理想の夏デートは、眺めのいい場所で、美味しいもの
を食べながら、美味しいビールを飲む、そんなデート。
できれば海がいいけど、夜景が見える場所もいい。夏
の味覚を美味しそうに幸せそうに食べる姿を見ながら
いっぱいおしゃべりできたら楽しそうかな~と(*^。^*)
美味しいものを食べているときの、美味しそうな、幸せ
そうな顔。その顔を見ている方も、何となく嬉しくなって
何となく幸せな気持ちだったことを思いだしたのが ↓
グレーテルのかまど (7月14日放送)
随筆家・武田百合子の
チョコレートパフェ
チョコレートパフェをおいしそうに食べる女、その姿を
愛おしく思う男・・・。かつてチョコレートパフェをきっか
けに素敵な恋をした女性がいた。「富士日記」で知ら
れる随筆家・武田百合子。夫の名は作家・武田泰淳。
百合子は泰淳の小説「もの喰う女」のモデルでもあ
った。「恋愛感情と食欲の奇妙な交錯」とも記された
深い愛情で結ばれた二人。天衣無縫、唯一無二の
文章家と言われ、今なお熱狂的なファンに支持され
ている随筆家、武田百合子の魅力に迫る。
(当時の喫茶店の名前は「ランボー」。)
百合子が働いていた喫茶店に訪れては泰淳が
百合子にごちそうしたもの。
それがチョコレートパフェでした。
ただ好きなものを女の私に食べさせて、自分は
黙ってはずかしそうにカストリ焼酎を飲んでいる
武田が、何となく好きになって、それから、二十
五、六年一緒に暮らしてきてしまいました。
そういえば、もうずいぶんと食べていないなあと、
懐かしくさえ思える、チョコレートパフェ。
今はいろんな美味しいスイーツがあるけれど、昔
は、喫茶店で選ぶのに一番心が躍ったメニュー。**********
食べることが一番うれしいわ。
おいしいものを食べるのが
わたし一番好きよ。 「もの喰う女」より
男の愛情を確認するように、房子は
次から次へごちそうを食べるのです。
それを見た男はこんな感情を抱きます。
そこには恋愛感情と食欲の
奇妙な交錯があるのです。 「もの喰う女」より
**********
食べる喜びが、好きな男への愛情として表現できる
百合子、そしてその姿に惹かれる泰淳。二人は恋
愛感情と食欲が交錯する愛で結ばれていました。
そのきっかけが、チョコレートパフェだったのです。
好きな人がごちそうしてくれる、大好きなスイーツは、
極上の甘い味、極上のスイーツに感じるだろうし、好
きな人のそばで、美味しいものを食べる幸せ、美味
しそうに食べる人を見ている幸せ、そういう時間って、
ありふれているようで、ありふれているからこそ、忘
れないように大切にしなければならない幸福な時間。
**********
G病院の食堂の隅で、埴谷さんと私は、チョコレ
ートのかかったアイスクリームをとつていたつけ。
あれにも桃色のさくらんぼがのっていた。アイス
クリームをなるたけのろのろと舐め、さくらんぼも
食べてしまい、コップの水も飲み干してしまつて
から、出来るだけそーつと武田の病名をいつた。
(略)
埴谷さんは長い指の両掌でぱつと顔を押さえて
しまつた。声を殺してしばらく泣いていた。
(略)
埴谷さんのアイスクリームの皿に桃色さくらん
ぼが残っていた。もう、すぐそこまできて私を待
ち受けている黒い大きな洞穴のようなもの―
エッセー「あの頃」より
まじかに迫った夫の死。そして後に残される自分
の耐えなければいけない孤独。百合子はそれを
チョコレートパフェに投影したのでした。
作家として、互いの感性を刺激し合う関係だったとい
う二人。食欲というとても本能的な部分でも強く結ば
れていた関係は、理性的な部分以上に、その結びつ
きは、強いものだったんじゃないのかなあと思います。
一緒にものを食べる。そして、その美味しさを共感し、
その喜びを分かち合える、それができる相手というも
のは、とても貴重だし、意外と、なかなかいないもの。
人間は食べないでは生きていけないからこそ、日々、
その食べる幸せを分かち合える人を失うことは、ど
んなにか辛く悲しいことだろうと想像したら、「食欲が
交錯する愛情」を大事にしなければ!、と思ったり。
恋愛に限らず、家族や友達が美味しそうに食べてく
れる、そんな時間もまた、幸せな時間なんですよね。
**********
番組内でに登場したお店をご紹介 ↓
●「JOEL DURAND」
●「Toshi Yoroizuka」
●「丘」
**********
3軒の中では、最後の喫茶「丘」のチョコレートパフェが
私の中のイメージにあるチョコレートパフェに近いです。
学生の頃はパフェが大好きで、どんなパフェを食べよう
かあれこれ迷いながら、メニューの写真とにらめっこし
ていたことを思い出しました。久々に、オーソドックスな
チョコレートパフェを食べたくなりました(*^。^*)
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