<10月16日(土)>

良いお天気でしたが、寒い日でした。こんな日は家にいて、テレビとパソコンで遊びましょう。溜まってる記事もどんどん片付けにゃですから、1ケ月も前に観たコジ・ファン・トゥッテを今頃アップ。あっぷあっぷ

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オペラ三昧イン・ロンドン


ROHの新シーズン第一弾だってのに、えーっ!、またコジなの~? こないだやったばっかじゃん(→こちら )。


と当然思ったのですが、歌手の力量がよくわかって聴き応えのあるオペラだから、真っ白でつまんないプロダクションだけど、行きますDASH!

肝心の歌手陣はというと、ドン・アルフォンソが「ちぇっ、またか、うんざりだな」とどうしても思ってしまうトーマス・アレンだけど、主役4人はこの役では初めて聴く、しかも本当に若いフレッシュな2カップルなので、期待は高まりました。


コジ・ファン・トゥッテっテ(女は皆そんなもの、という意味です)どんなお話なの?仰る方は以前の記事(→こちら )をご覧下さいなのですが、


要するに、

クリップ

舞台はナポリ。「女は皆浮気者なんじゃよ」ともっともらしくのたまうオジサンに、若者二人が「いや、俺たちの恋人はそんなことはないぜ」、と。そんなら賭けようじゃないかとということになり、青年二人が変装して姉妹を口説き、彼女らの貞節さを証明しようとするが、お嬢様方は一日でコロリと変心。一見女性蔑視で非現実な筋書きなんですが、これがなかなか良く出来てて、さすがダ・ポンテとモーツァルトの名コンビの作品クリップ


オペラ三昧イン・ロンドン

Director/Set designs Jonathan Miller
Conductor Thomas Hengelbrock
Ferrando Pavol Breslik Guglielmo Stéphane Degout
Don Alfonso Thomas Allen/William Shimell
Fiordiligi Maria Bengtsson
Dorabella Jurgita Adamonyte
Despina Rebecca Evans


オペラ三昧イン・ロンドン    オペラ三昧イン・ロンドン


9月10日と22日と2度行き、左右の舞台袖席から一回づつ聴けて満足だったパフォーマンスですが、結論を先に言うと、若者4人は若くて溌剌として歌も芝居も上手で、超有名歌手はいなくても、レベルは高かったですクラッカー



オペラ三昧イン・ロンドン
フェルランド(テノール)

ROH初出演の31歳のスロバキア人Pavol Breslik君が一番の楽しみだったのですが、声も姿も私好みのな素敵なテノールで、大ファンになりましたラブラブ!


このプロダクションで何が一番嫌かと言うと、変装後の青年二人が時代遅れだし全く格好良くないヒッピーみたいないでたちになってしまうことで、カーテンコールの写真もナンなのですが、その前のグレーのばりっとした背広姿はとても良くて、オペラ歌手でなくても、「あら、なかなか良い男じゃないの」、と思うくらい(←容貌の貧しい人の多いテノール界では珍しいことです)。


途中で喉の不調で2回降りていて、私が聴いた2回もほんのちょっと咳払いしてたので絶好調ではなかったのかも。もしそうだとしたら、ベストな時はどれほど上手なんだろう?! 確かめるためにも、追っかけしたいくらいラブラブ 


今までかなりのフェルランドをここで聴きましたが、間違いなくベストの一人(他で良かったのはマシュー・ポレンザーノ)。


尚、ブレスリク君が病欠した時の代役は二人いて、Allan ClaytonとJeremy Ovenden。アラン君は、今年グラインドボーンでこの役をやったのですが、去年のオテロのカシオ役で気に入ったので、その日はウィーンに行ってたので無理だったけど、知ってたら駆けつけたのに、残念むっ


オペラ三昧イン・ロンドン    オペラ三昧イン・ロンドン


グリエルモ(バリトン)

ステファン・ドゥゴー(って読むのかしら)は、4年前のチェネレントラで聴いたことがあり、その時はぱっとしなかったので期待は低かったんですが、今回はなかなか良くて見直しました。但し、若そうなのにすでに髪の毛がかなり淋しくなってるので、彼の場合は後半のカツラ扮装の方が、地が出てしまう背広姿よりも素敵でした。でも、ステファン君、大丈夫よ、たいていの役はカツラ被るんだから。


フィオディリージ(ソプラノ)

Maria Bengtssonは、ジャンニ・スキッキで有名な「私のお父さん」を聴いたことがあるのですが、それだけではよくわからないものの、特に上手だとも思えなかったので、歌唱的に一番難しいフィオディリージなんて歌える実力があるのかしら、と心配でした。

そしたら、やっぱり4人の中では一番安定感がなくて、「彼女が弱点」とほとんどの批評で書かれてました。でも、嫌いな声じゃないし、あら、なかなか良いじゃないの、と思える箇所も何度かあって、2度聴くのも苦痛ではありませんでした。それに、毎回ほぼ同じのむさくるしいヒッピー姿の男性とは対照的に、姉妹の衣装は毎回新調されるので楽しみなのですが、すらっとした美人のマリアのパンツ姿はどれも、パンク・ネエチャン風の衣装ですら、エレガントでファッショナブルサンダル



オペラ三昧イン・ロンドン
ドラベッラ(メゾ・ソプラノ)

The Gamblerのちょい役とこないだのフィガロの結婚のケルビーノで声が気に入ったユルギータ・アダモナイテをやっと本格的に聴けるのがとても楽しみだったのですが、声量充分なピュアな美声だけでなくテクニックもとてもしっかりしてて、ずっと聞惚っぱなし口紅 さらに嬉しい驚きもあり、コロコロしてるイメージだったでビジュアル的にはあまり期待してなかったのに、すっきり痩せて美しくなってましたキラキラ


女の子女の子

二人とも金髪のせいか、ほんとうの姉妹のようで、しかも、設定通りの若い美人姉妹だったのも大きなオマケ。今まで、レシュマンとガランチャ(→こちら )も、先回の二人も(→こちら )、金髪と黒髪という組み合わせだったので、それはそれで対照的で良いのですが、今回のように似ているのもいいですね。ルックスは似てても姉妹は性格が異なるので混乱する心配はなく、歌と芝居で違いを表現するのも興味深いです。

 


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

ドン・アルフォンソと女中のデスピーナの中年コンビはというと・・・


ドン・アルフォンソ2人

この役では特に聴き飽きたSirーマス・アレン、声の衰えは明らかですが、まあこの役は大して歌わなくてキャラだけだから、洒脱で余裕たっぷりでしかも堂々とした初老ダンディのアレンは決して見劣りせず、この役で彼を始めて観る人は凄く良いと感じるでしょう。

幸いなことに、一回病欠してくれました。ROHのドン・アルフォンソは2人しかいないのか、代役は先回と同じウィリアム・シメル。ネトコと共演したROH日本引越公演のマノンを終えてばかり彼は時差ぼけもあるだろうに、おふざけなアレンとは全く違うユーモアの欠片もなさそうな硬質のアルフォンソを好演してくれました。声はシメルの勝ち。


デスピーナ

レベッカ・エヴァンスのデスピーナはすでに観たことがあるし、他でも嫌というほど聴いてるので、なんだ又彼女かガッカリだったのですが、今回は最近では一番の絶好調で、まろやかな声とコメディセンスで抜群の出来でした。彼女、まだまだ捨てたものじゃないです。


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