綺麗な華ほど…… 5 | ぺんぎんの戯言ブログ

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スキビファンが今まで読専だった駄文を書いてみました。

出版社、原作者、関係者には関係ない趣味の二次駄文です。
二次が嫌いな方や、悪戯、嫌がらせ等はご勘弁下さいませ。

因みに、基本的に尚ちゃんが好きではないので、尚好きな方は申し訳ありません。

さてキョーコさんの学生生活の続きです!

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この学校で生活を始めて三週間。

たった三週間なのに、なぜか私の所には毎日の様にクッキーやケーキ等の差し入れを貰っていた。
そして決まって手紙付き。
同学年の人から中学生まで、色々な人がくれるから困ってしまう。

「相変わらずコウキの人気は飛び抜けてるね」
「ホント、ホント。ご相伴に預かりありがとう♪」
「ううん、どちらかと言うと私は作る方が好きなんだけどね……」

最初の一週間、気付かず演劇の特訓の後にTシャツにパンツというシンプルな格好で普通に歩き回っていた。

中高短大と同じ校庭や体育館でアクションや殺陣、武道の特訓をしている所を見られていたらしい。
更に悲しい事に胸も含めて引き締まった身体が、女子校の中では俄然格好よく見えたらしく(おーちゃん談)、一気に熱が加速したらしい。

確かに女子校には男性の先生も勿論いる。だけどたけちゃん曰く先生は『男』じゃないらしい。
だけど不思議な事に、卒業生と結婚してる先生が少なくない。

「それはさ、どの先生もうちらから見れば同じ先生だし、あのひょろいのが男って言ってもねえ……」
「そうそう吹いたら倒れちゃいそうだもん」
「でも惚れちゃう奴もいるんだよね~~」
「……不思議だね、女子校って」
「あははっ、コウキの方が断然男らしいから!」
「「「言えてる~~!」」」

おーちゃん、それは誉め言葉じゃないから……

「で、コウキ。あの役できそう?」
「え~と……まだ掴めなくてね」
「実はコウキの為に持ってきました~~!」
「ああ~~、この前言ってた奴?」
「そう! じゃあ~ん!」

ナオキが出して来た雑誌を見て、目眩がしてしまった。a○a○の表紙には大きな文字で、
《男心、大研究!》
しかもそこには艶やかに微笑む敦賀さんの姿が!

「やっぱ蓮、格好いいよね~!」
「うん、マジでヤバイよね。うちのひょろい先生と同じ男とは思えないよね!」
「ヤバイ過ぎでしょ!あの男らしさ!」
「DMの時、美月になりたかったもん!」
「言えてる~、あんな瞳で見つめられたら魂抜かれちゃいそう!」
「もし抱き締められたら、気絶しちゃいそう!」
「じゃ万一抱かれたら?」
「きゃあああっ、考えただけで卒倒しそう!」
「コウキ、真っ赤だけど大丈夫?」
「ダ、ダイジョウブヨ……」

まさかあのドラマに出てました、なんて言えない……
それに私はみんなの会話だけで卒倒しそうなんだけど!!!

*****

放課後、いつも通り短大の教室で柔術の稽古が行われていた。

「本当に君は勘がいいな。教えがいがあるよ」
「まだまだ……先生には到底敵いませんけど」
「そんなにすぐに倒されたら面目無いじゃないか!?」
「飯島君、その時間ももうすぐね」

当初、色々な武道を一から教えるつもりだった講師達だったが、剣道、薙刀などを小さい頃に習っており、既に有段者だった。

その為に稽古のメインは柔術、合気道等になっていた。
それでも元々勘のいいキョーコは次々にものにしていった。

「じゃあ、俺の担当時間は終わり。後は星野、頼んだ!」
「はい、15分休んだ後に体育館で基礎体力作りするわよ」
「はいっ!」

タオルで汗を拭いながら、みんなと話していた事を思い出す。
男心がわかれば男役も出来るかな。
今度のドラマでモー子さんのボディガードをするのにも、勉強になるかも知れない。

でも今までやった男役って10歳の久遠君だけだし。女性を守って恋をする男心なんて全くわからない~~

しかもあの会話でみんなも言ってたけど、敦賀さんの男らしさは色気駄々漏れでヤバイのよ。
……でも他に相談できる人いないし……

深呼吸をしてから、社さんの携帯に電話をした。ドキドキが収まらないっ!

「つ、敦賀さんの今日の予定はどうなってらっしゃいますか?」

清水の舞台から飛び降りる気分で社さんに聞いたのだ。だってまさか仕事中にそんな事聞けない!
なぜと聞かれたら答えられないから諦めようとしたら反対に止められた。何でだろう?

『ままま待って、待って! 大丈夫だから。今日は21時には上がれる予定だけど』
「そうですか……あのちょっとご相談に乗って頂きたいので、その時間過ぎたらお電話しても良いでしょうか?」

心臓が飛び出そう! なのに返ってきた答えは?マークと、溜め息の出るもので……
暑くなってきた時期に食べたくないなんて、どこのわがままダイエッターなんですかっ!
ついセツの時の癖で兄を叱り飛ばす妹の気持ちが抜けきらない。

「……またそんな事してるんですか。大体、社さんや周りの人が甘やかすから食べなくてもいいや。とかいう欠食児童が出来上がっちゃうんですよ!」
『すみません……』

社さんも心配してる一人なんだろうけど、つい苛ついて当たってしまった。

その時、電話の向こうから通る艶声が聞こえて来て、当初の目的を思い出した。

無理っ! 本人に会って相談に乗って貰うなんて心臓がいくつあっても足りないっ!

「っ! とにかく21時過ぎにお電話させて頂きます! それでは失礼致します!」

慌てて電話を切った後で、えらく失礼な切り方をしてしまったと気になってしまった。今度社さんに会ったら謝らなきゃ……

再び溜め息を吐きながら体育館へと足を向けたのだった。

*****

家に戻ってから一人ご飯を食べた後、ナオキが貸してくれた雑誌を読んでいた。

《男性として理想的な女性像ってありますか?》
『やはり家庭的で芯のしっかりした子には惹かれるものがありますね』

《では反対に自分の中の男らしさ、敦賀さんの場合はあげたらキリが無さそうですが、何だと思いますか》
『好きな人を守れる強さでしょうか? でも中々俺も実行出来ないんですけどね』

きょーこさんは家庭的で、こうやって敦賀さんに守って貰ってるのかな……
他にもインタビューが載っていたが、その2つで雑誌を閉じてしまった。

男らしさを教えて貰おうとしたのに、答えがここに載ってるなら電話をする理由なんて無いのに。
兄妹で過ごしたあの期間に、守る強さはいっぱい見せて貰った。

女ばかりの中にいると、こうして男性の象徴の様に記事や話題になってる敦賀さんとの接点が思っていた以上に凄い事なのだと思い知らされて……

21時の時報を聞きながら、携帯電話を前にどう話すべきか、話さざるべきか、何を相談したかったのか……
一人椅子の上に正座をしながら、携帯電話に向かって、自分の中で押し殺した想いに苦しめられていた。

***** つづく

すみません、長くなってしまい電話までたどり着けず!
次回では必ず!