前回の①コード進行と曲の小節構造の続きで
今回は②メロディーの作られ方について書いてみたい。


その曲のコード進行と小節構造がわかったら
次はどんなメロディーの作られ方をしているのかを
分析してみることで
ヒット曲のメロディーの作られ方や自分の癖などに気付くことが出来る。


まずはメロディーの和声音(コードトーン)と非和声音(ノン・コードトーン)を
分析する。


画像①クリックして拡大


上の画像①ではコードトーンに対して下に赤い点()を付けているが、
即時判別できるならばコードトーンには何も書かなくてもOK。


次に6種類の非和声音だが、
これは経過音、刺繍音、倚音、逸音、掛留音、先取音を
メロディーをよく見て書き込んでいく。

画像①では各非和声音の頭文字だけをとって
「経」とか「先」のように書いてあるが、
自分でわかれば「ケ」とか「セ」などのように
簡便にするためカタカナなどにしても良い。


こうすることでヒット曲で非和声音が
どのように使われているかがわかるわけだが、
これが結構勉強になる。


今回の曲(MICHELLE BRANCHの「Everywhere」)であれば二重倚音や
二重先取音や逸音などの使い方が面白い。


またリズム的な側面も非常に重要で
16分音符の細かいアンティシペーションがたくさんある。


テンポは101とミディアムテンポの曲だが、
16ビートを感じさせる複雑なリズムとアンティシペーションによって
スピード感があり退屈を感じさせないメロディーになっている。


自分一人で作曲していたら
なかなか使わないリズムや非和声音の使い方と出会うことも多いし、
何よりもヒット曲のリズムと非和声音の生きた使い方を学べるのは
自分で作るときの大きな参考になるはず。


メロディーの作り方は誰にも「癖」があって、
何十・何百と作ると「毎回似たようなメロディーになってしまう…」みたいな感じで
マンネリになってしまうことがある。



それはいつも同じようなリズム同じような非和声音の使い方
同じようなフレーズ感を使っているという部分に
原因があるのだが、
それは個性であると同時に悪く癖にも成り得るのだ。



話し方、歩き方、物の食べ方など誰にでも癖があるものだが、
メロディーの作り方にも癖があり、
他人のメロディーを分析を通して見ていくことで
自分のメロディーも客観的に見ることが出来るようになる。



またヒット曲などに見られるメロディーの作られ方のコツや
ポイントなどもたくさん分析すると見えてくるが、
ここではその内容は除外する。



上記のようにリズムと非和声音(ハーモニー)の側面で
メロディーを分析するのはとても有益なのだが、
コードスケールなどの音楽理論を知らないと
上記のやり方が通用しない場合が出てくる。

画像②クリックして拡大


画像②のE♭コードの部分(ディグリーはⅡ)のメロディーをよく見て欲しいのだが、
コードがE♭なのにメロディーではソ♭が使われている。


E♭=ミ♭・ソ・シ♭なのに、メロディーでソ♭が出てくるのは
コードとメロディーの関係が合わなくなっておかしい?のだが、
こういう風に「なんでこの音が出てくるの?」とか
「どうしてこのコードが出てくるの?」のように
ノンダイアトニックコードやメロディーが出てくると
途端に分析が難しくなる。

普通に考えるならば
E♭=ミ♭・ソ・シ♭ならば、メロディーではソを使うべきだが、
なぜかそうなっていない。


どういうつもりでミッシェル・ブランチはソ♭を使っているのか?


ここで重要になるのがコードスケールなのだが、
E♭のところのコードスケールはなんだろうか?

答えは「E♭スパニッシュ8スケール」で、
ソ♭の音は#9thのオルタードテンションだ。



「え?なにそれ?」と思われた方は
どうしてもコードスケールの勉強が必要になる。


コードスケール理論がわからないと、
分析していても意味がわからない部分がたくさん出てくるが、
わからないことをわからないままにしておくのであれば
分析の意味はあまりない。


例えばCメジャースケールで作曲していて
白鍵のみで曲を作ると単純な曲しか作れない。


ところが実際のヒット曲ではCメジャーキーでも
なぜか黒い鍵盤がコードやメロディーにもたくさん登場する。


これらは色々なテクニックが使われているからなのだが、
黒鍵が出てくる部分は
自分で意味がわかっていないと応用できないし、
丸々パクるような使い方も自信を持って行えないかもしれない。



この辺は前回同様、音楽理論の世界に入ってくるのだが、
こういったことがわからないとどうしても高いレベルの曲を書くことに
足枷になるのでまずは基本的な理論を習得することをお勧めしたい。


私が以前書いた本でも
コードとコードスケールの関係を徹底的に明確にすることで
作曲における曖昧さを払拭することにかなり力を使っている。


勉強する方法や本は何でも構わないのだが
少し厳しい言い方をすると
こういった基本的な音楽理論を知らないと
ヒット曲の分析すらままならないのだ。



コードスケール理論がしっかり習得できている人は
出来ればすべてのコードの下にコードスケールを書き込むと良い。


最終的には見た瞬間にわかるようになるのが理想だが、
とにかく誰のどんな曲でも「この音使いの意味が理解できない」という部分を
なくすことが大切だ。


登場するすべてのコードのコードスケールがわからなければ分析は難しいし、
それが出来ないと自分で作曲するときの応用も難しい。


基礎から固めて行かないと高いレベルに到達するのは難しいのだ。



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