Shooting star(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「頭は? 無事ですか?」


夏希は高宮を抱き起こしながら言う。


「頭? は・・なんとか。」

夏希は彼の左の二の腕あたりをネクタイで体ごとぎゅっと縛った。



「いっ・・・」



もう少しでも動かされると死ぬほど痛い。


「立てますか?」


「う・・うん・・・・」

ようやく彼女の顔を見る余裕が出たが、



誰だ?



夏希のことをまるで知らなかった彼はこの状況で目が回りそうになりながらぼんやりと考えた。




夏希は彼を抱きかかえるように資料室を出る。


「どうしたんですか?」

そこにやって来た真太郎が驚く。


「この人が資料室で脚立から落ちてしまったみたいで、肩を、」


「高宮くん、大丈夫?」


「は・・はい。」

と言うが、もう顔が真っ青だった。


「脱臼してるかもしれないので、このまま病院へ、」

夏希はてきぱきとそう言った。


「わかりました。 ぼくはこれから外出なので、秘書課の誰かにお願いしましょう、」


すると夏希は

「じゃあ、あたしが。 あの、申し訳ないんですが斯波さんに言っておいてもらえますか?」


「わかりました。 お願いします。」



車で10分ほどの社員がかかりつけの病院に運び込んだ。



「あ~、やっぱり脱臼しちゃってますね。」

医師はレントゲンを見ながら言った。


高宮はもう痛みで意識が朦朧としてきた。



「とりあえず入れるから。」



入れる?って?



と思っていると、夏希が


「あたし、抑えてますから!」

張り切って高宮の体を押さえた。




「・・うっ!!!! いっ・・・! いでっ!!!!!」




肩の関節を入れる痛みときたら、大人の彼でももんどりうってしまうほどの激痛で。


「はい、入りましたから。 あとは簡易ギプスをして・・・。骨には異常なさそうなので、しばらく固定していてください。」

もう体中から汗が吹き出て、ぐったりしてしまった。



治療を終えて、魂が抜けたようになっている高宮に、

「大丈夫ですか?」

夏希は笑顔でペットボトルの水を差し出した。


「あ・・ああ。」

それを受け取る。


「痛いんですよね~。 脱臼したトコ入れるの。 前に後輩が練習中に脱臼しちゃって。 入れるトコ見てたんですけど、泣いてましたから。」


笑顔で言う彼女に、




「・・あんた・・誰?」




ようやくその言葉を口にできた。




「え? あたしですか? クラシック事業本部の新入社員の加瀬夏希です!」




いつものように元気に明るく言った。


「事業部・・の?」




「はい! ・・・で、あなたは誰ですか?」




夏希は屈託のない笑顔でまた言った。



「は・・・・・。」



なんだか

すっごく

圧倒された。






「なに・・どないしてん、そのカッコ・・・」


三角巾で腕を吊って秘書課に戻ると、そこにいた南に言われて、


「・・別に。」

高宮はもう構われたくなかったので、ブスっとして椅子に腰掛けた。


「資料室で脚立から落っこったんやて。」

志藤が小声で言った。


「え? 落ちたの? 大丈夫? 折れた?」

南はどんどん食いついてくる。


「折れてませんよ・・・。脱臼です。」



もうほんと

放っておいてほしい・・・。



「こらこら、あんまり構うな。 脚立から落ちたというだけであいつにとっては汚点なんやから・・」

志藤がふっと笑う。


「しかも、加瀬に病院に担ぎ込まれたらしい・・・」


「え! 加瀬に?」


「うん、ちょうどそこに居合わせたらしくてな。」


「へえ・・。 加瀬に抱っこされちゃったとか?」

アハハと笑うと、



だから・・

いじるなっつーの!!



高宮は心で叫んだ。




加瀬夏希・・・


あんな子がいたなんて。




彼女の出現は高宮は軽い『ショック』を覚えていた。



「おい! また漢字間違ってんぞ! 辞書で調べろ! 自信満々に書くなっ!!」


斯波の怒鳴り声が響き渡る。


夏希はその書類をつきかえされた。



「・・すみません、」



席に戻る時に、

「あ~、まった怒られちゃった、」

とひとりごとを言うと、八神がその書類を覗き込み、


「『人件費』を『人権費』だって。 小学生かよ。」

とアハハと馬鹿にしたように笑った。


すると夏希はムッとして、

「この前、八神さんだって『建築』の建を『健康』の『健』って書いてたじゃないですかあ!」

と逆襲した。


「う・・、」


八神が絶句すると、イラついた斯波が


「目くそ鼻くそみたいなこと言ってんじゃねーよ!」

二人に言い放った。




なんちゅう

低レベル・・・。



高宮は何となく気になって事業部をそっと覗きに行ったが、レベルの低い会話をしている夏希らを見て呆れた。


インパクト大!の夏希に高宮はものすごい興味を惹かれております・・


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