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Kierkegaard

未明の空が、蒼のグラデーション色に染まり、夜が明ける。

窓から差し込む夏の日差しが、長い睫の影を頬に映し出す。

「うーん」

蓮は、寝返りをうち、まだ、覚醒しない意識を追い出して、上体を起した。

何度か頭(かぶり)を振って、ベッドから抜け出すと、窓辺に立ち、ブラインドに指を掛け、外の景色を見やった。

「今日も、暑そうだな」

蓮は、目を静かに閉じて、想い人の姿を浮かべた。

ピンクのつなぎを着た少女の、生き生きとした姿だった。

さあてと、蓮がシャワールームへ向かう途中で、床に落ちている一枚のはがきが、目に留まった。

それは、モデル仲間から送られたポストカードで、クリムトの「接吻」が描かれていた。

世紀末のウイーンで、才能を存分に開花させた画家の一枚。

蓮は、バレンタインで貰ったワインゼリーのお礼にと、頬に口づけを落としたときのことを思いだした。

あの時の俺は、・・・

「この絵のモデルは、画家の恋人だっけ・・・」

君と思いが通じて、この絵のような口づけを交わす日は、そう遠くない未来だ、そう、蓮は、決心した。



***

クリムト的な絵が描きたいなあと落書きした、撃沈した、でも、もったいないから、駄文を添えました。