『おジャ魔女どれみ19』
(講談社ラノベ文庫、2015.12.2)

ライトノベル版おジャ魔女どれみ
ついに完結しました。


今回は受験勉強中のどれみにかわり
あいこ、ももこ、おんぷ、はづきの4人が
それぞれ語り手となって
高校卒業前後から
今現在までの状況を語るという構成。

最終章はどれみの語りで〆てます。

前巻の最後で
ああだったどれみがどうなったか、は
まあ、表紙のイラストで
だいたい見当がつくでしょうけど(笑)


「猛勉強してるどれみちゃんに代わって」(p.14)
とか
「みんな知ってるよネ」(p.91)
といった
一般的な一人称小説では
あまり見られない(と思う)語り口が
入ってくるあたり
さすがアニメ感覚。

アニメだと
当り前のようにスルーしてしまいますが
小説だと
作中人物が読者を意識して語るという
一種のメタ行為になりますから
「おやっ」と思わせるところがありますね。

江戸川乱歩や
横溝正史の小説などに出てくる
「読者諸君は……」というふうに
いきなり語りかけるスタイルと
同じといえば同じなんですが。

いわゆる近代的な普通小説では
語り手は自分に対して語るか
ナレーターに徹するカメラアイか
というのが
お約束になっているわけなので。


それはともかく
あいこ以下4人の語りの中では
あいこの語りが
大阪弁ということもあって
いちばん生き生きとしている感じでした。

ちなみに、あいこを演じた松岡由貴が
大阪弁の監修を務めているようです。

あと、ももこ以下の章では
どれみに手紙を書くことが話題となり
メールのやりとりをしていると
日本語を忘れてしまう
漢字が書けなくなるというフレーズが
しきりと出てくるのが
面白かったというか
可笑しかったですね。


もちろんドラマCD付き限定版も購入。

『おジャ魔女どれみ19』ドラマCD付き限定版

これまで
ドラマCD付き限定版は
最寄りの駅ビルに入っている本屋で
仕事帰りに買っていたのですが
そういう縁もあり
今回はそちらで予約して買いました。

今までは予約してなかったんですが
ラノベ文庫のHPのあおりだと
予約しないと買えなさそうだったので。

ところがどっこい
発売日はたまたま塾の会議で
立川に行く日だったんですが
そしたら同地のオリオン書房に
ドラマCD付き限定版の方が3冊
平積みになっていて
それに対して通常版の方は
1冊しかなかったという(苦笑)


ドラマCD付き限定版のハコには
「CDの内容は『おジャ魔女どれみ18』第2巻」
と書いていありますし

『おジャ魔女どれみ19』ドラマCD付き限定版(部分)

ハコ裏のクレジットでも
原作『おジャ魔女どれみ18』
となってますけど
正確には、『18』第2巻の後半
「第三章 最後のマジカルステージ」から
「第五章 卒業」までと
『19』の内容が収録されています。

『19』が上記の通り
おんぷ、ももこ、はづきが
どれみに手紙を書く
という設定なので
それを取入れて
あいこも手紙を書くという設定にし
最後はどれみの一人称で終える
というふうに構成しています。

そういうふうにしたので
30分ほどでまとめあげることが
可能になったわけで。

したがいまして
今回の『19』を読んでから
聴かれることを
お勧めします。


CDドラマ前半は
内容が内容だけに
おんぷを演じる宍戸留美と
どれみを演じる千葉千恵巳による
悲しみの演技が続きますので
聴いていてつらくなるかもしれませんが
そこが聴きどころでもあります。

お二人の名演を堪能してください。

ももこのトラックには
原作にも出てくる
はづきの台詞が挿入されますが
もしかしたら
ももこを演じる宮原永海の
物真似かもしれませんので(笑)
そこは要チェックです。


それにしても
2011年12月2日に
第1巻が刊行されてから
足かけ5年もかけて
ハイティーン・シリーズ
ようやく完結でございます。

2011年は東日本大震災があった年ですが
前に関プロデューサーが
インタビューで答えていた通り
『18』第2巻巻末参照)
本シリーズの設定は
震災以前の話ということになっています。

震災当時
リアルにどれみたちがいたら
どういう行動を取るかという話を
文庫の巻末インタビューで
書き手の栗山緑がしていて
興味深いのですが
あれから5年が経とうとする
今現在の時代も
書きにくいのではないかと思います。

栗山は『どれみ26』とか
結活しているどれみたちなんかも描いてみたい
とか言ってますけど
もし次回があるとしたら
ハナちゃんが魔女界の女王になるときに
ゴタゴタが起きて
どれみたちが助けるという話に
なるのではないでしょうか。

CDドラマの方に
そういうことを想像させる台詞が
ありましたけど
そこらへんでアニメ映画化されないか
とか期待しているんですけど
さて。


アニメ化はともかく
どれみ関連本は
これで終わりではなく
来年春に
ハイティーン・シリーズに添えられた
馬越嘉彦によるイラストの
画集の刊行が
巻末に告知されていました。

お約束というか
商魂逞しいというか何というか。

買いますけどね。( ̄▽ ̄)


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