延長戦 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

 「ササキ ロ~~~キ~~~」

 昨日のパ・リーグCS第一戦。ファイターズファンの私はフェニックスリーグの動向の方が気になるところだが、ただただこれを聞きたいがためにベースボールLIVEで観戦した。

 谷保恵美さん。帯広出身で千葉ロッテマリーンズの、元球団職員。千葉マリンスタジアムでのアナウンスを33年間務めた、いわば裏方さんだ。パ・リーグファンなら誰しもが、谷保さんの名調子を耳にしたことがあり、その声をちょっと聞いただけで、谷保さんの声だとわかるだろう。

 そんな谷保さんが今季限りで引退を決め、ホーム最終戦終了後に監督や選手たちから花束を受け取り、球場内には谷保コールが響き渡った。未だかつて、裏方さんの引退が、これほどファンに惜しまれたことがあっただろうか。

 オリックスが独走優勝を決めたものの、CS争いは大混戦となり、その行方は最終戦までもつれ込んだ今季のパ・リーグ。千葉ロッテは、勝てば2位。引き分ければ3位。負けたら4位でCS出場ならず、という最終戦で見事に勝利を収め、2位でシーズンを終えた。その瞬間、私は思った。谷保さんのアナウンスをまた聞けるかも。

 CSは2位のチームの本拠地で、最大3試合が行われる。そこで勝ち上がったチームは、1位チームの本拠地で、日本シリーズ出場権をかけて争うこととなる。だからソフトバンクとの試合は、千葉マリンスタジアムが舞台となる。

 かくして、谷保恵美さんの延長戦が始まった。

 千葉ロッテの選手たちの心境はいかがなものだろう。選手からもファンからも愛された谷保さんのアナウンスを、1試合でも多く聞きたいのではないだろうか。そのことは、大きなモチベーションとなっているに違いない。2016年。現役引退を決めた武田勝投手が、「俺のために優勝しろ」と言い、それに応えて日本一となったファイターズのチーム状況と、似たものを感じるのだ。当時、吉井監督も金子コーチもファイターズでコーチを務めていた。岡大海選手もいた。みんな同じ空気を感じているのではないだろうか。

 この後、千葉ロッテがオリックスに対して下剋上を果たし、日本シリーズに出場できたとしたら、谷保さんのアナウンスをまたも聞くことができる。そんなドラマを期待してしまう。

 CSの初戦は千葉ロッテが快勝したものの、2戦目はソフトバンクが取り返し、いよいよ最終決戦となる。谷保さんのラストゲームは、まだまだ終わらない。