ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

A lifeの、竹内結子さんの演じる奥さんの腫瘍はやはり血管腫だったようですね。

 

ただ、あの画像はどうみても3㎝もないです。

当初でていたMRIの画像では、あれだといいところ1cmちょっとあるかないかというところでした。

 

3cmの血管腫があの部位にあればもっと巨大に見えます。

 

前回大きくなっているという画像でもようやく2cmにとどかないくらいの大きさだったように見えました。

 

あと、余命4-5か月ということになっておりますが、

確かに大きな海綿状血管腫の場合は大きくなる性格のものが多いので、

3㎝からどんどん大きくなればその通りなのかもしれません。

 

逆に、今回の中脳から基底核にかかるような位置に3㎝もの血管腫があったら、

周囲の神経線維を強く圧迫して、

もう立っていられないくらいの様々な運動症状を出すような気もします。

 

ただ、海綿状血管腫ってほとんどは1センチ以下くらいの小さなもので、

(ドラマで序盤からのMRIででていたのがそのくらいです)

まれに出血するものの、出血しなければ特に症状もない、というのがほとんどです。

 

だから、

ドラマの影響で海綿状血管腫をとても心配してしまう人が増えないかが、

むしろちょっと心配です。

 

ほとんどのものは結構無害、というか、何の症状も出さないことが多いんですよね。

 

脳表のものがてんかん発作の原因となることがある。

脳幹部のものが出血を繰り返して広がって、様々な症状を起こすことがある。

 

ということは事実なんですが、

大多数の血管腫はまあ、心配しすぎるほどのものでもありません。

 

肝心の治療ですが、

問題となる血管腫は、手術が可能であれば手術で治療するしかないのが実情です。

 

薬も、放射線も、有効ではないのです。

 

ガンマナイフなどの定位放射線治療を行った文献などもありますが、

一般には有効とまでは考えられていません。

 

だからやっぱり、ドラマではないですけど、

治そうとするなら、手術しかないんですね。

 

脳幹部海綿状血管腫の手術は

脳神経外科の手術の中でも最高難易度です。

 

ただ、アプローチはある程度部位によって決まっているので、

ドラマの中の木村さんが、日夜悩み続けるというほど、選択肢は多くはないです。

 

 

 

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(1)

テーマ:
両手が震えるのは脳梗塞の前兆ですか?!
 
とおっしゃる患者さんを、外来をやっていると数日に一人くらいはお見受けします。
 
「なんだか最近両手の震えがひどいんだけど、これって脳梗塞になりかけてるのかな?」
 
という患者さんですね。
 
手や足のふるえは、
医学用語では振戦(しんせん)と呼ばれます。
 
実際のところ、脳梗塞の結果として振戦が起こることはあったとしても、
それが脳梗塞の前兆と考えることは普通ありません。
 
だから、
こういう心配のある患者さんには、
「大丈夫です、震え自体が脳梗塞の前兆ということはまずありません。ただ、、、、」
 
とお話ししていきます。
 
もちろんそう話すと、皆さん、この「ただ、、、、」の先を気にされます。
 
ただ、、、の続きはなにかというと、
 
誰しも多少手が震えるようなことはあります。
たとえば、あと一手で何かが決まるというようなときに、緊張で手が震える、というのは
普通のことだと皆さんご納得いただけるはずです。
 
あとはご高齢の方が、生活が不自由にならない範囲で、手の震えなどの症状が多少あったとしても、それを特段不思議ととる方はあまりいないでしょう。
 
つまり、震えというのは多少気になる程度で生活を妨げるほどでなければ、
それ自体は大きく問題になることはありません。
 
ただ、震えが何らかの病気の一症状として現れはじめたというときは注意が必要です。
 
たとえば、パーキンソン病は震えから症状が顕在化していくことも少なくないですし、
一件関係がなさそうに見える甲状腺の病気の一症状として震えがでることもあります。
こういった場合は震えだけでなくて、他の症状もあるか、もしくは次第にあらわれていくことが多いので注意が必要です。
 
また、そういった病気が背後になかったとしても、
たとえば、次第に症状が悪化し、文字も書けない、箸も使えない、というほどに震えが強くなればそれは十分に生活を妨げるため、問題となってきます。
 
これは手や足の震えがあるということ自体が病気ということになり、
一般的には本態性振戦と呼ばれます。
 
この震えの症状ですが、
たまに気になる、程度であれば治療はしないことの方が多いです。
 
上述したような、生活を妨げるほど強い症状の場合や、
患者本人が症状が気になって仕方ない場合などに治療を始めるのですが、
 
まずは飲み薬で、神経の興奮を抑えるような薬を使います。
 
これで症状が十分よくなる人はそれで良しとして、
それでもやはり症状がひどい方には、
手術治療を検討します。
 
どんな手術治療があるかというと、これは定位機能手術と呼ばれる種類の手術になります。
これが、どんな手術かというと、以前にも何度か書いたような気もしますが、
また、次の記事にでもさらっと書きたいと思います。
 

名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓

 

 

続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp

 

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp

 

 

サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp

誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ

 
 
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(2)

テーマ:
いつも医療系ドラマをみていると、
 
「〇×教授の患者だぞ、教授の誤診を明らかにして、なおかつ手術なんてしたら、、、、」
 
というような下りがありますよね。
 
要は、お偉い教授の誤診を見つけてしまった医師や病院がその患者の今後の診療方針について、アタフタするという話です。
 
では、実際、
 
〇×教授が何も異常はないと診断しているのに、
この病院で手術なんてできるわけがない! というようなことが起こりうるのでしょうか?
 
この設定はテレビドラマの世界では医学会の権威主義を表すためにたびたび用いられておりますが、
権威のある教授のご機嫌をとるために、患者の重大な不利益に目をつぶって治療を行わない、というようなことは実際にはまずありません。
 
それはなぜかというと、
医師の道義的な問題はもちろんのこと、
治療が必要とわかっていながら、治療を行わなかった方がよっぽど医師にとっては深刻な事態をもたらすからです。
 
治療が必要とわかりつつも、お偉いさんのご機嫌をうかがうために治療を怠り、結果として患者に不利益が生じたとしたら、
これが明らかになったときには必ず訴えられるでしょうし、その際にはまず間違いなく訴訟に負けます。
 
こちらのリスクの方が医師にとっては、はるかに高いのです。
 
ですから、実際にはドラマにあるように、ご機嫌伺いでアタフタするということはありません。
正しい治療が必要とわかっていれば、それがたとえ、どこかのお偉いさんが誤診した患者であったとしても、治療を行います。
 
そこで治療をしたからといって、ドラマのように論文が受け付けられなくなる、ということや、専門医や指導医が取れなくなる、というようなことはまず普通はありません。
現代の医師がそのような心配をすることもあまりないと思います。
 
もちろん、学会の会長をやっているようなお偉い教授が学会の様々な活動に影響力を持っていることは事実ですが、
論文の査読や資格の審査などはさすがに一人のお偉いさんが行うのではなく、通常は明文化された規定に従ってリベラルに行われるからです。
 
お偉いさんは怒らせないに限りますが、
一人の権威の匙加減で可否や合否が決まるというような時代ではさすがにないと思います。
 
そういう意味では少し時代錯誤ぎみのドラマが未だに多いかもしれません。
まあ、その方がドロドロした医者の世界を描けて面白いというのはわかりますけどね。
 
ただ、名前は知っているけど面識のないお偉いさんが誤診した患者の治療をすることにはそれほど過剰に気を遣うことはないと思いますが、
むしろ気を遣うのは、そのお偉いさんが直接の上司であったり、知り合いだった時です。
 
こういった場合にも、もちろん、患者さんを治療しないということはないのですが、
なるべくそのお偉いさんを煩わせることがないようには配慮するのが常識です。
 
つまり、
「あーこれは誤診ですねー」
 
というようなことは間違っても患者さんに言わず、
 
「こちらで検査をしたところ、〇×だとわかりました。しかしこれは前の病院での結果が誤診だったというわけではなくて、検査のタイミングによって正しく診断がつくこともあれば、そうでないこともあるのです」
 
というような感じで、そのお偉いさんをかばうような説明をする、つまりは空気を読むことが多いです。
 
まあ、これはどこの世界でも同じですよね。
ここではっきり誤診だと言ってしまうような人は、
正直ではありますが、世渡りがうまくないタイプです。
 
誤診をしたお偉いさんに気を遣いつつ、患者さんにも変に疑念を持たせることなく、治療へと進める。
これが一番賢い方針で、実際にこういうパターンのときには最もよく見られる対応です。
 
そういうわけで、
お偉いさんの誤診患者を巡って紛糾するというようなことは、
ドラマではよく見られても、医療ではほとんどないのが実際なのです。
 

名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓

 

 

続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp

 

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp

 

 

サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp

誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。