近年は、人が集まらない、平日じゃ困る・・・等々の理由から、例祭日を土日祝日に変更したいとする兼務神社も多くなりました。
そもそも例祭日って何なのか。
それ自体が分からなければ、このような意見がどんどん出てくるのも仕方ないように思います。
私は、そのような意見を伺ったとき、分かり易いようにこう答えています。
例祭日は、その神社の誕生日です。みなさんの都合で神社の誕生日を変えるのは結構ですが、もし自分の誕生日を都合が悪いという理由で誰かに勝手に変えられたら、納得できますか・・・と。
あるところに明神(みょうじん)さんと、氏子(うじこ)さん・氏男(うじお)さん・氏女(うじめ)さんがいました。
明日の11月26日は、明神さんのお誕生日です。
明神さんと、氏子(うじこ)さん・氏男(うじお)さん・氏女(うじめ)さんは、毎年お互いの誕生日にはみんなでパーティーを開いていました。
氏男さんがこう言いました。
「うちら三人の誕生日は、みんな休みの日だからいいんだけど、明神さんの誕生日だけは平日だから、うちら三人も集まるのがちょっと大変なんだよ。」
すると氏子さんがこう言いました。
「そうだね。どうだろう明神さん、あなたの誕生日をうちらと同じ休日にしないか。そうすりゃもっと友達も集まるし、明神さんにとっても都合いいでしょ。」
明神さんは、困った様子でしたが、何も言いませんでした。
翌日、明神さんの誕生日になり、明神さんは楽しみにしていた誕生日と言うことで張り切って準備して三人を待っていました。
しかし、いくら待っても氏子さん・氏男さん・氏女さんは現れる気配がありません。
どうやら、明神さんが何も言わなかったので、三人は了承を得たものと思い込み、勝手に誕生日の日にちを休日に変えてしまったのです。
明神さんは、とてもがっかりしました。
三人の勝手な都合で、自分の誕生日を祝ってもらえなくなったのです。
次の休日、三人は気合いを入れて明神さんの誕生日パーティーの準備をして明神さんが来るのを待ちました。いつもの誕生日よりもずっとたくさんの友達がいます。
でも、明神さんはそれ以降、変更された誕生日に姿を現すことはなかったそうです。
そして今も、本来の自分の誕生日を、誰に祝われることもなく、一人淋しく過ごされているそうです・・・。
みなさんは、自分の誕生日を大切にしていませんか・・・。
<神主・奈阿>