腰痛にもいろいろ種類がありますが、動き始めの腰の痛みが気になる方は非常に多いです。
動き始めの痛みは、「動作開始時痛」と言ったり、横文字で「スターティングペイン」と言ったりしますが、動作を始めるときは痛いけど、動き始めて少し経つと痛みを感じなくなるのが特徴です。
この動作開始時の痛みを東洋医学的に分析すると、「身体の縦方向の気の流れ」に変動がある場合が一番多いです。
古典では、慢性的な風邪として「ひ症(ひは痺という字に似てるのですが、ケータイではでてきませんでした)」という概念でとらえることが多いのですが、痛いという人の動きを観察していくと「縦方向の気の流れ」に異常があることが多いです。
実験してみるとわかるのですが、動き始めの腰の痛みを訴える人は、まず正座をしていただいて(正座ができなかったらイスに座った状態から)身体を左右に動かすことなく、そのまま真っ直ぐに立とうとする動作で痛みが出ます。
ちょっとやってみてください。真っ直ぐに天井から糸を引っ張られて釣られたように立ちます。どうですか、痛みが出ましたか?
痛みが出ることが習慣化すると、今度は立ち上がる際に意識的に身体を左右に振って立ち上がろうとするのが特徴的な動きで、真っ直ぐ立とうとするときに痛みが強く出て、身体を横に振ってから立とうとすると痛みが軽減されるのです。
つまり、立とうとする時に「上向き」に気が上昇するのに従って、身体がその気の流れにつられて立っていけない人が動き始めに痛みを訴えることが多いということです。
身体が動く際、身体より先に無意識ですが「気」の方が動いてきます。甘いものを食べようと思ったらすぐによだれが出てくるのと一緒です(笑)
気が動き、その動きにつられて身体が動くときが一番自然な動きで、どこか動作にぎこちなさがあると「気」と「身体」の無意識下の連動に問題がある場合が多いです。
動き始めの痛みに関して、接骨院に通っても痛みが取れないなどと訴える方が多いのですが、「身体」を「形」としてとらえて、ここが硬い、ここが突っ張っているというように診ていくと、この動き始めの動きはよくなっていきません。
「形」ではなく「流れ」の問題であって、道路が渋滞している際、道路の強度をいくら強くしても道は流れません。筋肉をつけても回復しにくいのは、道路の強度に問題がある場合よりも、流れに問題が多いからに他なりません。
交通整理をちゃんとして、標識を立てて「ここは一方通行ですよ、真っ直ぐ進んでください」などと流れに方向をつけてあげると痛みは回復しやすく、足の指にお灸をほんの三個くらいしただけで痛みが抜けてしまうことさえあります。
お灸三個で痛みが取れるのなら、それは筋肉の問題でないことがわかるはずです。お灸三個で筋肉がついたわけではないのですから。お灸三個で筋肉がついたらライ○ップは儲かりません。
お灸三個で痛みが抜けるというのは、流れの問題だけだった場合で、慢性化している場合は形にまで影響が出てしまうことがあるので、一概に直後に改善するとは言い切れません。しかし、多くの人はお灸だけで痛みが変化したことを実感していただけます。
鍼やお灸は、身体の中の「気の流れ」を変化させる特性があります。
病院に行ってレントゲンをとっても原因がわからない、接骨院に行ってもよくならない時など「形」の変化に対して対処しても治らない場合の多くは、「流れ」そのものの変化に原因があります。
気の流れが滞るような要因が身体の中にある場合や、気の流れが遅くなってしまって自分の身体の内側を調整ささる作用が弱くなっているときに特に効果があります。
身体のだるさが抜けないという症状が背後にあって、その上で肩の張りを感じるなどの場合、内側に気が巡らない要素が身体のだるさを招き、結果として肩こりが出ている場合などは鍼灸は効果的です。
鍼灸は「どんな時に受けたらいいのかわからない…」というのがみなさまの意見だとアンケートなどを通してわかってきました。
今後、こんなときには鍼やお灸が有効ということや、身体をもみほぐす必要がある場合など、鍼灸を受けたら効果が出やすい症状についてもブログを通して書いていけたらと思っています。
あまりなじみのない東洋医学の世界を知っていただけるようにつとめていくように心がけたいと考えています。
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