今回はリクエストにお答えする形で記事を書いていこうと思います。
「医局人事」について教えてください、ということでしたので、
今回はこのことをテーマに書いていきます。
医局人事とはなにか?
簡単にいってしまえば、
教授の決める医師(医局員)の人事です。
具体的には、
大学病院とその関連施設となっている病院の中で、
誰をどこに配置するか?という人事ですね。
それほど医局員の人数の多くない医局、
たとえば我々脳神経外科など比較的マイナーな科の場合は教授が全て自分で決めている場合が多いです。
一方、医局員の人数が多い医局の場合、
教授が下々の医局員の全体像まで把握して人事を行うのは大変ということで、
準教授や講師などの医局幹事が医局員の派遣先などを決めていることもあります。
まあ、もちろん、これも、最終的にはトップである教授の了承を得て、ということなので、
あくまで教授の意向に沿う形の人事となります。
つまり、教授が医局員の人事を全て握っているというのが、
日本での医師の人事の伝統だったのです。
人事を握る教授には権力が集まることになるわけです。
ただ、最近はそもそも医局に所属しない医師や、
医局の人事ではなく、グループ病院の人事に所属している医師もいますので、勤務医の全てが医局人事で動いているというわけではありません。
それが医局に所属しない医師が増えてきて、
やんわりとその権力体制が崩れてきているのが現在です。
医師個人からしてみれば、医局に所属しなくても勤務できる病院が次第に増えてきております。
、
ただし、以前ほど医局の影響力は絶大ではないのですが、
今も最も影響力の強いシステムであることに間違いありません。
これは病院側からしてみても、
教授が人を出してくれなければ医師が配属されてこないというシステムなわけですから、
病院側にとっても教授の影響力は強いわけです。
ただ、
医局の支配下にある病院の医局員の人事を教授が全て決めるといっても、
実際にはそんなに好き勝手できるわけではありません。
だいたいどこの病院には何人くらいの医局員が必要で、というようなことは、
長年の経過でおおよそ決まっておりますし、
若手は若手、中堅は中堅、部長クラスは部長クラス、
でそれぞれの病院に必要となりますから、
実際にはその年々の医局員の分布や、
大学に出入りする医局員のバランスなどをみて、
一つずつコマを配置してパズルを組み立てるようなものです。
辞める人がいれば補充を送らなければいけませんし、
案外、行き当たりばったりな側面もあり、やりくりに困るということも多々あります。
一般的に、関連病院の部長になるような人は、長年その病院に勤務し続けることが普通です。
一方で、若手の医局員の多くは、初めから1年や2年といったように、
期限付きで派遣されることがほとんどです。
若手にはいろんな病院で様々な疾患を異なる上司の下で経験させたほうがいいという考え方からです。
ですから、
患者さん側からすれば、部長などその病院に勤務し続ける医師にかかるならまだしも、
多くの場合には、
数年ごとに担当医がコロコロと変わってしまうことになります。
基本的には医局に所属している限り、この医局人事で動くことが前提ですから、
もちろん、多少は教授に直談判することで変更になることはあるものの、
医局員は医局人事の通りに動くことになります。
そしてその人事はその大学医局と関連病院の医局員の全体のバランスできまってくるので、
医局員がころころと流れて回っていくのは必然的なことなんですね。
患者さん側からすれば、大学の関連病院にかかる限りは、
担当医の変更は避けられないことなのです。
担当医がころころ変わることはもちろん良い事ではないでしょう。
でも、これはこういった病院では避けられないことなんですね。
ただ、
これらは基本的には総合病院などの大病院の場合の話です。
担当医がころころと変わるのが嫌な方は、
開業医の診療所や個人病院など比較的規模の小さな病院を、かかりつけ病院として、通うべきなのです。
とはいえ、
専門的な治療が必要な場合にはある程度大きな病院にかからざるをえませんから、
そこは日常的なケアをしてもらうかかりつけ病院と、専門的な検査や治療を受ける大病院とで、
役割分担をするしかないのです。
患者側としても、普段はこの医院、年に一度の検査やこの病院、
というようにうまく使い分けをするとよいのだろうと思います。
春はその医局人事による医師の異動が最も多い時期なので、
今もそこら中の病院で医師の入れ替わりが起きているでしょう。
ちょうどそんな桜の咲く時期のタイムリーなリクエストをいただきまして、
ありがとうございました。
また、何か読者の方でリクエストがあれば、よろしくお願いいたします。
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