ありがとうの冒険~前篇~ | 雨の日も晴れの日も・・・~アロマとあなただけの童話~

雨の日も晴れの日も・・・~アロマとあなただけの童話~

心に雨が降る日も、日差しが眩しい日も。
アロマとハーブで体と心のケアをさせていただく、傘のようなサロンです。
ご希望の方には、施術中にお客さまから伝わってきた、世界にたったひとつのフェアリーテイルをお伝えしています。



今日は、急きょ、ある方のお話をUP!させていただくことにしました。



今週サロンに来てくださったMさまから伝わってきたストーリーしろいコスモス



Mさまは、お忙しい仕事と家庭を両立されるばかりでなく、どんな方にも細やかな心配りと、心からのホスピタリティで日々おもてなしをされている方。
(私の母も大ファンハートなのです・・・)



いつも、施術中にMさまのお話を見せていただいていると、どのお話もうるうるしてしまいそうになります滴


今回は、4つのお話を見せていただいたのですが、ある事情でお話をお伝えできなかったので、この場を借りて、お伝えさせていただきます。



まずは、一つめのお話・・・。


今回は2話で終わる予定ですので、みなさまにもお付き合いいただけると幸いです。
(ストーリーシリーズ、今までの目次はコチラゆき
アロマトリートメントなのに、なんでストーリーが見えるの?と言う方は、コチラをご覧ください晴れ












昔々あなたの中に、一本の木がありました。


その一本の木には、小さな巣がありました。


その巣の中に、ハチドリの姉弟がおりました。


ハチドリの姉弟は、毎日、母鳥の帰りを待ちます。


弟鳥が聞きます。


「お母さん、まだ帰ってこないね。」


姉鳥は答えます。


「そうね、でもお母さんは、私たちのために頑張って餌を探してくれているのよ。」


二羽のハチドリは、小さな巣の中で、小さな体を寄せ合いながら、毎日母鳥の帰りを待つのでした。




母鳥は、二羽の小さな子供たちのために、毎日餌を探して飛び回ります。


帰りが遅くなる日も、少しだけ早く巣に戻れる日もありました。


餌を見つけては、子供たちに分け与え、また朝早くから餌を探しに出掛けます。


「おはよう、かわいい私の子供たち。今日もいい子で待っていてね。」


母鳥は、子供たちのことが大好きでした。





その日も、巣の中に母鳥の姿はありませんでした。


弟鳥が聞きます。


「お母さん、まだ帰ってこないね。」


姉鳥は答えます。


「そうね、でもお母さんは、私たちのために頑張って餌を探してくれているのよ。」


弟鳥は、ふと思いつきました。


「お姉ちゃん、ぼくも餌を探しに行きたい。」


姉鳥は、びっくりして、弟鳥をさとします。


「だめよ。外には出ちゃだめって、お母さんに言われてるでしょう。」


「大丈夫だよ、少しだけ木の下に降りるだけだから。」


弟鳥はそう言うと同時に、巣から小さな体を乗り出し、木の幹を伝って、よちよちと下へ降りて行きます。


「ねぇ、だめよ、戻ってきなさい。」


姉鳥が止めるのも聞かず、弟鳥は、とうとう木の根元までたどりつきました。


そして、まだ小さなくちばしで、木の根元の土を掘り出しました。


「ねぇ、何をしてるの?」


姉鳥は、巣の中から、下を覗き込んでいます。


数分後、木の下から、嬉しそうな弟鳥の声が聞こえました。


「お姉ちゃん、見て!ぼく、すごいものを見つけたよ!」


弟鳥は、そのくちばしに、小さなみみずをくわえていました。


そして、また木の幹を伝って、よちよちと巣の中まで戻っていきました。




その日、巣に帰った母鳥は驚きました。


弟鳥が、得意げにみみずをくわえたままで、母鳥の帰りを待っていたからです。


「お母さん、これ見て!すごいでしょ。ぼくが一人でつかまえたんだよ。」


母鳥は、複雑な表情を浮かべて言います。


「そう、それはすごいことだけど、危ないからもう巣の外には出ちゃだめよ。」


母鳥が、もっと喜んでくれると思っていた弟鳥は、少しがっかりしました。


(もっと大きなみみずだったら、お母さん、もっと喜んでくれるのかな・・・)





翌日、母鳥が餌を探しに出かけた後、弟鳥は、また巣の外へ出ようとしました。


姉鳥は、今度こそ行かせまいと、弟鳥を止めます。


「本当にだめよ。お母さんを悲しませないで。」


弟鳥は、小さな羽根で、姉鳥の制止をふりきります。


「どうしてお母さんが悲しむの?どうしたらお母さんは喜んでくれるの?」


そう言いながら、弟鳥はまたしても巣の外へ出てしまいました。


そして、小さな体をふるわせながら、よちよちと木の根元へ降りていくのでした。


姉鳥が、大きなため息をついたその時、巣の中が翳り始めました。


姉鳥は、広い空を見上げます。


さっきまで晴れていた空は、ねずみ色にくもり、ぽつぽつと雨が降ってきました。


空の色は、どんどん暗くなっていきます。


姉鳥は、すぐさま木の下にいる弟にさけびました。


「雨が降ってきたわ!ねぇ、早く戻ってらっしゃい。」


弟鳥の返事は、ありませんでした。







つづく汗