You're my sunshine(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

引越しも無事に済んで、夏希はすっかり足も良くなりまた元気に仕事を始めた。


「加瀬さん、応接室にコーヒーふたつ、」

玉田に言われて、


「あ、はいっ!」

やりかけの仕事をそのままにして夏希は給湯室へ飛んで行った。




「あ~、なんか時間かかっちゃった・・・」

独り言をいいながら戻ってくると、


「あれっ???」


デスクの上の様子が微妙に変わっている。

ファイルも書きかけの書類も全部伏せられている。



「・・・・・??」

不思議に思っていると、隣でデスクワークをしていた八神が



「広げっぱなしで行くなよ・・」



ボソっと言った。


「え?」


「お客さんとかも来るんだから。 席を外す時はちゃんとファイルとか書類を伏せて、」

と彼女を見る。


「あ・・・は、はい。 すみません、」

夏希は言われてみないと気づかないこともあるんだなあと感心してしまった。


「斯波さんに見つかったら、またすっげー怒られるぞ、」

と言う八神に、



「あたしが斯波さんに怒られないようにってしてくれたんですかぁ・・」


夏希は感動してしまった。


「はあ??」


「八神さんって優しいんですね~。 ほんっと、」

ウンウンとうなずきながら仕事を再開する夏希に、


「別に! おれはおまえが怒られようが、ぜんっぜん問題ナシだから! 事業部のこと考えて言ってんだろ??」

ものすごい勢いで否定してしまった。



「あ!」

夏希はいきなり八神を見て叫んだ。


「は?」


「そう言えば・・今朝から気になってたんですけど!」


「なんだよ、」


「八神さん・・・ここらへんに1本、白髪が・・・」


夏希は彼の頭を指差す。



「へ??」



慌ててそのあたりをおさえた。



「も、気になっちゃって気になっちゃって。 抜いてもいいですか?」

とんでもないことを言い出す彼女に、


「なんでおまえに白髪を抜かれなくちゃいけないんだっ!!!」



何をいきなり・・・



突飛な彼女にタジタジだった。



しかし


夏希は全く話を聞いておらず、

「失礼します!」

いきなりガバっと立ち上がり、その白髪をひっぱって抜いてしまった。


「いっ!!」


「あ~~、きれいに真っ白。 気になってたんですよお。 これで、落ち着いた。」

と、また仕事にかかり始めた。


「なに? なんなの?? なんで人の白髪をいきなり抜く??」

八神のうろたえように周囲は大笑いだった。





「志藤さん、事業部の先月の業績。 出てませんよ。」

高宮はいつものように物怖じしないいい様で志藤の前に行く。


「あ・・そか。 アカン、忘れてた。 えっと。 栗栖~!」

ファイルを探しながら萌香を呼ぶ。


「栗栖さんは今いませんよ。 事業部じゃないですか? たまにはひとりでなんとかされたらどうですか?」



ほんまに

ようカッチーンとくることを平気で言うなあ・・・。

このガキ。



志藤はそう思いながらも、

「ほんまにおまえみたいにストイックに仕事できたらええねんけどな、」

精一杯の皮肉で返す。


「それは、どうも。 ああ、あと、社長から明日の会議の議長は専務にしていただくそうなので、早いとこ議案書、ぼくに見せてもらうように伝えていただけますか?」


「なんでおれが。 しかも、なんでおまえに見せるの?」


「ぼく、これから出かけるので。 社長からぼくがまとめるように言われていますから。 じゃ、」



ヒラやろ!

おまえは!


ようわからんけど・・・・

なんでいちいちあんなにエラそうなん???



志藤は沸騰しそうな気持ちをぐっと堪えて・・・。





『そうだ、そうだなあ。 ウチにはまだ隆之介がいた・・・。』


『大学を出たら私の秘書として仕事をしなさい。 何事も勉強だから。』


『隆之介、あなたもそろそろ身を固めて落ち着かないと。 この前ねえ、とってもいいお話をいただいて。 いいお嬢さんがいらっしゃるって。 銀行の頭取さんのお嬢さんなんですって。 ほんとお嫁さんを選ぶのも大事なことだから・・・』




もう、放っておいてくれ!

おれは兄貴じゃない!


オヤジもオフクロも・・・。

おれを見ろ!




いつも

そんなジレンマと戦っていた。

自分を通して死んだ兄を見続ける両親に。




「え~~っと・・・。 あー、なんかよくわかんない・・・」



夏希は事業部の真向かいにある資料室に篭ってもう30分ほどたとうとしていた。


斯波に頼まれた資料を探すのに異様に手間取って

手渡されたメモを片手に必死に探す。







もう時間ないのに・・・。


だから早く議案書を出してくれればいいのに!

専務はちょっと暢気なところがあるから・・。


結局、おれが最後はまとめることになるのに!



高宮も隣の秘書課から、ため息をつきながら資料室にやってきた。





これか?



夏希は一冊のファイルを引き抜く。


しかし



ちが~う。

もう、まぎらわしい題名とかつけておかないでほしい~。


なんか

おなかも空いてきた・・・。

今日のお昼もコンビニのおにぎりだけだったし。



そのファイルを棚に戻した時、




ガラガラガラガッシャーン!!!!!!




けたたましい音が静かな資料室に響き渡って、さすがの夏希もビクっとした。



「な、なに???」


慌ててその音のほうに駆け寄ると




「い・・・・・」



一人の男がひっくりかえって肩をおさえて苦しんでいる。


その傍らに脚立もひっくり返っていて。

夏希はその人が脚立から落ちてひっくりかえったことがわかり、


「だっ・・だいじょぶですか!?」

彼に駆け寄る。


「いって・・・・。肩・・・・」

もう脂汗を流して苦しんでいる。


「う、動きますか?」


「え? も~・・・それどころじゃ・・・。」



動かないみたい・・・。 脱臼??



夏希はピンと来て、


「失礼します、」


いきなり彼のネクタイを外し始めた。


「な、なにっ!?」

いきなりの彼女の行動に驚いた。


「静かに。これで固定しますから、」



てきぱきと処置をしていった。




とうとう

高宮隆之介と加瀬夏希は出会ってしまった・・・・。



さてさて夏希と高宮のラブストーリーがようやく始まりました。

前置きが長くてスミマセン・・


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