ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

今回でこの話題が最後です。


fMRIで心が読み取れるか?

と、やや大それた話にしてしまいましたが、


基本的には、

これまで2回の話の続きです。


植物状態なのか?意識がほんとうはあるのか?


体をぴくりとも動かせず、

外部からは判断できないとき、


fMRIを使って、

意識があるかどうかをどのように読み取るのか??という話でした。


前提として、

外部からの刺激として、耳は聞こえるということにします。


これに関して、

2010年に発表された有名な論文があります。


NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE という、

医師の世界では誰でも知っているような一流誌に載った論文です。


この論文の著者は、

植物状態かどうかを見分ける方法として、


体を動かせない患者とのコミュニケーションの方法を考えました。


それはどういうものか?


それは、

2つの別の行動を行っている状況を頭の中でイメージしてもらうのです。


実際の検査では、

なにか患者に質問をして、


Yesであれば、”テニスをプレーしている想像をしてください”

Noであれば”、家の中を歩き回っている想像をしてください”


と患者にリクエストします。


そしてその想像している最中の患者の脳のfMRIの撮像結果を解析するのです。


健常人で行った検査で、

激しくテニスをプレーしていることを想像した場合と、


家の中をただ歩き回っていることを想像した場合では、


脳の異なる部分が活性化することがわかっていました。


テニスの際には、

運動をプロデュースする運動前野が活性化します。


一方で、家の中を歩いていることを想像する際には、

異なる部位が活性化することがわかったのです。


そして、意識障害の患者の脳でも同様の反応が見られることがこの試験で明らかになりました。


この方法を使えば、

たとえ患者が意思表示できなかったとしても、


Yes, Noのコミュニケーションをとることが可能とわかったのです。


植物状態と考えられていた患者が、

実際にこの検査で反応を返したことから、最小意識状態と診断されなおしたケースもあったようです。


ただ、

このfMRIはそう簡単にどこの施設でも出来る検査ではありません。


MRIの機械があって、

fMRI解析の知識のある人間が必要です。


また、

意識障害の患者をMRIの機械に入れるということ自体が実はかなり大変です。


MRIの検査室には、

金属でできた物や電子機器は基本的には持ち込むことができないので、


たとえば持続で点滴が必要な状態であったり、

人工呼吸が必要な状態では、検査を行うのが難しいからです。


そこで、

最近ではさらにすすんで、MRIを用いずとも、脳波やNIRSと呼ばれる光トポグラフィを原理にした装置を使って、同様の方法が試みられています。


脳波やNIRSであれば、

持ち運びできる装置で計測可能ですからね。


患者さんのベッドサイドでも可能かもしれません。


こういった技術が進歩することで、

これまで植物状態だと診断されていた患者のなかにも、

実は意識がある方を見つけることが出来るようになるかもしれませんね。


ただ、

そうはいっても、その方がどの程度の判断力を持っているのかは

疑問ではありますが。


これで、

ここ数回続いたこの記事も終わりにして、


次回からはまた新しいテーマを書いていこうと思います。

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前回の記事の続きになります。


もし、たとえば、体をぴくりとも動かせなかったとしたら、

意識があったとしても外部の人間はその人に意識があるかどうかを把握することは難しい、


そんな話をしました。


意識のない植物状態と、実は意識のある最小意識状態、


この2つを見分けることは難しいという話です。


そこで、今回はどのような検査を使ってそれを見分けるのかについて書きます。


体をぴくりとも動かせない人がいたとして、

その人に意識があるかどうかを判断するためにはどうすればいいか?


それは、

脳自体が活動しているかどうかを見ればよいのです。


とはいえ、ただ脳の神経細胞が生きているかどうかを見ても、

それでは意識のあるなしはわかりません。


外部からの刺激に対して、

意識がある人と同じような反応ができるかどうかを確認しなければいけないのです。


体がぴくりとも動かないという前提では、

当然、目を開くことはできません。


よって、

外部からの刺激は映像ではなく、音ということになります。


もし難聴で音も聞こえないという状態だと、

これはそもそも意味のあるコミュニケーションをとること自体がかなり困難になってくるので、


今回は耳が聞こえないという場合は考えないことにします。


体はぴくりとも動かないけど、

音は聞こえている状態、と考えてください。


音が聞こえていて、意識があれば、

聞こえた問いかけに対して、考えることができるはずです。


体は動かせないにしても、

その質問と、答えの内容を頭の中で考えることはできます。


その際の頭の働きを見ることができれば、

意識があるかどうかが判断できるのではないか?


そこで、functional MRIが応用されたのです。


functional MRIとはなにか?

と言いますと、


MRIを使って、脳の活動部位を見る検査方法です。


脳の一部位の活動が高まりますと、

その部分にはより多くの血液が流入します。


そうするとどうなるか、と言いますと、

血流の増加分が脳の需要を上回ります。


供給>需要となるのです。


血液中の酸素はヘモグロビンによって運搬されていますが、

酸素を運んでいるヘモグロビンをオキシヘモグロビン、


一方で酸素を消費したヘモグロビンをデオキシヘモグロビンと言います。


まあ、この辺の細かいところは大きな問題ではないのですが、

結果として、


供給>需要となると、その脳の組織の中でのデオキシヘモグロビンの濃度が減ることになるのです。


血流がたくさんになり、供給が上回るので、

活動している脳の部位では酸素化されたヘモグロビン量がむしろ増えるんですね。


これをBold効果と言いますが、

その組織中のデオキシヘモグロビン濃度の変化を信号としてとらえ、


脳の活動部位を見極めるのがfunctional MRIなのです。


これが、functional MRIの原理なのですが、


まあ、簡単に言ってしまうと、

脳の活動している部位が見える検査、ということになります。


さて、

また少し長くなってきたので、


実際に、このfMRIを使ってどのように意識のあるなしを見極めるか?


についてはまた次回に続きます。


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宣伝だけの記事となりました。

次回からはまた意識に関する記事を続けていきます。


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