綺麗な華ほど…… 6 | ぺんぎんの戯言ブログ

ぺんぎんの戯言ブログ

スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

悩むキョコさん。

∽∽∽∽∽∽∽

社さんに話してしまった以上、電話をしないという選択肢は取れなかった。
でもどうやって相談すれば・・・・

pipipipipi・・・・

「きゃぁっ」

いきなり目の前の携帯が震え始めた。
着信元を見れば・・・・敦賀さんっ!
私ってばなんて迷惑をかけているのっ!
ただでさえ忙しい先輩に電話しますって言っといて、無遅刻記録の敦賀さんに時間過ぎても電話せず、あまつさえ電話をさせてしまうなんてっ!

でも携帯を取る手が震えてしまう。
深呼吸をしてからボタンを押した。

『もしもし最上さん? 今、大丈夫?』
「敦賀さん、すみません。私からお電話させていただくって言ったのに、先輩の方から電話をかけていただくなんて・・・・」

ひぃぃっ、携帯電話の声だけでも十分破壊力抜群だわっ!
どんだけ色気駄々漏れなのっ?!
思わず正座から土下座に移行しようとすると、

『ストップ、またそこで土下座してるでしょ? 俺がかけたいからかけたんだけど。だから最上さんが謝る必要はないよ』
「でも・・・・」

あなたはエスパーですかっ?
でもやっぱり敦賀さんは優しい。こんなダメな後輩の事もこうやって許せる懐の大きさも魅力の一つなのかも・・・・

え? 私、何考えてるの!?
違うでしょっ! 今、聞きたいのは別のことで・・・・

『もしもし最上さん、体調が悪かったりするの?』
「いえ、そんなことはないですよ。それを言うなら敦賀さん、またあまりご飯食べていらっしゃらないらしいですねっ!」
『いや・・・・そんなこと・・・・ないよ?』
「その間はあるって言ってますよね。もうっ、敦賀さんこそ体調崩しちゃいますよ!」
『・・・・油物が多いんだ・・・・』

もう、兄妹の生活をしていた時も思ったけど、会ったばかりの頃と比べて敦賀さんは味にこだわる様になった。
和食が好きだったり、洋食でもどちらかというとさっぱりした物が好みだったり。

そんな中で油物の多いロケ弁がツラいという事だろう。

「だけど食べないと倒れちゃいますよ」
『そうしたら最上さんが看病してくれる?』

そうならない為に言ってるのに・・・・って、だから聞きたいのは別のことなんだってば!

「それより敦賀さんに聞きたいことがあったんです! 教えて下さいますか?」
『演技指導とかなら直接会って話を聞くけど?』
「そそそそれは無理ですぅ!」
『なぜかな?』

電話の向こうの声がすぅっと冷えた気がした。

*****

最上さんと会えない夜、いつもは酒の力で自分を誤魔化して、無理矢理眠りについていた。
でも今日はそんな事してられない。

しかし社さんから聞いた時間になってもかかってこない電話。
何かあったんだろうか? 時間には正確な彼女がもしかしてそんな困った事態になっているとか?

慌てて先日聞いた個人用携帯の番号を選んでコール音を待つ。
もしかして君が危険な目に遭っていたら、俺は・・・・
車のキーを片手に家を出ようした時、電話を取る音が聞こえた。

「もしもし最上さん? 今、大丈夫?」

彼女の応答からどうも電話をかけあぐねていたらしい事がわかってちょっとほっとした。
でも彼女の場合、電話を持ちながら土下座をしているはず。聞けばやっぱりそうらしい。

俺は君の声が聞こえる、それだけで元気を貰えるよ。
しかしその後返答が途絶えた。体調が悪いのだろうか?

『いえ、そんなことはないですよ。それを言うなら敦賀さん、またあまりご飯食べていらっしゃらないらしいですねっ!』

さては社さんが愚痴ったな。最近、暑くなって来た中で油物の多いロケ弁はツラくなってきた。
昔はどんな物でも口に押し込まれていたから、あまり気にしなかったんだけど、彼女と一緒に暮らした生活は確実に俺の味覚を変えていた。

でも君に会えるなら・・・・
という考えは、次の瞬間うっちゃられてしまった。

『それより敦賀さんに聞きたいことがあったんです! 教えて下さいますか?』
「演技指導とかなら直接会って話を聞くけど?」

今まで何度もそういう事はあったのに、今回は全力で断られてしまった。
なぜだ? 俺よりそのじじいが頼りになるから?
それとも周りの生徒に聞けるから俺は必要ないのか?

だがそんな俺の耳に特大メガトン級爆弾は落ちてきた。

『どうやったら敦賀さんみたいな恋する男の色気が出せるんですかぁっ!?』

一瞬何を言われたかわからなかった。君は何を言ってるんだ?
俺が答えたとして、その結果が君の恋に反映されるのか?

直後、頭の中で派手に何かが切れた音がした。
自分でも苛つく声が抑えられない。

「最上さん、悪いけど今は電話を切るよ」
『えっ、すすすすみません。そんなに敦賀さんを怒らせるつもりじゃ・・・・』
「いや、直接聞きたいから君の家に行くから」
『はぁぁ~~っ?!』
「じゃあ後でね」

それは君の周りでそういう男がうじゃうじゃいると言う事なのか。
大体、今まで俺を男として見てくれなかったくせに、今、こんな時に恋する男の色気ってなんだ?

社長から接触禁止と言われていても、向こうから接触してきたんだから構わないだろう。
俺の頭は茹だりすぎて正常に物事が考えられなくなっていた。

***** つづく

ここでもキレた蓮さん登場。
誰も見てないだろうけど、明らかに笑みは消えてる筈……