眠ってしまいそうだった。



これが

気持ちいいって言われると。

それはそれで

苦しいんだけど・・・。



高宮は苦笑いをした。


そして

そっと彼女の髪にキスをして。

そのキスを頬にずらして

唇に触れた。



おれはね

こうしていつだって

きみのそばにいたいだけなんだって。


その

幼いばっかりの。

恋とか愛とか

そんな区別もつかないくらいの、

あどけなさが

好きなんだ・・・。




あ・・・。



夏希は高宮のいとおしむようなキスを受けて、初めてキスが気持ちいいと思った。



さっきの

キスとは全然違う。



何度も何度も

唇に触れて。

啄ばむように。



夏希はだらんと下げていた手をそっと彼の肩に乗せた。



「・・き・・」

少し唇を離した時、夏希の口から言葉がこぼれた。


「え・・?」

小さな声で聞き返すと、



「・・・す・・き・・」



自分でも信じられないほど、素直に口にできた。



こんなこと

今までなら絶対に言えなかった。

恥ずかしくて。


だけど

もう・・好きだとしか言いようがないから。



高宮は夏希のその言葉が嬉しくてまた抱きしめた。




「今度の日曜は、休み?」

高宮は言った。


「え、あ、はい・・」


「おれもようやく休み取れそう。 どっか行こう。」

とにっこり微笑んだ。


「え、ほんとですか?」

夏希は急に元気になった。


「ウン。 どっか行きたいところ・・ある?」


「うーん・・・どこがいいかな・・」

と考える表情もかわいく。


「考えときます!」

と元気に言った。



こうして

彼女のマンションに送っていく途中はいつもの夏希に戻っていた。



志藤が7時ごろ社に戻ると、秘書課には高宮しかいなかった。


「頑張るなあ、」

と声をかける。


「あ・・おつかれさまです。 明日、社長と京都に出張なのでその準備を、」


「あ・・そ。」



こいつ

ほんまに最初会った時と印象が全然違うよな・・・


ていうか

おれが見えていなかったのか。


口ばっかで生意気だって思ってた。



でも

ほんまに誰よりも真面目に仕事に取り組むし。


秘書に、向いてるし。

頭の回転も速いし。


経済のことにもすっごく詳しくて

それは会社経営にとってものすごく必要な部分で。



「もーええやん。 メシ食いに行こうか、」


「よくないです。 もうちょっと残ってて。」


「別に明日そんなに早くないんやろ? したら、朝ちょこっとすればええやん。 いこ、」

と肩を叩く。



「ほんとにいいかげんな人だな・・」

仕方なくファイルを閉じた。



高宮はまだまだ子供な夏希を大きな心で包み込んでいますが・・

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