Fine Tomorrow(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

彼女の手からホットプリンの入ったマグカップをそっと取り上げてテーブルの上に置いた。

きょとんとしている彼女に顔をそっと近づける。



「・・・・え、」



もう心臓が破裂しそうにバクバクし、思わず体を引いてしまった。



「・・み、3日もお風呂入ってないし、」


「お風呂って・・・そこまでしないから。」

また、素っ頓狂なことを言い出す彼女に笑ってしまった。



そこまで?

そこまでってどこまで?



夏希が頭を悩ませていた瞬間に

高宮は彼女にキスをした。




- !!




また

目を開けっ放しで

驚いた顔のままで。



「だからさ・・・・。 目、つぶってくんない? 力も抜いて・・。」

まるで石膏像のように固まっている彼女に高宮はそう言った。


「ち、力・・? どこの、力を抜けば・・いいんでしょう・・」

夏希はもういっぱいいっぱいだった。




ほんっと

かわいいよ・・・。




高宮は彼女の背中に手をやって、もう一度優しくキスをした。


最初はそっと彼女の唇をついばむように。



今度は

体中の力が一気に抜けてしまい、

夏希はぶらんと手を下ろした。



また、倒れそうな彼女をキスをしながら支えた。



キスって

こんなに・・・・長く・・するの?




息は

止めとかないといけないのかな・・・




く・・

くるしい・・・・。




具合が悪い上に息まで止めていたので、ものすごい勢いで彼を突き飛ばすように離れた。



「ど、どーしたの、」


「ぐ・・ぐるじい・・・」

テーブルに手をついて、はあはあと息を切らせた。



「ひょっとして・・息、止めてた?」



「と、止めてましたよ。 し・・、しぬ・・・・」


また、ガクっと倒れそうになる彼女の腕を取って、



「息は・・してもいいんだよ・・」

脱力しながらそう言った。



なんでこんなことまで説明しなくちゃならないんだ。



それでも

キスだけで

こんなにパニくっている彼女が


すごく

愛しい。




「プリンの・・・味がした。」




そう言って笑うと、



「な・・。 あ、味わってたんですか?」

夏希はぎょっとして言う。



その表現に

またツボに入ってしまい、高宮は大笑いしてしまった。




なんとか彼女を寝かせたのは深夜0時近かったが、高宮は志藤に電話をした。



「すいません・・・遅くに、」


「や、まだ起きてたから。 ん、どした?」



この人の軽さが

イヤでたまらなかったのに。


今はすっごく

この声を聞くと安心する。




「おれ、芦田さんに東京へ帰りたいって言いました。」


「・・そっか。」


たぶん彼がそうするのではないかと思っていたので、志藤は特に驚かなかった。



「自分だけ。 ここを放り投げて帰る気がして、ほんと悩んだんですけど。」


「いきなり、追いかけられてきちゃったもんなァ、」

志藤はクックッと笑った。



少し

ドキンとして、



「誰かのために帰りたいって思うことはいけないことでしょうか、」

志藤は黙っていた。


「ほんと考えられないんですけど。 おれが、このおれが一人の女の子のために仕事を二の次にするなんて・・・」



こいつは

自分の気持ちの変化にも

戸惑っている。



「それはアリやと思うで。 おまえにとって一番大事なものを優先するべきやん。」

志藤の言葉に高宮は少しだけ心が軽くなる。


「わからんで。 この先は。 加瀬はほんま変人やし? あ~、もうこんなヤツごめんやって思う時がやってくるかもしれへん。 だけど、大事なのは今やし。  後悔だけはしたらアカン。」


「後悔・・・」



「自分と向き合って。 きちんと考えて出した結論なら。 誰に何を言われても、関係ないやん、」



優しい声が

伝わってきた。




いつものように
彼女の眠るベッドの下に布団を敷いて寝ようとして

その

子供のような寝顔をじっと見た。



・・・後悔

するんだろうか。



子供のころから

衝動買いだとか、感情優先で行動をしたことはなかった。


いつもきちんと順序を踏まえて考えて。

先の先まで考えて。


自分の決めたことに後悔なんか

してこなかった。




この子がいなかったら

おれは

間違いなく

ここに残っただろう。


自分がここのためになっているって

自負がある。




でも

今は

理由もなく帰りたい。



いや

理由は

ここにいる




彼女以外に、なにもない。



夏希が大阪にやって来たことで高宮の揺れていた気持ちを変えてゆきます・・

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