ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:
以前に、

大学院に進む医師とそうでない医師がいるけど、
どう違うの?strong>

とご質問をうけました。

これについて、今日はお答えしようと思います。

大学院というのは、大学の医学部を卒業し医師免許を取得したのちに、
主に研究の目的で入学するものです。

国公立や私立で異なりますが、
もちろん学費がかかります。

私立ですと年間100万円を超える学費がかかるのも、
特別ではありません。

前回からの話の続きでいきますと、
基本的には医局に所属している医師にとっての選択肢と言えます。

博士課程として大学院に入り、研究を行い、
その成果で博士論文を出すことによって、
博士の学位を得ることができます

この過程を経ることによって、
医学博士の称号が授与されるのです。

これが、
大学院に入るキャリアの流れとなります。

しかし、この医学博士という称号ですが、
実は大学院に入らなくてもとることができます。

これは、いわゆる論文博士というもので、
論文が大学に認められると、それはそれで、博士号が授与されます。

ただ、そんなことを言ったら大学院に入らなくても、
論文さえ書けばいいのか?
ということになりますが、

一応、大学院を卒業して得た学位と、
論文博士では、

博士号としての学位のグレードが異なることになっています。

大学院を卒業した場合には甲の博士号となり、
論文博士は乙の博士号とされています。

それって何か差があるの??

ということなんですが、
国公立の大学などでは、講師以上のスタッフになる条件として、
甲の博士号を持っている医師と限定しているところもある、
というくらいです。

乙の博士号でも、問題のない大学が実際はほとんどです。

そういう意味では、
そういった特定の国公立大学のポストを目指す医師でなければ、
実質的には甲の博士号をとる意義はあまりありません。

ただ、
大学院に入ることで、研究室に所属し、しっかりとした環境で研究に従事できる、
というのが一番の意義なのではないかと思います。
研究をする大義名分を得るということです。

一番のデメリットは学費がかかるということでしょう

また、これは大学や施設にもよりますが、
基本的には大学院生となると、その大学の所属としては学生となるので、

給与はほとんどもらえません。

実際には大学院生となっても、
その大学の附属病院で診療に従事する、つまりは働いていることも多いのですが、
身分としては学生なので、給与は出ないということです。

一応、
学生を指導している、
というような名目で月に3,4万円程度の給与を与える代わりに、
大学の附属病院で働くためのIDや立場を確保しているような大学もあります。

まあ、これは、
一応、給与も払っているし、身分も作っているんだから、
研究しながら、大学病院でも働きなさい、
というような裏の意味があります。

申し訳程度の給与を払う代わりに、
労働力として大学院生を動員しようという、
大学側の思惑ですね。

しかし、
そうすると、大学院生は大学からはわずかな給料しかもらえず、
さらには年間100万円以上の学費を払わなければならない、

という状況になることも大学によっては十分起こりえます。

学費については、
奨学金などで一部まかなわれることもありますが、

それだけでは明らかに、生計は成り立ちません。

大学院に入る医師というのは、
通常は大学を卒業後、数年から10年弱程度、
医師として臨床に従事したのちに大学院に入ります。

卒業してダイレクトに大学院生となることは少ないです。

そうすると、年齢も30代前後となっていることも多いですから、
当然、すでに所帯を持っている場合も多いです。

それなのに、学費を払って、大学からは月に数万円の給料、
というような大学の場合では生きていけませんよね。

よって、週に1日2日ほど、
一般の病院でアルバイトをして、生計をたてることになります。

外来業務であったり、
あとは夜間の当直業務であったりします。

土日ずっと病院に泊まり込みのアルバイト、
なんてのもあります。

こうやって、
大学以外の病院でのアルバイトで稼いで、生計を立てつつ、
一方、大学では研究と、あとはほぼタダ働き、というような生活をしている大学院生の医師はそう少なくはありません。

この生活の問題は、
やっぱりどうしても当直アルバイトや土日のアルバイトなど、
休日や時間外を稼ぐために使わざるをえないということですね。

さて、
随分、生計の方に話が傾きましたが、

そもそも、
博士号をとったり、研究をする必要が医師にはあるのか?
というとどうでしょうか?

結論からいって、
別に医師として生きていく分には必要ありません。

普通に病院で働いているほうがむしろ生計も安定するでしょう。

しかし、学位や研究の業績というのは、
大学などアカデミックな施設で生きていくためには必要ですし、

社会的に見れば、
研究に従事する医師がもしいなければ、
医療の進歩も滞るでしょう。

それに、研究というのはすべからず未知への挑戦ですから、
最も好奇心を刺激されるものですし、本質的に魅力的なんですね。

よって、
こういった研究を続けながら医師としてありたいと思えば、大学院に入るのは王道ですし、
そうではなくて、病院で患者さんに接し続け、臨床に従事していければそれでいい、ということであれば、大学院に入る必要はないということになります。

ちなみに、
外科医としては、ですが、研究ばかりしていて手術ができなくては本末転倒ですので、
内科の先生方より更に、研究を両立させるためにはバランスをうまくとる必要があります。

たとえば大学院は通常4年間ですが、
その間研究だけしていて、手術は全然、ということになると、
さすがに忘れてしまいますし、手術の経験という意味では大きく差をつけられてしまうのは、
間違いないからです。

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前回の更新からかなり時間がたってしまいました。

なかなか、安定した更新が最近できておらず、申し訳ありません。

前回は就職という意味で考えたときの、
医局に入るメリットとデメリットのようなことを書いてみました。

ちゃんと働き口があるかということは、生きていく上でとても大切なことです。

ただ、
医師には科学者としての側面もありますので、
そういったアカデミアとしてのキャリアでみたときにどうか


ということを今回は書いてみたいと思います。

つまりは、
医者として、かつ研究者としても生きたい場合はどうなのか?ということですね。

しかしながら、
これはお気づきかもしれませんが、
非常に答えはシンプルです。

研究がしたい場合には、
研究のできる施設に所属していなければなりません。

そして、そういう施設の代表が大学なのです

大学というバックボーンの元で研究したければ、やはり当然ですが、
通常は医局に入ることになります。

よって、
医局に入るメリットの一つが、大学という施設で研究を行うチャンスをえることができる、
ということになります。

研究というのは、
内容にもよりますが、基本的には個人の力のみでやるのは、実際、無理があります。

まず、第一に研究には相当なお金がかかるのです。

もちろん、お金持ちであれば、個人でも器材や試薬、実験動物などをそろえて実験や研究を行うことも可能かもしれません。
ただ、相当な金持ちでないと、これが厳しいことはわかると思います。

科研費などの国が給付している公立の研究費も、
基本的には研究実施施設に所属していなければ研究費獲得の土俵に立つことができません。

このような公立の研究費を獲得するためには、
そもそも実績が問われることが多いですから、全くゼロから新しく自分の研究を始めるために研究費をとるということ自体が難しいのです。

もちろん、たとえば大学でなくても企業などの他の組織に所属して研究を行うことは可能と思います。

しかしながら、この場合、
実際に人での臨床のデータを集めることは難しいでしょう。

人を対象とした臨床研究に関しては大学病院を中心として、
研究施設としての機能をかねている病院でないと行えないようになっているからです。

動物実験から人での臨床データの収集まで一貫して行えるのが大学病院の強みといえるでしょう。

ただし、大学でなければこういった医学研究が全くできないということではありません。

医局以外にもそういった研究を行える病院はあります。

たとえば国立のがんセンターであったり、
国公立の大規模な病院の中には研究施設としての機能も期待されている場所があるからです。

もちろんこういった施設はそうたくさんはありませんが、
ある程度近隣の有力大学の医局の影響を受けているとはいえ、
医局人事以外の入り口もありますので、医局に所属しなくても研究ができる病院ということになります。

大学以外の施設で本格的な臨床研究を行うには、
やはりこういった施設に勤務する必要があるのだろうと思います。

ここまでで、
医局に所属して大学病院などの大規模な施設で働くことは、医学研究を行う上で王道と言え、
医局に籍を置くことなく研究をするためには、限られた特殊な施設に勤務する必要がある、
ということが伝わったでしょうか。

研究の業績を積み上げて、
学術界で偉くなり、教授などのアカデミックポストを狙うことができる、
というのが一つの医局に入るアドバンテージと言えます。


とはいえ、
もちろん医局に入っても、自分のやりたい研究が初めからできるわけではないですし、

通常は教授や准教授、講師などの上司がやっている研究のお手伝いをすることになります。

自分の研究ができるのはある程度上にあがってからというのが普通ですね。

それに、研究を続けたくて、大学病院に残りたかったとしても、
医局人事によって、ふつうの市中病院に飛ばされてしまうことがほとんどです。

前述しましたが、
通常の市中病院は研究施設などありませんので、
そういった施設では実験などの研究をすることは無理です。

よって、
医局に入ったとしても、その本丸である研究施設を伴う大学病院で研究を続けるためには、
まずはそこに残るべき人材として教授に選ばれる必要があるということです。

医局に入っても結局は研究ができるかどうかは、
教授に認められなければなりません。

もちろん、だれもが認めるような実績を上げれば、それは当然順当に評価されるものですから、
論文などの業績をどれだけ積み上げられるかによって、研究者として続けていけるかが決まるわけです。

次回は、
これは質問をいただきましたので、

大学院に入る医師と入らない医師というのの違いについて書きたいと思います。

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今回のテーマは医師に関する話です。

というのも、医局に所属する医師とそうでない医師について、
どういった違いがあるの?


というご質問をいただきましたので、
それに簡単にお答えしようということなんです。

医局、というのは、
教授を中心として、大学を本拠地とした医師の集団を言います。

診療と研究、そして大学ですので、教育といった義務を負っています。

ただ、こんなことを書いても、
そんなことは当たり前に知っているよ!!!

という方もいらっしゃるでしょうから、
医師の目線で見た医局というものがどういうものかを書いていこうと思います。

まず、第一に、雇用という視点で医局を見るとどうでしょうか?strong>

キーワードは安定雇用です。

つまり、医師は医局に所属していれば、
まず、働き先を失うことはありません。

極端な言い方をすれば、

どんなに鈍くさい医師だったとしても、
医局に対して明らかに害をなすような問題を起こす人物ではないかぎり、
どこかの病院で働き口をあてがってもらえます。

つまり、医局に所属していれば、

医局の人事権の及ぶ、
いわゆる関連病院のどこかに、ほぼ必ず就職可能なのです。

医局側としても、
代々自分たちの医局員で人を回してきた病院を守っていきたいということもありますから、
マンパワーが増えることをネガティブにとらえることはあまりありません。

よって、雇用の面でみれば、
医局に所属するということは、安定につながるということです。

しかしながら、医局にいることで、何もメリットばかりあるわけではありません。

当然、医局に所属していれば、
医局の人事に従わなければなりません。strong>

たとえ、行きたくない地域であったり、
行きたくない病院であっても、

医局人事の名のもとに命令されれば、
それに従わなければいけないというのが、

医局に所属する代償と言えます。

つまり、働く先が教授の意向や、そのときどきの医局の状況などに左右され、
自分で自分の働く先を選びにくいのです。

その代わり、必ずどこかの病院に働き口を確保してもらえる。
というのが、医局なんですね。

一方で、医局に所属しないと、どうでしょうか?

この場合、生計をたてるための働き口は自分で確保しなければなりません。

ふつうに就職活動をしたり、知り合いのつてを頼ったりするのです。

そういう意味では自由ですし、
きょうび、必ず医師の不足している病院はありますから、
どこにも働き口ない、なんてことは、実際はまずほとんどないでしょう。

ただ、さきほども書いたように、
病院によっては、医局とのつながりで常に医師を確保しているような病院も少なくありませんから、
こういった病院では科にもよりますが、
基本的にはフリーの医師の働き口はありません。

つまり、医局に所属しないフリーの医師の働き口は、
おのずと、医局人事に染まっていない病院ということになります。

ただ、最近は、
医局人事に頼らずに医師を確保している病院も多く、
人気の高いグループ系列の病院などもありますから、

医局人事以外の枠組みが増えており、フリーの医師の選択肢も増えているといえるでしょう。

病院自体が有名で一種のブランドのようになっているところや、
○○会といったように系列で有名な病院も多いのです。

そういう意味で、
最近では医局に入らないで、直接働きたい病院を自分で選び、
自分のキャリアを自分で設計しようという医師も増えているように思います。

医局に入ってしまえば、
どこの病院に転勤させられるか、わかったものではありませんからね。

たとえば都内の大学医局に入ったとしても、
実際の職場は東海方面や北関東であったりすることもあるのです。

以上が、
雇用面からみた、医局に入る、入らないの違いになります。

次回はまた、他の視点から医局に入る入らないの違いを書いていきます。

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