手術を受けるべきでない季節 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

日本の一年には四季がありますが、

手術にも、手術を受ける上であまりおススメできない時期があります。

 

そんなことを言うと、

えっ??と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、やはり、体制的にあまりおススメできない時期があります。

 

もうお察しはついていると思いますが、それは4月です。

理由はもちろん、人事異動によって4月1日から人の入れ替わる病院が多いからです。

 

もちろん、こういった人の入れ替わりが多いか否かは病院のタイプにもよります。

あまり入れ替わりがなく、何年もほぼ固定のメンバーで成り立っているような病院には、

こういう心配はあまりありません。

 

たとえば、

ベテランの部長、専門医の医長2人、ローテーションのフレッシュマン1人、

 

というような体制の病院であれば、

下っ端のフレッシュマンが入れ替わるだけなので、4月といえどもそれほどの大きな影響はないと思います。

 

しかしながら、

大学病院などの教育的施設によっては、診療のチームが

主治医(教授、講師、助教など)、チーフレジデント(専門医前)、レジデント(フレッシュマンのようなもの)

というような形で、毎年下2人が入れ替わるような体制をとっている病院もあります。

 

このような病院では、4月になると、異動してきたばかりの2人と主治医という、

全く新しいチームで診療に臨むことになります。

 

このような病院では4月はどうしても、チームワークが出来上がってはおりません。

 

そうすると、診療に関する全てにおいて、スムーズにいかないリスクが高くなります。

これは手術でも同じことが言えます。

 

たとえば脳外科の手術では、

主治医はメインの術者として主に頭蓋内の顕微鏡操作を担当し、

その部下の医師らが開頭操作、閉頭操作を担当するような施設もあります。

 

メインの顕微鏡操作に関しては、これはもうほとんど術者個人の力量で決まるようなところが大きいので、特にメンバー云々の影響を受けにくいのが脳外科手術ですが、

 

一方で、開頭、閉頭操作については4月に赴任したばかりの新コンビが担当するようなことも十分にありうるわけです。

 

そうすると、お互いのことをよく知らない2人がそれらの手術操作を担当するとなると、

当然、チームワークの問題で、最初はスムーズでないことも多いのは、

当たり前の話ですよね。

 

まあ、何も手術のみにかぎったことではありません。

 

周術期の管理など、全てにおいて、新しい体制では問題が起きやすいことが事実です。

 

もちろん、皆、間違いがないように細心の注意をはらって診療にあたりますが、

やはりチームワークという意味では4月は未熟な病院があることが事実だと思います。

 

よって、私は4月に予定手術を受けることは、あまりおススメできません。

どう考えても数か月後の6月、7月以降くらいの方が、その病院の診療体制が落ち着いて、

チームワークも形成されているからです。

 

まあ、もう4月も終わりますから、

今さらそんなこと言うなよ、思う読者の方も多いとは思いますが、

 

今後手術を受ける可能性がある方は、

参考にしていただければ幸いです。

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