Shooting star(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「高宮さんの気持ちはよくわからないけど。 でもね、まあ一般論で言うと、好きだとか特別に思っていなかったらそうやって誘ったりしないんじゃないかしら。」



萌香は小さい子供に言い聞かせるように夏希に優しく言った。



「そう、なんですか・・?」



本気でそう思っている彼女が、だんだんおかしくなってきて、クスっと笑ってしまった。


「おつきあいした人は、今までいないって言ってたけど。 好きになった人くらいはいたでしょ?」


「そうですね。 なんか中学くらいまでは、好きって異性としてとか、友達として、とかわかんない感じで。 中学でも男の子と一緒に野球部でやってましたから。 もう、その辺がごっちゃになっちゃうってゆーか。 高校からは女子ばっかだったんで。 そういう機会も全くなく・・・」




いまどき

天然記念物級の子だわ・・・。




萌香はある意味”箱入り”の夏希に驚かされる。




でも

本当に

男と女のドロドロしたとこだって。

全然知らなくて。

大人の汚れた関係だとか。


もう

想像もつかないんだろうな


あたしとは

全然、違う・・・・。





萌香はぼうっと考えてしまった。




「でも、これから・・どうしよう。 意識しちゃって、今までみたく、なんてできないかも、」

夏希の言葉に我に返る。



「でも、加瀬さんはまだまだ高宮さんのことわかってないんじゃない?」




「え・・・」



「あたしは本部長の秘書の仕事で彼と一緒になるけど、何て言うか。 全く人と交わらない人で。 黙々と仕事をこなして。 でも、本当によくできる人で社長や常務の信頼も厚いわ。 本部長はああいう方だから。高宮さんには不真面目な人って写るみたいで、いつも文句ばかり言っているけど。」


萌香は苦笑いをした。



「ちょっと近寄りがたい人だなあって。 そういう人かと思ってた。 あなたが高宮さんのことを話してるのを聞くと、全く別人みたいって。 いつも何かに不満があって、何かに怒りを持っているような、そんな印象だったから。」



彼女の言葉のほうが夏希には意外だった。



自分の話を聞いて、大きな声で笑ったり、あのゴハン美味しかったねって・・・そう言ってくれる彼とは・・

違う。



「いいんじゃない? 今までみたく食事に行ったりしてほしいって言われたんなら。 軽い気持ちで、そうやってつきあっていけば?」


最後は明るく言われて、



「はあ・・・。」

さっき自分が言ったことを思い出した。




『自分が信じたことは、周りがなんて言おうと全力で信じる』




そう言ったくせに。

あたしは

高宮さんのことは

すっごくいい人だと思ったから。

別に食事をおごってくれたから、とかじゃなくて。


優しい顔で

話を聞いてくれたり。

話をしていて

本当に楽しかった。

その気持ちのベクトルが、そういう風に彼には向いちゃっていたんだ、って


びっくりしただけで。

あの人の本当とか

もっと見てみたい気もする・・・。



「そんなんでいいんでしょうか・・」

自信なさげに言うと、


「いいと思う。 だって高宮さんだってそうやって言ってくれたんでしょ?」

萌香は夏希を励ますように言った。




こんなことで悩む日が来るとは。




夏希は翌日、仕事をしつつも気になって仕方がなかった。


「あ、おはよう。」

事業部を出たところでいきなり高宮に出くわしてしまった。



「ひっ・・・・」



あまりに驚いて、後ろに引いてしまった。


「ひどいなあ。 まるで幽霊を見たようなリアクション、」

苦笑いをされて、


「や・・あ~。すみません、すみません・・」

二度も謝って、すうっとその場を去ってしまった。




やっぱ

言わないほうが良かったかなあ・・・。



高宮は少しだけ後悔した。

今までつきあってきた女性たちとはあまりに違いすぎる彼女に、どう出ていいのかわからないのも本音だった。





はあああ・・・。



びっくりした。

何話していいかわかんなかった・・・・。


無理だよ。

今までどおりだなんて。

すっごい

すっごい

意識するし。




夏希は胸を押さえて、ひとり動揺していた。




「あのう、」

高宮はいつものようにのんびりと新聞を読んでいる志藤に近づいた。


「ん? なに?」

視線は新聞に向けたまま、声だけで返事をする。


「加瀬さんて。 どこにスイッチがある子なんですかね・・」




壮大な

質問だ・・・・。




志藤は上目遣いにその意味を考えながら、バサっと新聞をデスクに置いた。



「あれ・・・地球人とちゃうねん。 たぶん、」



大真面目に答えた。


「は?」




なんじゃ、その答えは。




高宮は腹立たしくさえ思った。



「そのくらい。 わからへんねん。 おれより18も下やんかあ。 でも、最近の若いヤツは、とかそういう次元でもないねん。 あれは一緒におらんとわからへん不思議なもん持ってるし。 口ではうまいこと言えへんけど。 会話しててもな、なんでここでそんなこと言う? みたいなんばっかやし。」




確かに、その通り。




今度は妙に納得してしまった。


「なに? 加瀬とつきあいたいの?」

ニヤっと笑って言われて、



「えっ・・・いけませんか?」

いつものように上から目線だが、しっかりとその事実を認めてしまった。


志藤はまた新聞に目をやって、

「今の聞かなかったことにするから。」

と言い出した。



「はあ??」



「ま、がんばって。 ほんま、相談に乗ってやれへんでごめんなあ・・・」


「ちょっと! そこまで聞いておいて、スルーですか??」

逆ギレ状態だった。


「おまえがどーしていいかわかんないのと一緒でなあ。 こうすれば加瀬とつきあえる~って確実な答えがみつからへん。 普通の女の子の心理やったら・・けっこうわかってるつもりやけど。 あれ、普通ちゃうもん、」




本当に

腹が立つけど

・・・事実だ。



せっかく相談しているのに・・・高宮は夏希にどう出ていいのかわからずに悩みます。


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