『体温』の感想 桜木凛はイブキ、アスカ、倫子他のだれでもない自分をみつけることができたのかい? | 恵比寿マスカッツFANのブログ

『体温』の感想 桜木凛はイブキ、アスカ、倫子他のだれでもない自分をみつけることができたのかい?

桜木凛主演の『体温』を監督の緒方貴臣さんのご厚意で
来年3月の公開に先んじて見ることができたので、映画の感想を綴ります


体温



『体温』については、以前こちらの記事で
予告編を見た感想を書いているが

桜木凛主演『体温』の予告編を見て思わずにはいられなかったこと


本編は70分と短い映画だけど、予告編をはじめて見たときと同じく、
映画の世界に引き込まれてしまった

登場人物はラブドールしか愛することができない主人公倫太郎と、
ラブドールのイブキ、イブキと瓜二つのキャバ嬢アスカ、
素の自分である本名倫子の3役を演じる桜木凛のふたりのみ

倫太郎とイブキ、アスカ、倫子との会話はそれほど多くなく、
淡々と時間が流れていく

まったく違う役柄を演じる桜木凛

ラブドールのときは、まばたきも身動きもせず、
人間ではない無機質な人形のイブキそのもの




アスカのときは、華やかな世界で生きるキャバ嬢




キャバ嬢を辞めて倫子に戻り、彼氏と別れ、呼び出した倫太郎に
「本当はだれでもよかったの」と
無邪気な笑顔の裏に寂しさを隠すことができなかった
ひとりの女性




それぞれの女性(人形)を演じているのは、
桜木凛ひとりであるのに、桜木凛という枠を超えて、
映画の登場人物としてしか見えなくなってしまった

イブキ、アスカ、倫子は桜木凛があくまで女優として演じたことだから、
桜木凛とは同一視することはできないし、比べることはナンセンスなことだろう

ただ、マスカッツファンとしての視点があるから、
どうしても比べてしまうのだよね

桜木凛が2度にわたっての長期休養が続いているし、
表に出なくなってもうじき1年近く経とうとしている

キャバ嬢アスカとして、いちど店外で倫太郎を呼び出したとき、
キャバ嬢を辞めようかと言っていたことが印象に残っているのだけど

アスカを演じることが疲れたのかな
けどこんな私のためにお金を払って逢いに来てくれる人がいること
ホントうれしいんだよ


そんなアスカに倫太郎は、キャバ嬢を辞めなくてもと言うが

でも、この先ホントの私が消えちゃいそうで
変だけどアスカに嫉妬しているの





ラブドールのイブキは倫太郎の愛情の表現物
桜木凛の本業は不特定多数の快楽の対象であり、
さらにマスカッツというアイドルでもあり、偶像的な役割を演じている

特定、不特定の違いがあるにせよ、
ラブドールと桜木凛の本業を
どうしても同一化しようとする自分がいる

アスカと倫子のように、桜木凛も同じく素の自分というものがある

拙ブログでも紹介したインタビューのなかで桜木凛が
「桜木凛」と「素の自分」とのあいだに葛藤があると告白していた

『体温』でそれぞれ違う役柄を演じたことによって、
まわりから作り上げられたフィクションとしての「桜木凛」と
「素の自分」との葛藤に折り合いをつけられるようになったのか、
それともますます葛藤が強くなったのか、
それは桜木凛本人しかわからないことだろう

長期休養のあいだに、どんな答えでもいいからみつけてほしい
映画を見終えて、そう願わずにはいられなくなった

映画の話に戻そう

イブキしか愛せなかった倫太郎は、アスカと出逢い、
倫子を愛するようになるのだが、
それは今まで愛していた人形を愛せなくなったということ

イブキは倫太郎の愛情を拒絶することがない
感情を持たない人形なのだから
拒絶されることはないが、その代償として倫太郎の愛情は一方通行でしかない

でも、倫子は生身の人間
感情があるし、倫太郎の思い通りにはいかない

好きになるということは、好きであるということへの拒絶を
恐れることであり、孤独の恐怖が襲ってくる

だれかを好きになったことがあるならば、ラストの倫太郎の叫びは、
心を揺さぶられるのではないだろうか

倫太郎がイブキへのような愛を、倫子に抱いていたのか、
それはわからない

でも、人形と生身の人間との愛を同一化してしまった倫太郎と
『体温』で演じている桜木凛と「素の桜木凛」を
同一化してしまいそうな自分は似たもの同士なのかもしれない

いろいろなことが想いめぐってくる不思議な映画だ
映画館で再び見るようなことがあれば、またちがう想いがめぐってくるかもしれない


『体温』は来年3月に公開が決定
劇場はオーディトリウム渋谷

http://a-shibuya.jp/

渋谷の映画館だから、12月16日の恵比寿マスカッツの
中野サンプラザコンサートの前に立ち寄るなんてのもいいかも

劇場で前売りを購入すると1000円とお得で、
さらにステッカー、カードがついてくるという

メールからも購入できるとのこと
くわしくはこちらにて

『体温』チケット情報

『体温』公式HPのURLはこちら

http://bodytemperature.paranoidkitchen.com/main.html

公開が近づくにつれて、最新情報、コンテンツも増えていくようなので、
これからチェックしておいたほうがいいかも

『体温』がたくさんの人に見てもらえるような映画になってほしい

それが映画に関わってきた人たち、そして桜木凛の願いだし、
そして『体温』を見て、心からたくさんの人に見てほしいと思った
自分の願いとなったから