大磯地形の勉強会
「大磯地形の勉強会」開催。
日 時:2014.4/13(日)AM 9:00~12:00
場 所:大磯町北下町福祉館
参 加:33名
大磯北浜海岸は、ほぼ毎年秋の台風シーズンに波が大きくなった後、ドン深な地形に変貌し、波がブレイクし辛い状態になります。そして春先になるとまた遠浅になり、波がブレイクするという変化をここ数年に渡り繰り返しています。
このような状態になるのは、なぜなのか?そしてこの先どうなって行くのか?講師の方をお招きして、勉強会を開催しました。
○サーフィンと地形 石川仁憲さん(土木研究センター・なぎさ総合研究室)
○海岸の定点観測 川島勉さん(サーフライダーファウンデーションジャパン・海岸調査チーム)
○国内外サーフポイント視察から見えてきたものをサーファーの視点から解説 加藤道夫さん(サーフレジェンド)
○「バー&トラフ」
大磯北浜海岸は、相模湾西部に位置し、相模川、花水川の影響を受け、砂は、平塚港と大磯港の間を東から西、西から東へと海流や波の影響を受けながら移動しています。
堤防や離岸堤など波の遮蔽域(しゃへいいき)には、砂が溜まりやすく、平塚ビーチパーク前の離岸堤や大磯港周辺に砂が堆積しています。航空写真で見ると、波打ち際の線の凹凸が一目瞭然です。
一方海中に目を移すと、海の中にも凹凸があり、凸の部分を「バー」と呼び、砂が堆積している地帯で、水深が浅くなっています。ビーチブレイクでは、いち早く波が崩れる部分です。
逆にえぐれた地帯を「トラフ」と呼び、水深が深くなっていて、波が崩れない部分です。
このような海底の変化は、波によって行われ、その波が大きかった後ほど顕著です。
近年の台風は、勢力を増しており、昨年秋以降の地形の変貌は、恐らく2013年の台風26号によるものだということです。
海底の砂は、波によって水深2~5mの土砂を削り、5mよりも沖に運ばれ留まり、バーとなります。
しかし、沖に溜まったバーは、比較的波長が長く、それ程大きくない波が長時間続くことによって次第に岸に戻ってきます。
○「サーフポイントカルテ」
いつもサーフィンをしている地元の海は、日々どのような変化を遂げているのだろう?
通常それは、サーファーの脳の中に記憶としてインプットされます。
しかし、それはとても曖昧な記憶でしかありません。
それを一定の地点で一定の周期で写真撮影し保存しておくことで、砂浜の変化を連続写真のように見返すことができ、将来砂の動きを具体的に証明することができることになり、地形変化の手掛かりになります。
また、浜の石や砂の大きさ、ゴミの量など、普段気付かないことも映像として残りますので、貴重な資料になります。
○「国内外のサーフポイント地形事情」
砂の浸食、堆積は、国内外いたる場所で起きています。
地形は、波の良し悪しに影響することから、サーファーなら誰もが気になるテーマです。
サーフィン大国オーストラリアでの巨大な重機による砂の移動を映像を用いて紹介していただきました。
砂浜は、自然のサイクルの中である一定のバランスを保ちながら、そこに留まっていました。しかし、港など人工構造物を造った影響でバランスが崩れてしまい、堆積や浸食が起こります。
また、河川の上流にあるダムや堰も原因になっています。
その解決策として砂を他の場所へ人工的に移動させるサンドパイプラインがあります。
砂が減った所に他から砂を持ってくることを「養浜」といいますが、現状の砂浜の状態を整えることを「整浜」といい、これは、今後のテーマになってくると思われます。
報告:大磯サーフィン協会