大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が進める大阪都構想。大阪市と周辺市の計11市を再編して20の特別区を置き、東京都と並ぶ都市を目指す計画だ。産経新聞社は今月中旬、11市の市長に対して、構想の賛否や知事の行政運営の評価などのアンケートを実施した。賛成は東大阪市長のみで、反対は大阪、豊中、吹田の3市長。大半の残り7市長(堺、守口、八尾、松原、大東、門真、摂津)は「(都構想の)具体像がわからない」などとして回答を保留したことが明らかになった。

 ■大阪市長「乱暴な議論」

 大阪には政令指定都市の大阪、堺両市があり、それぞれ24区、7区が置かれているが、東京のように、選挙で選ばれた区長はおらず、区議会も設置されていない。

 大阪都構想では、大阪、堺両市や隣接する市を再編し、20万~30万人規模の20区の特別区を設置。区長は選挙で選び、区議会も設ける方針で、「二重行政解消」と「行政の効率化」を目指している。一方で都に移行するには府を都にしたうえで、市を廃止し特別区を置くことになるが、都移行時に法整備や住民投票が必要になる。

 アンケートによると、唯一の賛成、東大阪市の野田義和市長は「東京に対峙(たいじ)する大阪を創ることが日本の繁栄につながり、地元の経済力も向上する」とその理由を挙げた。

 一方、反対のうち、24区を8区に再編するとされる大阪市の平松邦夫市長は「安易な分割は、まちの歴史的な発展やコミュニティを無視した乱暴な議論だ」という。豊中市の浅利敬一郎市長も「住民の意見を抜きにした地域主権は成り立たない」と説明。周辺市を巻き込むことに異を唱える吹田市の阪口善雄市長は「市の自主自律への進路を阻害するものになりかねない」と懸念する。

 賛否を鮮明にする市長に対し、「答えられない」とした回答によると、堺市の竹山修身市長は「地域主権の推進や効率の良い地方政府確立の考えは同じだが、区割りの根拠が不明確。大阪市以外の市のメリットが明らかではない」。また、「二重行政解消で府と大阪市を都に再編する点は評価できるが、周辺10市を巻き込む点は評価できない」(森山一正・摂津市長)との理由もあったが、「報道などを通じての情報しかない」(田中誠太・八尾市長)など、具体像が見えないとする声もあり、都構想自体の理解が進んでいない現状をうかがわせた。

 一方、橋下知事の行政運営について、6市長(堺、豊中、守口、八尾、松原、東大阪)が「支持」、5市長(大阪、吹田、大東、門真、摂津)が「答えられない」とし、「不支持」はゼロだった。

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