Fine Tomorrow(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あ、お帰りなさい、」


「加瀬は?」


11時すぎに帰宅した斯波は帰るなり夏希のことを萌香に聴いた。


「まだ熱があるようで。 私が夕方行ったあと、寝るように言っておきました。」


「じゃ、なくてさ・・・」


気になるのはそこではない。


萌香はその"理由"を彼に話していいものか悩んでいると、彼女の携帯が鳴る。



「もしもし・・」


「あ、高宮です。」


「高宮さん?」


斯波はハッとして彼女を見る。



「エントランスのドアを開けてもらえませんか?」


「はあ??」

事態が理解できない。



「今、下に来てる。」



「え・・・」



彼がここに来ている?



『絶対にこのままにしないから』



と言ったのは

こういうことだったの??



萌香はハッとした。




「いったいどーゆーことなんだっつーの!」



エレベーターで上がってきた高宮にわけのわからない斯波は彼に食いつくが、それを無視するように高宮は隣の

夏希の部屋のインターホンを押した。



「下で何度押しても出ないし・・・・電話をしても、」

萌香に言う。


斯波は心配になってしーんとする彼女の部屋に耳をそばだて、

「死んでねえだろうなあ、」

と言い出し、


「もう、アホなこと言わないで、」

萌香は彼の腕を叩いた。


それでもあまりの静寂さに彼女も心配になり、

「加瀬さん?」

ドアを叩いて呼んでみた。



そして

しばらくすると。



カギがガチャっと開く音がして、ドアが少しだけギイっと開いた。



「い、生きてた、」

萌香はホッとした。


「栗栖さん・・・・」


夏希が気を許してドアを大きく開けようとしたその時、高宮はドアをぐっと掴んだ。




「・・・・・!!」




夏希がびっくりして慌ててドアを閉めようとすると、



「待って!」



高宮は無意識に足をドアの間に入れた。


それに気づかなかった夏希は渾身の力を込めてドアを思いっきり閉めてしまった。



「いっ・・・でっ!!!」


「へ?」


夏希は驚いて手を緩めた。




高宮はくるぶしあたりに激痛が走り、その場に倒れこんでしまう。



「た、高宮さん!」

萌香は慌てて彼に駆け寄る。


「いっでぇ・・・・」

高宮は足首を抑えてもんどりうった。


「だ、大丈夫ですか!?」

事態に慌てた夏希も思わず飛び出してくる。


「そ、そんなに・・・思いっきり閉めなくても、」

涙が出てきた。


「ご、ごめんなさい。 って、なんでここにいるんですか・・」

夏希はようやく現実にハッとする。


「仕事終わってから来たんだよ。さっき、着いて・・・。」


「え・・・?」

萌香は地べたに座る二人に、



「と、とにかく寒いから・・中で話をしたら・・?」

と勧めたが、


「おい、」

斯波が彼女を小突いた。


「こんな夜遅く、二人きりにさせるな、」

またそんなことを言い出すが、


「高宮さん、せっかくここまで来てくれたんやし。 ね、加瀬さん・・」

それを無視するように二人に言った。



「あ、あたし・・・別に話すことなんかありません、」

そもそも、どうして自分が大阪から急に帰ってきたかを思い出した。


「や、ほんと! 誤解だから! 水谷さん・・・パニくっちゃって、」


「水谷さんてあの人ですか・・・・」



『私たち・・・もう離れられないんです』



彼女の言葉を思い出して、夏希はいきなりわっと泣き出した。


あまりに彼女が大きな声で泣くので、斯波は焦って、

「そんなでっかい声で泣いてると下まで聞こえるから!」



この際どうでもいいと思い、とりあえず二人を夏希の部屋に押し込もうとした。


「ちょ、ちょっと・・・・」



高宮はそれはそれで焦るし、足は痛いしで。

夏希は萌香の腕を掴んで、


「ぐ、ぐりずざんも・・ぎでぐださい・・」

大泣きしながらそう言った。


「はあ??」

もう、なにがなんだかわからなくなり・・。





結局

4人で夏希の部屋に入っていく。



「だから・・・彼女は同僚で。 ほんとこの3ヶ月間の間、一緒に頑張ってきて。 まだ入社2年目で、いきなり支社長に倒れられてどうしていいかわからない状態だったから。」

高宮は理沙のことをそんな風に言い訳した。


「い、いっしょに過ごしたって・・」

夏希はテイッシュを握り締めながらようやくそう言えた。


「え?」


「高宮さんの部屋で一緒に過ごしてもう離れられないって・・・どーゆーことなんですか?」



斯波は夏希のその言葉にびっくりして何か言いそうだったので萌香は慌てて彼の口を手で押さえた。



「それは・・・・」

高宮が戸惑っていると、斯波は萌香の手を振り払って



「おまえ!! ナマイキに二股か!」




彼に怒鳴った。



「ち、ちがいます・・!」



いや、厳密に言えば

ちがくもないんだけど・・・。



予想外の斯波の怒りに高宮はもう何をどう説明していいのかわからなくなっていた。



今度は高宮が夏希を追って東京へやって来てしまいましたが・・何だか修羅場っぽいです・・

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