『レメディオス・バロ展』カタログ表紙
(編集・発行:東京新聞、1999)

1999年の6月10日に開かれた
伊勢丹美術館を皮切りとして
名古屋電気文化会館を経て
同年11月28日に
神奈川県立近代美術館で終了した
レメディオス・バロ展のカタログです。

編集・発行者が東京新聞なのは
神奈川県立近代美術館と共に
企画・構成に参加しているからです。


バロについての解説は
回顧展の監修者である野中雅代と
メキシコ在住の美術評論家
ルイス=マルティン・ロサーノ、
バロの最後の夫
ヴァルター・グルーエン。

(バロは生涯二度結婚し
 他に同棲相手が二人いました)

もちろんテキストは日本語で
ロサーノとグルーエンについては
オリジナルの言語のテキストも
収録されています。


掲載されている作品は67点で
その他に、解説内の
モノクロ fig.(図版)が18点。
全部で85点もの絵を見ることができます。

これは超おトク。

その85点の中に
「羊歯猫」という絵があって
『ニコルの塔』では
これも借りてきてたのか、と
びっくりしました。

バロ「羊歯猫」部分

『ニコルの塔』の
メイン・モチーフとなった
自伝的三部作のうち
「地球のマントを刺繍して」は
fig. の内のひとつとして掲載されており
細部が分かるくらいの
大判カラーでないのが残念。

「地球のマントを刺繍して」に描かれた
少女の一人が刺繍している
恋人との逢引きの図柄を確認するのは
モノクロの小さい図版だとつらいので
(というか、無理です)
カラー大判で見る方が
絶対の絶対におすすめなのです。


が、それでも
巻末の参考文献目録は
とても役に立ちますし
(戦前、滝口修造が紹介してたとは
 驚きでした)
略年譜もついてるし
バロ自身を撮ったスナップも載ってる。

バロ入門の1冊目として
最適ではないかと思います。


ラジオで聴いた時は、何だか
ペラペラなカタログ
という印象を受けましたが
実物は、造本・装幀ともに
かなり瀟洒で立派なものです。

見返しなどを紹介している
ブログがありましたので
リンクを張っておきましょう。

http://leonocusto.blog66.fc2.com/blog-entry-1117.html

このカタログ
バロ展では
いくらで売られたのか
分かりませんが
古書店だと
だいたい3000円前後の値段が
付けられているようです。

自分は、昨日
調べものがあって
池袋のミステリー文学資料館に行った
その帰りに寄った古本屋で
見つけました。

ネットの
「日本の古本屋」で検索すれば
簡単に見つかると思います。

『ニコルの塔』の副読本として
購ってみても
いいかもしれませんね。


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