ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


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久々の投稿になりますが、

今日は抗血小板薬について書きたいと思います。

 

脳の診療においては、

脳梗塞の予防のために、

 

また、心臓の狭心症や、他全身の血管の狭窄などに対しても処方されている薬が抗血小板薬です。

 

今日び、

脳梗塞を一度でも起こした方、

もしくはそのリスクが高い方の少なくとも8割以上が、

 

アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール、etc

 

のいずれの薬を内服していると思います。

 

多くの人はこのうちのどれか1剤を飲んでいるのではないでしょうか?

 

ぶっちゃけた話、

脳神経外科で外来をやっていると、これらの薬は処方率トップ3に入ります。

 

だいたい脳神経外科で処方する薬といえば、

降圧薬、抗血小板薬、あとは頭痛に対する痛み止め、の御三家ですので。

 

実際、これらの薬は脳梗塞や心筋梗塞に対して、

その発症率を減らすというデータが出ておりますし、

有効であることは間違いありません。

 

ただ、以前から知られていて、

最近になってはっきりと目に見えるようになってきたこととして、、

実は何割かの人はこれらの薬が効いていないようなのです。

 

薬の効果というのは人種や遺伝系によっても異なるのですが、

ある遺伝子の解析での発表によれば、たとえばクロピドグレルはアジア人においては、3割近い人が抵抗性があるということが分かっています。

 

それに、

近年ではアスピリンとクロピドグレルについては、

血小板機能を測ることで、薬剤抵抗性を測定できる検査が使用できるようになりました。

 

これは、Verifynowという機器を用いた検査なのですが、

アスピリンとクロピドグレルの抵抗性が分かります。

 

これを実際に臨床で使用していると、アスピリンについてもクロピドグレルについても、何割かの日本人に抵抗性が見られる印象があります。

 

アスピリンも脳梗塞予防として通常処方される量では、、

体感として2-3割以上の人で十分な効果が得られていないと感じています。

 

これは実は結構な問題で、

数割の日本人においては、脳梗塞を予防できていると信じて飲んでいても、実は十分予防できていないということを意味します。

 

でも、検査法があるならわかるから対応できるじゃないか、

という声があるでしょうが、

 

このVerifynowは現状保険診療としては認められていません。

 

一部の施設で研究目的という題目で使われているか、

もしくは病院が自腹で運用しているかのいずれかです。

 

もちろんverifynowで血小板機能に対するこれらの薬剤の効き目が分かったとしても、

それが直接脳梗塞の発症率に繋がるというわけではないと思いますが、一つの指標となることは間違いなく、

 

有用な検査だと私は思います。

 

ただ、上述したような、保険適応の問題で、

実際にはこのverifynowが導入されている施設は少ないですし、

 

実際にこれらの抗血小板薬を服用している患者さんの中で、

測定が行われている人はごくごくわずかでしょう。

 

多くの人は、

自分が飲んでいる脳梗塞の予防薬が効いていないかもしれないということも知らずに、

飲み続けているのです。

 

一般的に薬の有用性などを検証する大規模な臨床試験などでは、

何百人、何千人に薬を飲んでもらった場合と、そうでない場合を比較するので、

 

当然、6-7割の人に効くような薬では有効性が証明されます

 

しかし、実際に薬を処方される個人個人を見てみれば、

その人が残りの3-4割の薬が効かないタイプの人だった場合、

実際は脳梗塞の予防が出来ていないということになります。

 

本来こういう方は他のタイプの抗血小板薬に切り替えが行われるか、もしくは抗血小板薬の増量が検討されるべきですが、

そもそも聞いているかわからなければ、それもできないのです。

 

こういったことはおそらく、

抗血小板薬だけの話ではありません。

 

すべからず全ての薬に同様のことが言えるでしょう。

 

同じ薬でも、

Aさんはよく効いているのに、Bさんには効かない、ということは多々あります。

 

抗がん剤のように腫瘍の大きさで効果がわかるものならば処方などの修正が可能ですが、

 

抗血小板薬のように予防として飲んでいる薬は、

適切な検査がなければ効き目はわかりようがありませんよね。

 

脳梗塞や心筋梗塞は命に係わる病気なので、

もし自分が飲んでいる薬に実は効果がなかったとしたら不安ですよね。

 

早く薬の効き目が全ての人において把握できるようになることを願います。

 

ちなみに、

抗血小板薬ではありませんが、抗凝固薬の、古くからあるワーファリンについては、採血で簡単に効き目がわかるので、

ワーファリンを飲んでいらっしゃる方は効いているかどうかわからないということはありません。

 

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ご無沙汰しております。

皆さまGWをいかがお過ごしですか?

 

病院も基本的には休みなのですが、

とはいっても入院中の患者さんはいらっしゃるし、

緊急手術の際には呼び出しもあるので、

我々脳外科医のように、少人数体制でカバーしている病院では、

本当に休みになるのは連休のうちの半分程度です。

残りの半分はオンコールとして、一応スタンバイ状態となります。

 

まあ、これは休みの日にかかわらず、普段の平日の夜間なども、2日に1日はオンコールなのですが。

 

幸い私は当直は少ない病院で勤務しておりますが、

病院や年代によっては、GW中の何日かは当直のこともあります。

 

私も数年前までは、連休といえば2,3日は病院に泊まり込みのアルバイトをしておりました。

 

多くの病院では、休日用のシフトというものがありまして、

我々脳外科医もオンコール制をとっているところが多いです。

 

このオンコールというのは、何か手術などの処置などが必要な救急患者が来た場合にはいつでも病院に駆けつけられるようにスタンバイしている状態です。

 

呼ばれなければ病院にいる必要はないのですが、

いつでも行けるようにスタンバイしていなければなりません。

 

だいたい、暗黙の了解で30分から1時間以内には病院にいけるようにしておかなければいけないというルールがあります。このため、病院の比較的そばに住んでいたとして、そこおからそれほど遠くには離れられません。

あとは、呼ばれるかもしれないというつもりで過ごすことになるので、たとえば映画館で映画を見るにしても、若干そわそわしてしまいます。

 

このオンコール待機について、給料が出る病院も世の中にはあるようですが、僕が今まで働いた病院ではオンコール待機に対して手当が出た病院はありませんでした。

お金の話としては、実際に緊急手術などで呼び出されると時間外手当がつく病院がそこそこあります。

とはいっても、半日かかる手術をしても5000円均一のケチな病院もあれば、時間換算で1時間ごとに手当をつけてくれる病院もあるので、これは本当に病院次第ですね。

 

まあ、お金の話はいいとして、

そのような体制なので、よく、テレビなどでGWの大型連休は出国ラッシュ、などのニュースを見ても、

なんだか遠い世界のように感じてしまうのです。

 

オンコールから外れている2,3日で沖縄やグアム、というくらいなら行こうと思えばいけるのですが、

それはそれで、何もこんなに混んでる時期に無理していかなくとも、、、、となってしまう私です。

 

皆さま、是非有意義な連休をお過ごしください。

 

 

 

 

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最近、より強く感じるようになったのですが、

外来をやっていると、2種類の患者さんがいます。

 

簡単に言うと、

医師(私)のアドバイスを信頼してくれる患者さんと、

私ではなく、検査(MRI)だけを信頼している患者さんです。

 

もちろん、これは私がまだまだぺーぺーだからなのでしょうが、

だいたい半々くらいの印象です。

 

世間的に名の通った先生や、教授、など高い肩書のある先生になると、

きっと前者の方が圧倒的に多くなるのでしょうが、

 

私のように世間的には無名な医師の外来診察となると、

半々というよりも後者の人の方が多いような気がします。

 

たとえば、

私のやっているような一般的な脳外科の外来にくる患者さんというと、

多くが頭痛と頭部打撲です。

 

医学的にみて、たとえば頭痛の患者さんの中でMRI検査を必要とするような方は、ごくごく一部であって、

ほとんどの患者さんがMRIをとったとしても空振りです。

 

まあ、もちろん、頭痛症状とは全く関係なしに、

なんらかの病気や異常が見つかることも稀にはあるのですが、

それでもたいていは必要のない検査です。

 

特に緊急性や、病気の存在が怪しくない頭痛患者さんの場合、

私のアドバイスを信頼してくれる患者さんは、頭痛についていろいろとその原因や対策を説明すると、納得して帰って行ってくれるのですが、

MRIだけを信頼してる患者の場合はそうはいきません。

 

こういった患者さんはそもそも頭から、

「そうは言われても検査してみないと信用できない」と考えているので、

何を説明してもたいして聞いてはいません。

 

聞いてはいるのかもしれませんが、

疑念を持ったまま話を聞いているので、頭の中は、

「なんとかMRIをしてもらおう」という一心で、内容まで頭に入ってこないのです。

 

どう説明しても決して納得して帰ろうとはせず、

心配ないですよ、といっても渋り続けるパターンです。

 

これで無理やり帰すと、また数日後に他の医師のタイミングをはからって、

また同じ病院を訪れたり、もしくはMRIを撮ってもらえるまで、

他の病院を探し歩いたりするようです。

 

つまることこ、

こういった患者さんの場合、結局は医師の持っている医学的な知識などは信用せず、

結果が目に見えるMRI検査のみを信頼しているのです。

 

こうなると、もう、こういった患者さんにとっては、

外来診察医である私は不要で、

極論いうと、MRI検査をする技師さんと、どこかの放射線科医の読影結果だけあれば、

彼らの要求は満たされることになります。

 

MRI検査というのは3万程度の費用がかかります。

ただ、健康保険によって、一部の高齢者は1割、

その他の人は3割負担となるので、本人の払う金額は1万円以下で、

残りの金額は国の税金から払われています。

 

ただ、税金といっても、もとをただせば、我々納税者が払っているわけですから、

無駄な高額検査は自分たちのまわりまわってクビを締めることになります。

 

本来、病気の存在が疑われる、もしくは緊急性のないMRI検査については、

医師はオーダーするべきではなく、

そういった患者さんは自費で脳ドックなどの検診を受けるべき、

というのが医療費を抑制しようとする国の方針となっております。

 

ただ、実際の医療現場では、

MRIを撮られるまでなかなか引き下がろうとしない患者と、

多大な労力を払って患者を説得するよりもMRIを入れてしまった方が楽、という医師によって、

実際には不要な検査が乱発されているのです。

 

病院自体はMRIは撮ればとるほどもうかるので、

むしろ、検査の乱れうちを推奨するようなところも多いです。

 

開業の診療所などでは、医師の診察の前にほとんどの患者にMRIを撮ってしまうようなクリニックもあるくらいです。

 

こういったクリニックは病院と、そこにかかる患者にとってはwin-winで、

病院は儲かるし、患者もすぐにMRIを保険でとってもらってラッキー、

となるわけですね。

高額な脳ドックを受ける必要がなくなります。

 

過剰な医療費が国の財政を逼迫するという問題がありますが、

たとえばこのMRIの話などは、どんな制度を国がつくったとしても、

なかなかおしとどめられるものではありません。

よっぽど強制力のあるMRI撮影の指針などがつくられない限りは無理です。

 

緊急性や病変が疑われると言われればMRIを行うことを否定することはできませんし、

検査自体の重要性や、検査機器の価格を踏まえると、撮影に伴う単価を大幅に下げるわけにもいかないからです。

 

国民全体の意識が変わらないかぎりは、

現状から脱することはないでしょう。

 

解決策があるとすれば、

技術革新によって検査機器のコストが下がり、それに伴って撮影単価を下げることくらいしかないかもしれませんね。

 

しばらく外来をやっていると、

こういったMRI目的の患者さんはすぐにわかるようになりますが、

 

逆に、そういった患者さんをMRIなしに帰すことは難しいということもわかってきますし、

実際、ほとんどが何もないといっても100%というわけではないことから、

撮らなかった場合に訴えられるリスクというのも、非常に僅かではありますが頭をよぎります。

 

その結果、

あ、この人は私たち(医師)のことは信頼していなくて、MRIだけが目的なんだなぁ、

とやや寂しい気持ちになりながら、検査をオーダーする、

というのが我々の日常なのです。

 

まあ、もちろん、自分が患者になった場合を考えれば、

不安なときは少しでも確かな検査(MRI)の結果を見ないと安心できない、

というのはわかるんですけどね。

 

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