【なぜか万座温泉に行って来た】 一般向け旅行記編 | C.I.L.

【なぜか万座温泉に行って来た】 一般向け旅行記編

知人が身体をぶっ壊してしまい、古くからお湯の良さで知られる万座温泉に湯治に行くことになった。

しかし万座温泉は草津はおろか軽井沢よりもさらに山の上という、湯治場と呼ぶにはあまりにアレな高所にあるため、一度入ったら何もない土地に何日も閉じ込められることになってしまう。

身体の回復だけを考えたらそれで正しいと思うのだが、その知人はひとりで出かけてしまったため、話をする相手もなく、娯楽もなく、かなり精神的にくたびれてしまっていたようだ。

というわけで、そんなへこたれそうな知人を励ますため……と言いながら自分が万座のお湯を楽しむため、急遽標高1800mの温泉地こと万座温泉を目指すこととなったのである。





出発したのが金曜日だったので不安だったんだが、運良く夏休み渋滞に巻き込まれることもなく、3時間ちょいで雲の中まで来れた。ここまで登ってしまえば万座までもう少しである。

それにしても何がびっくりって、リフトが動いてたのに驚いた。誰か乗ってるのか?運行テストか?




そうこう言ってる内に雲地帯を突破したらしく、いきなりスカっと晴れ渡る。それと同時に硫黄臭が立ち込め、山の斜面には 「硫酸化水素発生地域についき立ち入り禁止!」 という立て札とロープが。

ああそうか、万座は世間で流行するより先に硫酸化水素をプッシュしてたなそういえば。時代の流れがやっと万座に追いついたということか。




と、軽く不謹慎なことを考えていると万座の温泉街(といっても宿泊施設が10箇所あるかないか) に到着。今回は草津側から来てみたため、道の悪さと気圧の変化によって、帯状疱疹の後遺症である神経痛が悪化し、目と耳と歯に鈍痛が走っていたのは秘密。

朝におにぎり1個食べただけという腹事情もあり、早くもサダオちゃん火病モードに突入。




ちょうどお昼ご飯の時間帯だったので、知人を拾ってまずは腹ごなしをしようということに。万座には気の利いたレストランなぞないので、とりあえず万プリで中華でも食べようかという結論に。




少し前に万座プリンスに泊まったとき、運がいいのか悪いのか初雪という名の吹雪に巻き込まれてな。いちゃいちゃ混浴露天に入ったまではいいものの、出るに出られぬ極寒地獄に陥れられたんだよね。顔は凍りついて痛いし、そのくせ身体は温まり過ぎてくらくらだし、かといってお湯から出ようとすると凍死しそうな寒さだし。アレは楽しかったけどキツかった。




などと薄らぼんやり万座の思い出をリバースしつつメニュー表を眺めていたんだが、相変わらずびっくりするほどクソ高いなコノヤロウ。不味くはないものの、大して美味くもないのに都心価格とはこれいかに。

まあ山の上だから仕方ないとは思うんだけど、コスト厨の板橋区民としては我慢ならぬ数字である。




だが知人が 「せっかく来てくれたんだからご馳走するよー」 と言ってくれたので遠慮なく頼む。「いつもひとりだから色々と食べられなくてさー、2人がいてくれると楽しいよー」 だそうで、そうですか、そういう話でしたら遠慮なく。




確か1,000円以上する五目炒飯。これが食べてみると昔懐かしい中華レストランの味。「そうそう、家族で食事しに行ったときに食べる炒飯ってこんな味だった!」 と、美味さではなくノスタルジーでお腹が膨れる。




お陰様でお腹も膨れ、サダオちゃんの火病も少し落ち着いたので、ふらふらと万プリの売店へ。

とここで 「さすが高所!」 と手を叩いて大喜びしたい光景が。都内じゃここまで膨張したカップ麺って見られないよな。




ここまでパンッパンになったランチパックなんて(以下略)

たかが1,800mなのに、何て恐ろしいんだろう。




そんなこんなで万プリからさらに山を登って知人が湯治場に選んだお宿に到着。万座の中でも特にお湯が良いとされる、温泉ホテル という老舗である。




本当は知人を見舞ったら日帰りするかと思っていたんだが、気付いたら部屋を取っていた。おかしい。





このホテルのウリのひとつである 「まごわやさしいご膳」 の説明書き。

この宿は湯治向けだからか健康志向で、栄養バランスに優れたご飯が食べられる。

ま(まめ)
ご(ごま)
わ(わかめ)
や(やさい)
さ(さかな)
し(しいたけ)
い(いも)

と、激しくダウナーな言葉遊びさえ気にならなければいいんじゃないかなと。(わかめとしいたけが無理矢理すぎねえか?)




こちらがそのまごわやさしいご膳さん。山菜や野菜中心のヘルシーメニューで、風変わりな食べ物も色々と出てくる。だが若者や偏食の人間には絶対に面白くないラインナップだろうなあ。

肝心のお味はというと、激しく我慢どころ。口に合わない味もあるけど、まああまり我儘いうとバチがあたるからね。人間我慢が肝心ですよ。(と、火病もちのオレが言ってみる)




ちょっと嬉しいのが、ご飯食べ放題で、なおかつお出汁と山菜・漬物・海苔なんかも取り放題。ということは、何杯でも好き勝手にお茶漬けをかっ喰らえるということである。偏食で食べる物がねえよ!という人はこれで凌ぐしかない。

で、この宿は実は朝ご飯のバイキングがオススメ。食べ放題の割に、なぜか夕飯よりも味付けが一般向けで美味い。パン食もご飯食も出来るんだけど、特にオススメしたいのが嬬恋キャベツと特製マヨネーズの組み合わせ。このホテルはマヨネーズに生クリームを入れて味を作っているらしく、これが本当に美味い。危うくエンドレスでキャベツとマヨネーズだけ食べそうになった。



<万座温泉ホテルのお湯>
温泉ホテルは万座でも老舗かつ大手なので、結構なお湯のシェアを持っている。

・大浴場
広い木製の浴場で、かの有名な苦湯をはじめとして泉質の違うお湯が色々と楽しめる。露天スペースもあるんだが、男湯は外の駐車場などから丸見えなのでご注意。24時間入れるので、万座の湯を思う存分楽しめるんじゃないかと。

・展望風呂
別棟に新しく作った展望の良い内湯。まだ作りたてて周囲の眺めがみすぼらしくて残念だった。ただお湯は良いし湯船も広くゆったりしててくつろぎ度は高い。小奇麗で落ち着ける内装なので女性にもオススメできる。

・露天風呂
宿から少し離れた場所にある露天風呂。ここに関しては夜~明け方が最もオススメ。日中は光が強すぎてあまり風情がないので、日が落ちて星空が出ているときとか、日が昇り始める4~5時くらいが最も幻想的で美しい。ちなみにオレは5時くらいに露天に入ろうとホテルを出たら、そこら辺で何匹もうさぎが遊んでて萌えた。もこもこしててジャレあっててオレ様キュンキュン。


今回は1泊だけだったけれども、お湯がいいからか神経痛も気付けばなりを潜めてたし、高地だから涼しいし、万座って避暑目的でも素晴らしいよな。一時期はスキーで有名だったけど、通年楽しめる場所だよ。(吹雪にさえ気をつければ)

万座温泉ホテルのお湯は、以前と比べると加水の割合が多くなったため濃厚さは感じなくなったんだが、その代わり抜群に入りやすい。源泉かけ流しのお湯もあるので、万座ならではのガッツリしたお湯がいいならそこへ。(もしくは他の宿へ)

ただ万座のお湯は総じて強烈なので、多少薄めたところで効能はそれほど変わらない気がする。特に皮膚の弱い人なんかはある程度薄めてあるお湯に入るべき。



というわけで、久しぶりの万座を堪能してリフレッシュできたオレ様一行は、翌日軽井沢経由で東京に戻ることに。やっぱ有料道路が多いってのは面倒臭いけど、軽井沢に下りる方が明らかに道がいいのよね。(草津でお湯に入りたいなら話は別だけれども)



<突然ですが罵倒します>

軽井沢駅近くの弦庵 って蕎麦屋は笑っちゃうくらいクソ地雷だから気をつけろ。

オレが数年前に行ったときは、観光地価格だったけど蕎麦屋不毛地帯の軽井沢駅周辺にあって、それなりに美味い蕎麦が食える店だった。しかし今回久々に行ってみてとんでもない地雷になってて驚いた。驚いたと共に思い出が汚れて哀しくなった。

ちょっと店の評判が上がったからか知らんけど、店のジジイが図に乗って増長してて、態度悪すぎてどうしようもない。この店はせいろといなかと2種類あって、オレも彼女 もそんなに腹が減ってなかったから1枚ずつ頼もうとしたら 「うちの流儀じゃない」 とつべこべ。

最初の 「うちのは1枚が少ないよ?まずせいろ食べて次にいなかがオススメよ?」 だけならまだしも、オレが 「前にも来たことあるからいい。2人で分けて少し食べたいだけなんで、せいろといなかと1枚ずつ頂戴」 と言ってるのに、「そういうこと言われると調子狂うんだよなあ~うちは違うんだけどなあ~」 とかなんとかエンドレスでグチグチ。

挙句に後から来た馴染みの年寄り客に対して、わざとオレらに聞こえるように大声で 「ウチはせいろといなかと1枚ずつが流儀だからね!それ知らないヤツいるから困っちゃうよアハハハ~」 とか言ってやがってもう。

せっかく万座のお湯で気分が良くなってたというのに、これでまた火病爆発ですよ。ただあんまりヒステリックにぎゃーぎゃー言うと、またお薬飲まなきゃいけないプチ精神病モードになってしまい兼ねないので (あ~あ~) と思いつつも我慢したんだけど、隣からヒシヒシと殺すオーラが漂って来ててもうね。

ちらっと横目で彼女様のご尊顔を拝借したら、オレ以上にイケイケヤクザな魂をお持ちになられた方だけあって、すでに目が臨戦態勢でオヤジをガン睨み。そしてオレの視線に気付いたらしく 「なに?やらないの?サダオちゃんやらないならアタシがやるけど?」 とアイコンタクト。

ははあ、ヤレと?この避暑で軽井沢にやって来た爺さん婆さんが楽しそうにお蕎麦をつまんでいる店内でやっておしまいと?

いやお前それはちょっと待とうよ。確かに気に入らないけど場の空気ってのがあんじゃん。オレ年寄りに弱いからダメなんだよ。隣の席のお爺ちゃんとかお婆ちゃんがビックリ悲しんじゃうじゃん。やめとこーよー。

それに5年くらい前に来たときは、店のジジイももう少し気さくだったんだよ。マジで。それで軽井沢に来たらまた入ろうと思ってたんだけど、まさかこんな酷い状態になってるとはなあ。

で、ジジイがウンチクたれるご自慢の蕎麦も、太くてがっしりしてる所は相変わらずで、蕎麦湯も濃厚で美味かったけど、ジジイの接客態度が悪すぎて味が全く楽しめない。蕎麦自体はそれなりだと思うのに、気分が悪くて舌から脳に味の喜びが伝わらない。こりゃダメだ。

こんなんだったらかぎもとや で昔ながらの素朴な蕎麦を食った方がマシだった。

そんなことを考えながら、またひとつ大事な思い出がぶち壊しになってしまった悲しみに打ち震えつつ車に戻ると、怒りが収まらない彼女様が


「何が流儀だよ!ああ?そんなルールがあるんだったら店内にでかく張り紙でもしとけよ!殺されてえのか!」


はい、ごもっともです。あんなゴミみたいな店に連れ込んで大変申し訳ございません。

というわけで、前のブログでの評価はすべて無かったこととさせていただきます。


<以前の評価>

■弦庵
場所:軽井沢駅から歩いて3分ほど。駅前の通りから駅を背にして1本左に入った路地にあります。

メニューはせいろと田舎蕎麦だけで、両方とも当然のごとく手打ち。せいろは食べ易さ重視でツルっとした喉ごし。田舎蕎麦の方は風味が強く、喉ごしよりは食感を楽しむ感じ。両方とも味わい深く、味だけならば90点ずつの高評価。ただし、量が少ないのでコストパフォーマンスは悪い。量と値段のバランスを加味すると80点といったところ。脱サラした蕎麦好きなオジさんが趣味でやってるような店で、個人的には好き。もうちょっと量を増やしてくれれば文句なし。
(2003~4年頃のログから引用)

↑コレ全否定します。腹が立って味なんかわかりません。犠牲者が増える前に1秒も早く潰れてください。お願いします。ジジイ、残念だがお前はもうダメだ。

嗚呼、思い出はいつも美しすぎて。




怒るより先にあまりに切なくなってしまったので、軽井沢駅近くのお気に入りの喫茶店へ逃げ込む。ここは緑に囲まれた庭の中で美味しいお茶を楽しめるという、軽井沢の思想を具現化したような店である。(屋内にも席はあるけどお庭の席から埋まっていく)




濃厚な水出しアイスコーヒー。弦庵でのガッカリ感がじわじわ癒されていく。日が照ってたけど傘の下に入れて風もあったからもの凄く過ごしやすい。なんかこのまま寝てしまいたい。




オレはチョコレートケーキが食べたかったのに、怒り心頭モードでおっかないオーラを漂わせた彼女様が 「トースト食べたい。トースト。」 とおっしゃるので、ケーキを諦めてトーストにしてみた。

ここのトーストはかなり厚切りで、旧軽の人気のパン屋さん のイギリスパンを使っていて大変おいちい。バター染み染みで、カリカリかつサクサクかつモチモチでパン自体の風味も心地よい。

この店はなぜか味海苔で食べることをオススメしているんだが、それはそれでバター醤油を塗ったお餅を磯部巻きにして食べるような感じで美味い。

だが彼女様は 「海苔なくてもよくね?」 と一言。




弦庵で負った傷は旦念亭のお陰ですっかり癒え、にっこり気分で東京へと舞い戻ったオレ様であった。



■旦念亭
住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東4-2
TEL:0267-42-5616
営業時間:10:00~19:00(8月は9:00~19:00)
定休日:火曜日(8月は無休)
駐車場:11台



■追記
記憶が定かではないのですが、13時に旦念亭を出たはずが、板橋の家に着いたのが14時半くらいだったのは気のせいでしょうか?車を運転してくださった彼女様は 「ぜんぜん飛ばしてないよ」 とおっしゃられていたんですが、1時間半で軽井沢~板橋って、新幹線と埼京線を使って神の乗り継ぎタイミングで帰ってくるより早いんですけれども。

まあきっと気のせいだな。日差しが強かったから記憶が曖昧になってるんだろう。きっとそうに違いない。弦庵のお陰でストレスを感じた彼女様がついうっかり珍走団モードになってしまったとかじゃないはずだ。



~次回予告~

番外編 「万座最強のカリスマ」