さて、本来は、前回のエントリーで関連のエントリーを終結するつもりだったのですが、この期に及んで、重要な情報を発見してしまいました。今回のエントリーでは、発見した情報を基にして、現職警察官の内部告発の信憑性について議論します。


 前述のように、現職警察官の内部告発には、

  「検察側からの圧力があって捜査を断念せざるを得なかった」
  「創価学会の信者と見られる検察官からの捜査打ち切りによって」
という内容が含まれています。しかしながら、これらの内容と、真っ向から対立する情報を発見してしまったのです。というのも、件の信田検事が、検察官送致の後に、転落死事件について前回のエントリーの一般的指揮権(刑事訴訟法第193条第2項)を行使して警察に再捜査を促しているんです


 具体的には、乙骨正生氏の著書「怪死」のpp.237-240によりますと、「東村山市民新聞」の第73号(平成8年3月20日発行)には、「議員殺害事件 検察庁、警察に捜査やり直しを指示」「あんな『報告書』は通用するほうがおかしいのです」という見出しの下、次のような記事が掲載されています:


 昨年12月22日、東村山警察署は、『朝木議員殺害事件』で東京地検に、『事件性は薄い』とする『報告書』を提出、捜査を打ち切る発表をマスコミに行った。

 ところが、東京地検はこの東村山警察の『報告書』をうけとったが、疑問点があるので、再捜査を指示していたことが判った。

 しかも東村山警察は、『自信をもって、書類送検した』と豪語した昨年六月の『万引き』捏造事件についても、検察庁から再捜査を命じられている。

 東村山警察の刑事課長は、今年三月に、草の根・矢野議員に『捜査に協力して欲しい』とすがりつくような態度をとっている。

 フタをすることができるような『事件』ではない。


 背景としては、この東村山市民新聞第73号は、矢野市議が、信田検事が創価学会員であることを知る前に発行されたものであることは知っていてよいと思います。東村山市民新聞第73号が平成8年3月20日発行であるのに対し、信田検事が創価学会員であることをスクープする週刊新潮は、平成8年4月26日号(注:矢野穂積著『東村山の闇』による。せと弘幸blog『日本よ何処へ』によると平成8年5月29日発売号)です。矢野市議は、東村山市民新聞第73号の発行時点では、信田検事が創価学会員であることを知らなかったので、信田検事が警察に再捜査を求めたという事実が自分に有利なことであり、積極的に公表すべきであると考えていたわけです。


 さて、上記の事実を前提として、現職警察官の内部告発との関係をみていきましょう。


 まず、検察官送致の前に検察(又は信田検事)が警察に圧力をかけて捜査をやめさせたのだとしたら、せっかく圧力をかけて「事件性が薄い」という報告書を作成させたのに、わざわざ、警察に再捜査を要求して問題を蒸し返したことになります。再捜査させずにそのままスルーしたら、不自然なことを何もせずに不起訴にできるんですよ。


 一方、検察官送致の後の捜査において検察が警察を圧力をかけたのなら、かの信田検事は、警察に再捜査を要求した後、捜査の進展がやばい方向になったから警察に圧力を加えて捜査をやめさせたってことになります。この場合でも、せっかく圧力をかける前に警察が事件性がないという報告書をあげているのに、わざわざ警察に再捜査させて問題を蒸し返す理由が見当たりません。


 このように、私は、現職警察官の内部告発の「検察側の圧力によって捜査を断念せざるを得なかった」という内容は、信田検事が、検察官送致の後に転落死事件について指揮権を行使して警察に再捜査させたという事実と真っ向から反していると思います。正体も不明な現職警察官の内部告発の内容が真実で、信田検事が指揮権を行使して警察に再捜査させたという情報が虚偽なのか、それとも、現職警察官の内部告発がガセネタなのか、どちらが適正であるのかは、自明だと思いますがね。


 というわけで、P2C的には、転落死事件についての現職警察官の内部告発の内容のうち、

  「検察側からの圧力があって捜査を断念せざるを得なかった」
  「創価学会の信者と見られる検察官からの捜査打ち切りによって」

というのは、うそ臭いと判断します。

 また、検察官送致の前の警察の捜査において信田検事が指揮をとったっていうのもガセだと断定してよいと思います。だって、検察官送致の後に、わざわざ警察に再捜査を命じているのですから。自分が指揮した捜査の再捜査を命じる人っていないでしょう。


 ところで、私は、検察官送致の後、矢野市議が信田検事が創価学会員であることを知る前に発行された東村山市民新聞の号には、信田検事がまじめに仕事をしていたという論拠がたくさん掲載されているのではないかと思っています。即ち、創価学会員である信田検事が捜査を捻じ曲げたと言うのがデマであることを、他ならぬ東村山市民新聞が証明しているのではないかと思ってます(もちろん、上記の第73号もその一つですよね)。もし、手元に東村山市民新聞を保存している方がいれば(以前、C.I.Lの荒井さん が取材した人は東村山市民新聞を保存してましたよね)、情報を下さい。

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 さて、これまでのエントリーでは、瀬戸センセーが朝木市議転落死事件に取り掛かってから、現職警察官の内部告発の存在を公表するまでの事象について分析してきました。本当は、次に、洋品店「表敬訪問」事件までの分析を行っていくつもりだったのですが、しばらくは「朝木市議万引き事件・転落死事件 まとめWiki 」の作成に注力したいと思います。というのも、ここまでの記事を書くときに、様々な情報が様々な場所に分散して存在するために非常に苦労したからです。例えば、万引き事件や転落死事件について「千葉副署長が捜査の指揮をとっていた」という事実を裏付ける裁判の判決を探しだすことだけでも、結構な苦労だったことを告白します。ですので、今後いい記事を書くために、まずは、情報の整理をしたいと考えています。


 このブログについては、しばらくは、リアルタイムに発生している事象について「軽く」突っ込みを入れることに使います。というのも、今までブログを作成していてストレスを感じていたことの一つは、リアルタイムでは瀬戸センセーは次々と色んなことをしでかしていて突っ込みを入れたいのに、内部告発について延々と書いていたせいで突っ込みを入れられなかったことです。過去の事象を振り返るのも大事ですが、リアルタイムの突っ込みもやってみたいので。


 そして、最後に、まとめWikiの作成について協力をお願いしたいと思います。まとめWikiの作成は、一人でやるにはあまりに大規模なプロジェクトです。折角、様々な方々が様々な資料を作成しておられますので、その転載についてご協力を頂ければ助かります。とりあえず、ブログを作成している方には、コメント欄やその他の方法で、転載の許可をお願いすると思いますので、宜しくおねがいします。また、自発的に、自分のブログの資料は転載を許可しますと宣言して頂ければ、非常に助かります。


【補足】

 この記事をアップしたあと、検察が警察に再捜査を指示したという情報が実は矢野穂積氏のデマであるらしいという情報を「ある筋」から入手しました(情報源は明かせません)。したがいまして、皆様方には、「現職警察官の内部告発」がガセネタであると断定することは早計であることをお知らせいたします。次のエントリーでも釈明いたします。


【補足2】

 上記の「検察が警察に再捜査を指示したという情報が、実は矢野穂積氏のデマであるらしいという情報」の信憑性を確認するのに多少時間がかかりそうです。少し猶予をください(11/12 22:15)。