「花子とアン」第123回~花子の「コドモの新聞」第1回目の放送終了 | 日々のダダ漏れ

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「花子とアン」 第123回
第21週 「ラジオのおばさん誕生
花子の「コドモの新聞」第1回目の放送終了


ラジオ局から出演の依頼を受けた花子は、
断るつもりで局にやってきましたが…。

ラジオが好きだった歩の事を思い、
引き受ける事にしました。


花子) ただいま帰りました。
(子供たちの歓声)
花子) ただいま。
英治) お帰り、花子さん。
花子) どうしたの? みんな。
英治) 見てくれ、これ。最新型の、ラジオです。
花子) てっ…ラジオ…。


**********

そのころ、
宮本家はとんだ修羅場となっておりました。



雪乃) 突然押しかけて、申し訳ありません! 吉原か
    ら逃げてきて、ここしか行く当てがなくて…。
蓮子) 主人は今、おりません。お帰り下さい。
雪乃) そんな事言わずに、どうかお助け下さい。
蓮子) ですから…。
雪乃) 大好きな宮本蓮子先生に一目会いたくて…。
蓮子) …えっ? 私に?



雪乃) 先生のお書きになった記事、読みました。
    「どのような境遇であれ、女だからという理由で
    諦めてはならない。女も、自らの人生を生きて
    よいのである」。先生の言葉に勇気づけられ、
    私は、郭から逃げ出してきたのです。
    お願いします。どうか…どうかお助け下さい。
    お願いします!
蓮子) 分かりました。雪乃さん。 
    今日からここで一緒に暮らしましょう。
浪子) 本気なの? 蓮子さん。今ごろ廓の連中は、
    血眼になってこの人の事捜してんのよ。
    そんな人かくまったりして…。
龍一) 蓮子。僕も賛成だ。あなたが自由になれるよう、
    できるだけの事はします。
蓮子) 主人は、弁護士なんです。
    社会に虐げられた人たちの、味方です。
雪乃) やっぱり来てよかった…。
    先生、ありがとうございます。
    ありがとうございます…。


**********

そして、いよいよ、
花子のラジオ初出演の日がやってきました。

英治) 花子さん。緊張してる?
花子) 練習はしたけれど、やっぱり緊張するわね。
英治) これ、持っていきなよ。

(花子に歩の写真を渡す英治)
英治) ニュースの原稿を読もうとするんじゃなくて、
    歩に、新しいお話をするつもりでやってみたら
    どうかな。
花子) ありがとう。行ってきます。
英治) 行ってらっしゃい。

**********

黒沢) 村岡先生。帝国議会の原稿の方は、
    何とか読めそうですか?
花子) はい。有馬さんにしっかりと教えて頂いたので、
    大丈夫です。
黒沢) それはよかった。では、帝国議会の話とは別
    に、こちらのニュースも読んで頂きたいんです。
    今朝方、動物園のライオンが逃げ出した事件
    がありまして。こちらもお願いできますか?
有馬) では、よろしくお願い致します。
花子) そんな…急に原稿を渡されても…。
黒沢) 本番までに、練習する時間、
    まだありますから。ではよろしくお願いします。
花子) (ため息)



**********

花子) お願いがあります。
黒沢) 何でしょうか?
花子) 大変失礼ですが、ニュース原稿を書き換えさ
    せて頂きました。この原稿を、読ませて頂けま
    せんか?
有馬) 何をおっしゃっているのですか。あなたは、語
    り手としてここにいるのです。原稿を一字一句
    正確に読む事が、語り手の仕事です。
花子) ですが…元の原稿のままだと、子供たちは途
    中で飽きてしまうと思うんです。小さい子供たち
    の我慢は5分ももちません。分かりやすく、易し
    い言葉にした方が、より楽しんで聞いてもらえ
    るのではないでしょうか。
黒沢) ちょっといいですか?
有馬) いいですか。ニュース原稿というものは、事前
    に逓信省の確認を取ります。今更変更など…。
花子) 無茶なお願いをしている事は分かっています
    が。もっと子供たちにニュースを楽しんで聞い
    てもらいたいんです。どうかお願いします。
黒沢) 分かりました。
    すぐに逓信省の確認を取ります。
有馬) 黒沢さん。
    部長に相談もせずにいいのですか?
黒沢) 今は少しの時間も惜しいので、
    部長には後で報告します。
花子) ありがとうございます!

**********

かよ) うまく聞こえないな…。
    早くしねえと始まってしまう…。
旭) どうしたんですか? ラジオなんか買い込んで。
かよ) お客さんから、古いのを安く譲ってもらったん
    ですよ。うちの姉が、ラジオに出るもんで。
旭) えっ! そりゃすごい。


**********

リン) こんな箱っから、ふんとにはなちゃんの声が、
   聞こえるずらかね~?
ふじ) はなは東京にいるだにね~。
朝市) はなの声を乗せた電波を、
    この箱が受信するです。
吉平) はなの声が聞こえりゃ、難しいこんはいいだ。
徳丸) ほれにしてもふじちゃんとこの娘は、
    えれえ立派んなったもんじゃん。
    まさかラジオにまで出るたぁな。
吉平) ほりゃあ、俺とふじの、娘だからじゃ。
リン) 婿殿は何もしちゃあいんら。はなちゃんが立派
   になったのは、はなちゃんが頑張ったからじゃん
   ねえ~。
武) まだけえ、はなたれ~!
朝市) 武。



**********

英治) 女の子が前だ。
醍醐) はなさんがラジオに出演する事、
    新聞にも出てましたわ。
蓮子) まあ。



蓮子) 6時20分になったら、ここから
    はなちゃんの声が聞こえてくるのよ。
富士子) 花子さん、今どこにいるのかなあ?
純平) ラジオの電波って、
    すごく遠くまで飛ぶんでしょ?
蓮子) ええ。
純平) お空の上の歩君にも届くね。
蓮子) そうね。

有馬) 「6時になりました。JOAK東京放送局でありま
    す。ただいまから、「コドモの時間」の放送です」。


**********

漆原) 逓信省の方は本当に大丈夫なんだろうな?
    問題になったら、責任取らされるのは私だよ。
黒沢) 新しい原稿、確認済みです。

**********

有馬) 「さて、続きましては、本日より始まります、ニ
    ュース番組である、『コドモの新聞』です。お伝
    えしますは、児童文学の本を多く書かれており
    ます、村岡花子先生です」。
花子) 「ぜ…全国の、お小さい方々、ごきげんよう。
    『コドモの新聞』のお時間です。
    京都の動物園で、ライオンが逃げ出したお話で
    す。今朝の8時頃、京都市にある動物園で、今
    年13になるライオンが、園長さんの隙を見てい
    きなり、おりの外へ飛び出し、のそのそと、面白
    がって、動物園の中を、歩き回りました」。






花子) 「このライオンは、京都で生まれ、小桜号と
    いう名前まで付けてもらっているくらいで…。
    今日の「コドモの新聞」のお時間は、
    ここまでです。皆さん。さようなら」。

**********

花子) はあ…。
歩) お母ちゃま。





歩) あ~あ~JOAK東京放送局であります。



花子) 歩ちゃん…。
    歩ちゃん。歩ちゃんのおかげで、
    お母ちゃま、何とかお話しする事ができたわ。
歩) お母ちゃま。
花子) ありがとう。歩ちゃん。
歩) フフッ。




(花子の泣き声)

こうして、
「コドモの新聞」第1回目の放送が終わりました。

ごきげんよう。さようなら。


**********

修羅場といいつつ、やっぱりね~な展開。実際、蓮子
のモデルとなっている白蓮さんは、吉原から逃げてき
花魁を助けているようです。でもでもでも~~~~
この話いる? ていうか…白蓮関連の話、まだ必要?
脚本家の先生は、どうしても白蓮さんから離れたくな
いようなので、しょうがないなあとは思いつつ…ついつ
いぼやきたくなる私。主役は花子だけでいいじゃん!

子供のための番組といいつつ、原稿がかたすぎると思
っていたので、花子が子供に分かりやすく原稿を変え
たのはよかった。実に、村岡花子先生らしいじゃないで
すか。遅すぎるくらいだけど描かれないよりずっとマシ。
(何だか、~よりはマシって事が多いような気がするw)

あがり症の花子のお守りは、歩くんの写真。そして、無
事放送終了後花子の前に現れてくれた笑顔の歩くん。
ベタだけど、ベタでいいのよ。短期間で凝縮されたエピ
ソードであろうと、親子の情は、想像の翼で泣けてしま
うのよ…。残されて生きていく側は、たとえ自己満足に
過ぎないとしても、亡くなった子供に少しでも喜んでも
らいたいという思いに支えられる事もあるだろうなって。

そしてベタだけど、やっぱり、花子のラジオを心待ちに
する人々の姿が見られたのも嬉しかった。インターネ
ットがない時代、遠くの声が聞こえるだけでも、すんご
い事だったんだよな~と、しみじみ思ったり。そのあり
がたみを、すぐに忘れちゃうのも人間で。やれやれ…。


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