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Kierkegaard

波の声が聞こえる

海が近いのだ

閉じた瞼に、吸い込まれそうな澄んだまなざしが映る

体の奥に残る残滓のような熱さ

どくんどくん、耳で感じる、自分でない心音

ぱちくり、マヤが目を覚ました。

瞳に映るのは、比翼連理の契りを交わしたひと

指先で、柔らかそうな毛に触れる、額、眉、瞼へなぞっていく、指先で、もう一度記憶するために

「それだけ」

「起きていたの」

「ああ、もう少しだけ、ごろごろできる」

「だめですよ、朝ごはんの支度します」

体をゆっくり起こそうとするマヤの体を、真澄はシーツに沈めた。

「せっかくの夫婦休暇なんだから、ごろごろするの」

「もう」

***

とあるつぶやく社長がTOPの芸能会社

「たく、何が夫婦休暇よ、この未処理案件は、何?」

有能な女史だって叫びたいときがある。

最近の秘書室には、水城女史専用の小部屋がある。

時折、ボカ、スカという音が響く、社員は、近寄らない。

すっきりとした顔の女史がいるおかげで、会社は回るのだ。

***

「どうしたんですか?」

こめかみに手を当て、青ざめた顔をした真澄があった。

「何だか、風邪かな」

「大丈夫ですか」

マヤの白い手が額にかかる、やさしく撫でる。

「大丈夫、君がいれば」

照れたようにマヤが笑む、真澄を笑みを返す。

「散歩に行こう」

「はい」

手を繋いで、外を歩く、小春日だった。