<6月26日(土)>

30度は越してたんじゃないかしら。シモン・ボッカネグラのリハーサルを観てから、買物であちこちうろうろしてたんだけど、暑さと人混みでぐったり。

それなのに、夜はパソコンで片付け仕事しながら、こないだのROHのアイーダ録音をラジオで聴きながら、ウィンブルドン試合のテレビ観戦という複雑なことをしてたら疲れてしまい、折角の土曜日なのにえらく早く寝てしまった。咳もほとんど出なくなったので寝室で寝かせてもらえるようになったので体も休まるしね


<6月27日(日)>

W杯、イングランドは宿敵ドイツ(宿敵と思ってるのはこっちだけかもだけど)に4-1でボロ負け。1点差で負けてたら審判の誤審のせいということになって後味悪いでしょうが、あれだけ徹底的にやられると諦めついて気分すっきりで、これで心安らかに高見の見物ができるというものです。まだマレー選手が残っているテニスはハラハラだけど。

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オペラ三昧イン・ロンドン
6月26日、ロイヤル・オペラ・ハウスのシモン・ボッカネグラのリハーサルに行ってきました。


どんなお話なのかは、以前の記事(→こちら )をご覧下さい。


オペラ三昧イン・ロンドン
Composer Giuseppe Verdi
Director Elijah Moshinsky
Set Designer Michael Yeargan
Costume designs Peter J Hall


Conductor Antonio Pappano
Simon Boccanegra Plácido Domingo
Amelia Marina Poplavskaya
Fiesco Ferruccio Furlanetto
Gabriele Adorno Joseph Calleja
Paolo Jonathan Summers
Pietro Lukas Jakobski


本チャンを観てから舞台写真などもアップしながらあれこれ書くつもりですが、今日は手短にドミンゴ先生のことだけ書いておきます。

責任感が強くて律儀なドミンゴ先生のこと、今年の春に体調崩してヘンデルのタメルラーノ(→こちら )で降板したのを申し訳なく思ってたに違いありません、心待ちにしてるファンのために、忙しいスケジュールをやりくりしてリハーサルにも出てくれました。


もっとも、今回のリハーサルは買わせてもらえる切符枚数枠(2枚だけ)を食ってしまうという特別処置だったので出ないと怒るでしょうし、リハーサルは写真を撮るという大事な用があるので、たとえ歌わなくても出る必要はあるわけですが。


そして、カメラマンの数で注目度が計れるわけですが、当然のことながら今日は今までにない程たくさんいて(軽く10人はいたと思う)、パフォーマンス中カシャカシャという音が一際煩かったです。


キャーッ! 超有名なドミンゴ先生だから年を食っても誰よりも素晴らしいに違いないわっ!うっとり~ラブラブ!


と盲目的に信じてる人もたくさんいるでしょうし、それはそれで羨ましいことですが、私ときたら、録音や映像で接した全盛期の頃ですら彼のことを良いと思ったことはないし(好みの問題ですが)、この10年程は生で聴く機会も何度かあったけど、いつまでもしがみつかずに辞めたほうがいいんじゃないかなあ、といつも思ってたくらいですから、


そんな冷めた私から観たドミンゴ先生のパフォーマンスはどうだったかというと・・・、

オペラ三昧イン・ロンドン
    オペラ三昧イン・ロンドン      

テノールはしんどくてもう歌えなくなったドミンゴ先生、さすがと言うか諦めが悪いと言うか(熱意には頭が下がります、嫌味じゃなくて)、今度はバリトン役にまで手を広げ、このボッカネグラが手始めなのですが、高い音を無理して張り上げる必要がなくなったわけですから余裕たっぷりで、声もよく出て、年恰好も役柄に合ってるし、威厳のある存在感で立派なものでした。


仕方ないことでしょうがバリトン歌手にしては低音の迫力に欠けてて、低音の迫力そのもののようなフルラネットと一緒だとますますその欠点が目立つわけですが、その低音にドミンゴ先生特有の甘さがよく出てて、あまり低音の魅力には惹かれない私は、逆にこういう軽くて美しい声のバリトンもいいじゃないの、と感じました。誰だか知らないで声だけ聴いたら、この人テノールに転向すればいいのに、と思うに違いありません。


元々はバリトン歌手だったのにテノールに転向したドミンゴ先生、テノール時代は高音が苦しそうだったし、バリトンだと低音が弱いし、と、要するに中途半端な音域なんでしょうが、中音の美しさでここまでのし上がったのは凄いことだし、声は好みでなくても誰よりも数多くの役に挑戦した努力はいつも尊敬してました。そして70歳を目前にした今また新たな役に取り組んだ勇気ある姿に接して、決してファンではない私ですが、それなりの感慨はありました。


但し、ドミンゴ先生の歌唱で私が気に入らない息継ぎの部分(ブツっと切れていかにも苦しそうなんだもん)はそのまま変らず、聴きづらかったです。


今日はupperslipでしたが(4ポンドは超お得でしょ)、2回行く予定の本番は舞台横の席なので、まじかに観るのが楽しみです。プロムスでもコンサート形式でやってくれるし(私は行きませんが)、野外スクリーン中継が7月13日、BBC中継が7月10日にありますから、ROHの切符が買えなかったも楽しめる筈。


これからバリトン役でどんどん新境地に挑むのかと思いきや、もうすぐ歌うのは辞めると仰ってるらしいドミンゴ先生ですから、ロンドンはこれが最後ですね、きっと。南無阿弥陀仏と唱えながら拝聴しなくては。初老バリトンには良い役がたくさんあって、リゴレットなんかやったら良い味出せそうなのに惜しい気もしますが・・・。


ステージドアにはたくさんの人が待ってましたが、ドミンゴ先生他数人は夜にウィーンでのガラ公演出演のために急いで飛行場に行かなくてはならない筈ですから、別の出口からこっそり逃げたかも。サービス精神に溢れたドミンゴ先生のこと、待ってる人を見たら無視できないでしょうからね。


オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

オペラ三昧イン・ロンドン     オペラ三昧イン・ロンドン

ドミンゴ先生のことだけ、と言いながら、他の人の感想もちょっと書いちゃうと、


先回(→こちら )はなんと代役でこの役を歌ってくれたフルラネット、今回も素晴らしくて、重厚な歌声と芝居でヴェルディらしい重みと品格を加えてクラッカー


私のご贔屓テノールのカレヤは期待通りの伸びやかな声で、先回はへなちょこテノールで大いに不満が残ったこの役をこれ以上ない程レベルアップしてくれました。長髪カツラのおかげで遠くの席の私にはハンサムに見えたしねキスマーク


一人で足を引っ張っりまくったのは、そうなるんじゃないかなと心配した通りポプラフスカヤ。彼女のくぐもった声が大嫌いですが、それでもドン・カルロなんかはかなりましだったのに、今回は一段と醜い声でコントロールも不足。先回アニャ・ヘルテロス嬢が素敵だったので聞惚れたこの役をそこだけ耳をふさぎたくなる位落としめられて悲しいです。決して穴をあけないのは立派なんですが、病気になってくれないかなあダウン


パッパーノ大将の指揮はいつも通り文句なしで、最近トラヴィアータ、アイーダとヴェルディが続くROHですが、ヴェルディばかりでも良いと思うくらい素晴らしかったです。お馴染み度は少なくて渋いしストーリーが内容的にいまいちなんですが、これもヴェルディの名作。

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