ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

今回はそんなに、実用的でも、

面白いテーマでもないかもしれません。


でも、ここのところよく思うことではありますので、

書いてみます。


さて、

医学の進歩とよく言いますが、

工学技術のレベルがそのまま医学のレベルと直結していることは多いです。


その例として大きな物の一つが画像診断技術です。


たとえばMRIなんていう機械は、

その原理からして、完全に工学系の知識がなければ原理の理解さえできません。


常日頃からMRIに頼りがちの我々脳神経外科医も、

その画像の読み方はわかっていても、


MRIの原理を本当に理解している脳外科医はほとんどいないでしょう。


つまり、家電やスマートフォンなどと一緒で、

我々医者はそれを使うことはできるものの、


なぜこの機器で画像が撮れるのか?


ということはほとんど知らないのです。


スマホを使っている人のなかで、その通信原理を知っている人なんてほとんどいませんよね。


こういった画像技術は、

治療や診断の精度に直結するため、診療では最も重要な技術とも言えます。


ただ、そういった重要な技術であったとしても、

実は医者はほとんどそれらの機器を本当の意味では知らないのです。


これはなにもMRIに限ったことではありません。


薬などに関しても似たようなことが言えますね。


薬については、医学生のころから薬学として学ぶので、

工学に比べると、大分明るいとは言えるのですが、


それでもほとんどの医者は自分が処方している薬の大部分について医師は、その詳細を知りません。


大まかな作用機序は知っていても、

たとえばその薬物の化学構造などを把握している医者なんていないのです。



医療を支え、診療水準を決定する診療機器や、薬について、


実は医師はその原理にいたるまでに関しては、決して詳しくないんですね。

使い方に習熟しているというだけです。


つまり、

何が言いたいのかというと、


医療の水準というのは科学の総合力であって、

決して医師のみの努力によって成っているわけではないのです。


むしろ、使っている医師はほとんど原理を知らない、

なんてことも多いのですね。


各分野がそれぞれ進歩し、専門性が細かく分かれている現代ですので、

どんな分野でも同じなんでしょうが、


そうすると、医学ってなんなんだ?

と思う方もいらっしゃるかもしれません。。


もちろん、

我々が学んだ医学には様々な理数系科学の基礎分野も含まれています。


しかし、実際の医師が行っている診療に関しては、

むしろ基礎的な理数系の知識や能力はほとんど必要なく、


必要なのはもっと文系的な能力なんですね。


どの薬が効く、どの手術が効果ある、というようなことは、

一つ一つが人体に関する基礎的な医学に基づいてはいますが、


それを実際の診療で用いる際には、

知っているかどうか、ですので、


いわば、

これまでに行われた治療に関する成績などの情報を知っているかどうか、が大切です。


つまり、

むしろ科学というよりは、医療医学に関する歴史を知っているかどうかなんですね。


なんとなく、

むしろ文系的というのはそういう意味なんです。


基礎研究に携わっている一部の医師を除いて、

大多数の医師の仕事というのは、そういったものなんですね。


だから、誰もが家電の原理を詳しく知らないように、

医師も診療機器に使われてしまうなんてこともありますし、


それら機器が開発された背景の専門性のレベルが高すぎて、

使っていても原理はわかっていない、なんてこともザラなんです。


ここまで、

だらだらと何が言いたかったかというと、


医療の技術や進歩というのは決して医学だけの側面ではなくて、

様々な分野の総合科学であるということが言いたかったのです。


なんだか乱雑な文章になってしまい申し訳ありません。


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最近暑いのは言うまでもありません。


そうなると毎年やはり危険なのが熱中症です。


熱中症とは何か?


と言いますと、


簡単に言うと、体温上昇と脱水の状態を指します。


一言で熱中症といっても、


実は、


1度(軽症):熱痙攣、熱失神 


2度(中等症):熱疲労 


3度(重症):熱射病


と分かれています。



熱射病となってしまうと、深刻な深部体温の上昇と体温調整機能の破綻から、


なんと死亡率は30%にも及んでしまいます。


治療は輸液による脱水の補正と、なにより体温を冷やすことなんですが、


この熱中症とセットで、最近テレビ番組などでも強調されているのが脳卒中です。



これは、


たとえば脱力などの症状が、熱中症だと思いきや、


実は脳梗塞の症状だった、


なんてことがあるからですね。



実際に、


脱水状態では血液の粘性度が高まりますから、


血管が詰まり易くなる、


つまり、脳梗塞が起こり易くなることは事実です。


体温が上がる → 汗をかき脱水になる → 脱水で血液の粘性度が上がる → 血管が詰まり脳梗塞


という流れです。



おそらくは、


体温上昇自体が直接脳梗塞を起こす訳ではなく、


脱水自体が脳梗塞の直接の引き金になるだろうと思います。



そういう意味では、


脳梗塞を予防するためにはきちんと小まめに水分摂取を行うことが重要、ということですね。


暑いときには、水分補給、


これがとても大切です。



しかしまあ、、


実際にははっきりと40度以上の体温上昇を認める重症の熱中症、


つまりは熱射病で、さらに脳梗塞を起こしている、


なんていう症例を見たことはほとんどないんですけどね。



大抵は、


患者さんが具合が悪いから熱中症かも、と思って病院を訪れ、


ふたを開けてみたら普通の脳梗塞の症状だった、


ということが多いです。



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私は脳外科医なのですが、在宅医療にもかかわることがあります。


在宅医療というのは、

いわば外来診療+αのことを病院に通うのが困難な患者さんのために、

医師が患者さんの自宅や施設を訪問するような形で行うものです。


軽自動車で、患者さんのところを一軒ずつ回るような感じになります。


具体的にどんな感じかというと、

たとえば一人一軒ずつであれば、午前中の半日で5-6か所を回ります。


集団で一か所で10人近くみるようなこともありますが、

複数箇所を車で回るとなると、


やはり5-6軒が限界です。


診療自体には実はそれほど時間はかかりません。


それもそのはず、普通の外来診療にしたって、

特にかわったことがなければ、再診の場合は5分もかからないのが普通だと思います。


3分診療という言葉がありますが、

実際に継続内服薬の処方だけのようなときは、


3分どころか1分で診療が終わることだってあります。


在宅で回る場合は、

聴診や検温、血圧、血中酸素飽和度の測定など、

一通りのVital signの検査も行いますので、


やはり、患者さんの状態にとくに変わりがない場合であっても、

少しお話をしたりするのも含めて5-10分ほどです。


そうすると、複数の箇所に回る場合は、

実はほとんどの時間は移動時間だったりするんですね。


30分以上かけて車で向かって、

実際に診察自体は5分、というようなことがざらです。


なんだか、

車で移動することが一番大変だったりします。


もちろん、

それでも病院に通えない患者さんのために必要な医療であることは間違いありませんし、


とくに変わりない状態であっても、

定期的に僕らが通う事によって患者さんが安心するのであれば、何よりとは思います。


でも、いくつか不可解な点もあります。


これは診療報酬の話になるのですが、

つい昨年、在宅医療の診療報酬が下げられたのが話題になりました。


これまでは月に2回訪問するということで、

一人あたり管理料として46000円の収入になり、


また訪問ごとに特定施設などでは4000円の診療報酬を得ていました。


ところが、昨年の改訂で、

同じ建物内で複数の患者さんを診る場合には、


管理料についても訪問料についても、

診療報酬が半減以下となりました。


まあ、

月に2回訪問で、管理料46000円+訪問料8000円というのは、

いささか高すぎたのかもしれませんが、


改訂で随分と下がったことが事実です。


その後に月に1回までは同一建物でも訪問料が下がらないなどと緩和されたようですが、

昨年から厳しくなったことは事実でしょう。


このあおりを受けて、

収入確保のために、ややおかしなことが起きています。


本当であれば、

同じ建物内に複数の患者さんがいれば、


同じ日にまとめて診た方が効率がいいに決まっています。


これは、毎回車で通うコストも手間についてもです。


でも、同じ日に同じ建物で月に2回以上、複数診てしまうと、

訪問料が下がるということで、


いっぺんに診れるところを、

あえて日を変えて別々の日に診たりしているのです。


これは患者さんのため、というのではなく、

医院側の収益のためということです。


同じ日に同じ施設に2人以上の患者さんがいたとしても、

医師が2人いれば、別々に回ったりもします。


なんだか、

医療費を抑制するために、国がおこなった改訂と、


その抜け穴を探そうとする在宅医療機関側の、せめぎ合いですよね。


結果として、現場の移動にかかわる手間は増え、

診療に関する所以外での労力が増えてしまっています。


確かに在宅診療がもうけ過ぎていたということはあるとおもうのですが、


それを改訂するにしても、

もうちょっと賢い方法がなかったのかな?


と思ってしまいますよね。


結局下げたあとに緩和策も出しているわけですし。。。


なんだか、

国立競技場の件もそうですが、


日本の省庁のつくる制度というのは、現実にそくしていないというか、

改訂をしたときに、実際に医療機関が収益を維持するために、どのように動くか?


ということを全く考えていないような気がしてなりません。


なんだかなぁ、

といつもいつも思ってしまいます。


もし、何か同じようなことを思った人や、

在宅に関わっている方がいたら、ご意見お待ちしています。


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