敷金問題解決の為の法的根拠とは (2)
国土交通省「ガイドライン」、賃貸住宅紛争防止条例「東京ルール」の理論的裏づけを検証
NPO法人日本住宅性能検査協会
ADRセンター「日本不動産仲裁機構」
ところで、④業法の規制に上乗せする形で後述するように東京都は条例を制定し、
都内の居住用貸家の媒介や代理の業務をするに当って、宅建業者に別途「説明書」
による説明を求めています。
(2)さて本題の敷金(保証金)は、広義の一時金の一種でしょう。
貸家では、借主から月々支払われる賃料(家賃)とは別に、
一時的に、借家権の設定や延長の対価とか賃料の前払
いないし後払いとして支払われる、入口の契約締結時の礼金や中間の契約更新時の
「更新料」等と同種のものでしょう。
しかし礼金・更新料は、貸主からみて、いわば「取りっきり」であるのに対し、
敷金はあくまで「預り金」に過ぎません。
借主の①賃料の滞納や②賃貸物件の破壊・損傷や汚損されたときの損害賠償債務の
担保のために預託してもらっている金員なのです。
このような貸家の担保には、金員を預託してもらう「敷金」の他、
一般にはそれとともに(連帯)保証人を、借主からの委託により立ててもらい、
貸主は保証人との間と保証契約を結ぶ例が多いのです。
保証人の保証契約は、借主である主たる債務者が債務を履行しないときに、
代わって履行するということを内容とする債務です(民法446条)。
連帯保証とは、保証人に予め①まず借主に請求しろとの催告の抗弁権(同法452条)と
②まず借主の財産に強制執行しろとの検索の抗弁権(同法453条)といった
補充性が排除された保証です。
この保証による担保も、個人保証といわれる自然人によるものが通例です。
しかし個人保証は、親はともかく親戚などは義理で引き受けているのが実態で、
近時は適任者が乏しいきらいがあります。
そのうえ借家の保証は、特定の債務を担保するのではなく、借家という継続的な
取引から発生する債務を包括的に担保する根保証と呼ばわれているものの
ひとつでしょう。
このような事情から、このところ、法人保証など保証を業とする法人など機関に
よる機関保証がみられるようになりました。
この保証方式によると、借主が保証料を借家契約時に一括して支払うなり、
月々分割して支払うやり方がとられていたりします
(月1万円で2年継続されれば、保証する側は優にペイするともいわれています)。
続く