夢の国から悪夢の国へ 40年続いたアメリカン・バブルの大崩壊 下 | 53歳 おっさん社長の日記

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このブログはもう8年ぐらい前から書いております。タイトルも入れ替えて、月に数回書いていきたいと思います。コメントは放置でしたが今後は書くようにしたいと思います。

おはようございます。

昨日は、日本戦を見ていました。前半終了まではよかったのですが。。。負けちゃいましたね。

香川がまともに機能していないので、先発ではなくサブとして使うのも手かもしれません。それと、ディフェンスがあれではダメですね。パスも通っていませんでしたね。全体的に雨のせいもあり動きが悪かったのではないでしょうか。

前半からハラハラして見ていましたが、決定的に崩されちゃいましたね。残念です。

台湾から昨日夜遅くに帰ってきました。外国に行ってちょっとだけリセットしてきましたが、台湾は外国にいる気が全くしないのです。

街も相変わらず地味だし、僕の中国語がそんなにさび付いておらず、そのような意味では何にも困らないですよね。

食べ物も、買い物ものまあ、のんびりできました。

さあ、今週からがんがんと仕事をしなと!

さて、本題のアメリカの話の続きを書いていきたいと思います。昨日の記事はここです。
夢の国から悪夢の国へ 40年続いたアメリカン・バブルの大崩壊 上

何で、この話をしつこくしていくかと書くのかといえば、現在の自民党の政策が、この米国の政策をフォローしているように見えるからです。

もちろん、日本政府が米国のこの惨憺たる結果を願っているということはないと思いますが、企業のためによかれと思ってやっていることが結果として国民としても、また国としても幸せにならないとしたら、皆さんどう思われるでしょうか。それが現在のアメリカなのです。

竹中平蔵氏が自己責任と言い切る『新自由主義』と言われる政策の数々の結果をとくとご覧いただければ、ではどうすれば良いのか?という考えにもなるのではないかと思うのです。もはや、新自由主義ですらなく何か別なものにも見えてきますよね。

昨日の続きで、アメリカでの若者の所得の話から初めます。

若者(18~29歳)の所得は1980年代に、全勤労者平均に対して85%でした。つまり、若者の初任給に近い金額は、労働者全体の8割以上は確保していたわけですね。ところが、2010年には60%しか貰えなくなります。これは勤労者全体が上がっていったというよりも、若年労働者が賃金があまり上がっていないということを指すのかもしれません。

昨日の若者の敵は安い賃金で働くことを許している高齢者ということになるわけです。

そして、アメリカでは、レイオフなどは勤続年齢の短い者から行うのが慣行になっていますので、当然に不況になると若者の首がはじめに切られるというわけですね。それはそれはちょっと怖い話ですよね。

さらに、これに追い打ちをかけるのが大学の学費の向上です。

1978年から2013年の35年間で、大学の学費は11.4倍になっています。自動車は2倍、医療費でも6倍ですから、大学の学費は医療費の伸びを大幅に上回るのです。

現時点で、だいたい私立の一流大学の学費は年間4~5万ドルします。つまり1年間に400万円以上の学費を払わないと大学卒業の資格は得られないわけです。4年で1600~2000万円ぐらいかかるんですからね。それに生活費の仕送り?普通の人は無理でしょうね。

どうしてこうなったかといえば、学歴による所得の差が大きいのです。日本は社会に出てしまえばあまりどの大学を出たのかは出世に関係ないといわれています。実際に、僕は3流私大の近大ですが、同期で課長になったのは早いほうでした。早稲田出身の人間でものんびりしていると課長になれなかった人もいたわけです。第一当時は、近大の卒業生は僕のいた会社に入れなかったのです。関学の先輩社員に、そう言われました。おまえが入社できたのは中途だからだぞってね。

アメリカの場合は、統計ではっきり出ているのは、大卒よりマスター、マスターよりドクターの方が収入が多く、首も切られにくいという厳然たる事実です。さらに、聞いたことがない三流私大よりもアイビーリーグの方が収入が高くなっている部分もあるのではないでしょうか。

そのため親は可能性があるのであれば何とか教育を与えたいと躍起になります。もちろん本人も自分の人生を切り開くために大学に行きたいと考えます。

そのために、学費が高くても何とかせめて大学にだけは行こうとする人が後を絶たないというわけですね。学費を高くしても志望者数が落ちなければそれは高くしますよね。

そして、そこに立ちはだかるのが学生ローンという代物です。大学を卒業するのに生活費も入れて2千万円以上かかりますのでそれだけの投資を子供にできない親は、子供が借金をするしか選択肢が有りません。奨学金がないので進学をあきらめるというのは普通に存在する話になってきています。

その中で、学生ローンは非常に簡単に借りられるのですが、自己破産による免責が一切認められていません。以前は政府系のローンだけに認められていたのですが、現在は民間の学生ローンも何が何でも絶対に支払わないといけなくなっているのです。しかも取り立ては、高利貸しがうらやむほどの好待遇。給料からの天引きを本人の了承を得なくてもできるなどの特典満載です。特典満載なのでは、借り手ではなく貸し手なんですけどね。

もちろん、過去に学生ローンを借りて自己破産をしたずるい人間がいるのだと思いますが、それにしても信じがたい現状ですよね。

現在の学生ローンの貸し出し残高は9000億ドルとなっています。日本円でおよそ90兆円です。1999年からの15年で6倍を超える伸びですね。

ちなみに、クレジットカードの支払い残高は7000億ドル前後ですから、いかに大きな金額になっているかが解ると思います。人生の間の4~5年のために、90兆円もお金を借りる人がいるわけです。大学進学率が精々50%ですし、親がかりの学生もいる事を考えると凄い数字ですよね。

そして、大学だけではなく教育費全体もものすごく高いことになっています。

アメリカの場合はまともな家庭に育つと中学校以降は私立というのが当たり前になっています。そうでないと子供が危ないからなんですね。貧困層が多い公立中学は、ガンやナイフを使った暴力行為やドラッグの温床にもなっています。なので、私立の高校や中学の学費おうなぎ登りで、ますます貧富の差が広がるために一役買っています。

ちなみに、人種による所得の固定化も大問題で、アメリカで勝ち組は、アジア系と白人だけになっているそうですね。その辺の詳細は細かくなるので割愛します。

まだまだ続きます。え~、まだ続くの?と思うでしょう!僕もそう思いました。

もっと深刻なのは公教育を食い物にしている存在です。

1950年から2009年までに増えたのは、学生数は96%とほぼ横ばいなのに対して、教師は2.5倍になっています。ここまではきめ細かい教育のためかなと思うのですが、事務スタッフの数が何と7倍になっているのですね。

さらにこの事務スタッフという名前の公務員がえらいことになっています。

イリノイ州の教育委員会の事務職員の平均給与が、学区により違うのですが12~20万ドルとなっています。公務員の平均給与が1200万円から2000万円となってるのですね。日本の公務員の皆さんは平均所得が精々600万円前後ですのでアメリカは2倍以上になっています。そして、イリノイ州の教育長の報酬が25から32万ドルです。目を疑いますね。教育長が日本の国会議員よりも高収入とは。

もちろんこの風潮は公務員全体に及んでいます。

2000年から2011年の変化で見ると、民間企業の全報酬平均が4.5万ドルから6.4万ドルに上がったのに対して、連邦政府(国家公務員)文官の全報酬が7.6万ドルから12.8万ドルになっているんですね。

国家公務員の平均が1300万円ですよ。あくまでボーナスも含んだ平均です。しかも、人口当たりの公務員数は日本の2倍以上ですからね。単純に日本の4倍以上の費用が公務員の人件費にかかっているのですね。

もうお腹いっぱいですか?でもまだ続くのです。さらにさらに深刻な話をすれば、政治すらもう民間人のために何も行われていません。

アメリカの政治の基本は要求のないところにはなにもしないのが基本です。

そのためロビーストという職業が存在します。このロビーストになれば、ここ経由の献金は青天井になります。きちんと会計申告しているお金は、きれいなお金だからいいんだそうです。おかしな話ですよね。

帳簿に載らない資金は汚いお金で、帳簿に載ってさえいれば全部きれいなお金なんて日本人の倫理観に合うのでしょうかね。

前回の大統領選挙のオバマとロムニーの献金者リストを見るとこんな事になっています。

オバマ カリフォルニア大学100万ドル、マイクロソフト76万ドル、グーグル73万ドル、アメリカ連邦政府62万ドル、ハーバード大60万ドル

ロムニー ゴールドマン99万ドル、バンカメ92万ドル、モルガンスタンレー82万ドル、JPモルガン79万ドル、クレディスイス62万ドル

笑いますが、連邦政府がオバマに寄付しちゃっています。それだけ人件費の高騰は美味しいのですかね。しかも1位と5位が大学です。これではますます大学が儲かるようになりますよね。

認定ロビーイストになると、議員にいくら献金しても構わないので、有力企業からの献金だけで数百億円とかになっても全然平気です。実際に議会工作に数十億円使う企業はどんどん出てきます。企業側は寄付で落とせるし、見返りに自分に有利な法案が通るわけです。これで、その業界にどんどん有利に持って行っているわけです。それが、大学で有り、金融業界で有り、医療業界な訳です。これって、日本でやると完全に贈収賄になると思うんですが、アメリカではOKというわけですね。議員1人当たりが1社で数千万円になると思うのですが、それでも全然平気です。

そして、議員はせっせとその業界に得になる法律を作るわけです。

これでは庶民に良い政治なんてできる訳無いじゃないですか。

さらに庶民を搾り取るのにもっと良い方法があります。もうお笑いの世界ですよね。どこまでずる賢いのか?と思いませんか。

割れ窓理論で、どんどん人々を収監しており微罪でも直ぐしょっ引かれる。そして、留置所が常にいっぱいになります。さらに、粗暴犯以外でもどんどん収監して、服役している人の数が150万人(データによっては200万人越え?)を超えているみたいですね。これを日本に当てはめると70万人も服役囚がいる計算になるけど、日本では実際には6万人ぐらいしか服役囚はいません。つまり、アメリカの1/10なんですね。

これでどうやって儲けるかと言えば、刑務所は民間が運営しているのです。

民間委託の刑務所は、受刑者1人当たり80ドル前後の経費を企業が地方自治体に請求しています。1泊3食付きで80ドルってどんな高級ホテルだなんでしょうね。服役囚にそれだけのコストをかけるって一体何なんでしょう。

しかも1990年代から2010年までの20年で施設規模が3倍になっている。服役囚が増えたので、刑務所も3倍に増設したのです。

さらに、刑務所企業は、地方自治体とは稼働率90%とかで契約しているので受刑者が半分しかいなくても企業は90%貰えるのです。企業からしたら刑務所建設に投資しているので、当然な権利なのでしょうね。それも全米でたった2社で刑務所運営会社が、業界のシェア75%を占めています。つまり寡占化が進んでいるので、競争なんか起きっこないわけです。

もっと儲かるのが、受刑者を時給80セントから4ドルでつかう囚人労働ですね。4ドルでも民間の最低賃金8.9ドルの半分にしかなりません。派遣を受ける企業は、様々な製造現場ですが、美味しいですよね。労働力を普通の人の半額以下で使えるんですよ。

囚人を使っているのは、ボーイング、スターバックス、ヴィクトリアズ・シークレットなども含まれているんだとか。

これがアメリカの現実です。

もちろんこれ以外にも酷い例が沢山書かれていましたが、とにかくアメリカは経済的にも政治システム的にも模範にできるところがあまりなくなってきています。 庶民のための政治としての理念を失ってしまったこの国はどこに行こうとしているのでしょうか。

まだ、日本の方が100万倍マシですが、どうして日本の政治家はアメリカを見習おうとするのか本当に疑問ですね。

なんか書いてきて暗くなってきました。そんなことで、アメリカの現状をよく見たければこの本を読んでみるといいかもしれませんね。

日本の将来がこうなるということであれば、明日から刑務所会社でも立ち上げて、政治運動でもした方が将来のためかもしれません。でも、パソナが日本初の刑務所民間委託会社になりそうですよね。

さあ、今日も頑張ろう!っと。