ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

長年、日本ではタブーとされてきた手術があります。


それは精神疾患に対する脳手術です。


前頭葉を破壊する手術、ロボトミーと呼ばれた手術がありました。


この手術が本来の適応を逸脱し、反社会的な人格障害などに対してまで適応拡大して行われるようになった結果、


衝撃的な殺人事件など、その他の時勢とも相まって、

日本では精神外科を否定する決議が学会でなされました。


以後、この国では精神科疾患に対する手術治療はタブーとされ、

全く行われておりません。


しかし、時代の移り変わりと医学の進歩によって、、

かつてのように粗雑に脳を破壊することなくとも、ピンポイントで狙った部位の脳を熱凝固する方法や、電極で刺激する方法など、


脳に対するダメ―ジの少ない治療法が現代では生まれています。


こういった治療は、

パーキンソン病や、手の震え、もしくは、ジストニアと呼ばれる異常な手足の動きに対して、

日本でも行われております。


日本ではパーキンソン病に対して、最も多く定位脳機能手術が行われているのですが、

実はそのターゲットとなる刺激部位が精神への影響も持つこともわかっています。



精神に影響を与えることを目的とするわけでもなく、単にパーキンソン病の治療として行ったはずなのにもかかわらず、患者さんの精神状態が不安定になるようなことがあるのです。



そういう意味では、目的は違えども、日本でも精神の影響を与えうる手術は行われているということにはなるのかもしれません。


ただ一方で、海外では日本ではタブーとされた精神疾患に対しても同様の治療が検討され続けており、

近年、データが蓄積されつつあります。


海外では日本のように、精神外科そのものをタブーとしているわけではないからです。


日本がこの分野の歩みを完全に止めた数十年間の間に、海外では一方ずつ進歩が進んでいるというわけですね。


そして、今回この記事を書いているのは、

ようやく日本でも動きが出始めようとしているからです。


海外でのデータを踏まえて、非常に慎重に、そして適応を絞って、第一例が行われる準備が少しずつ、勧められています。


当然、

タブ―とされた治療を再び動かしだすわけですから、絶対に間違いながいように慎重に一歩一歩進められているようです。


治療自体が有効であるということと、

正しい適応で、他にもう治療法のない苦しんでいる患者さんへ行うということが、

絶対的な条件です。


日本で現在手術治療が検討されているのは、

強迫性障害という精神疾患です。


これは重度となると、手の皮がすりむけるまで手を洗い続けてしまったり、

何度も何度も同じことを確認し続けて日が暮れてしまったり、


とにかく生活を非常に害する疾患です。


この疾患で苦しんでいる患者はパーキンソン病よりもはるかに多くいらっしゃるようですし、


現状の治療で、治療の手立てがない方については、

本当に少しでも有効な治療ということで手術に期待している方もいらっしゃるでしょう。


そういう方のためにも、着実に日本でも有効な手術治療が進めばよいと僕は思います。


皆さんはこういった、

精神疾患に対する脳の手術に対してどういったイメージをお持ちですか?


また、そういった治療が日本で始まることに関して、どう思われますか?


何かご意見があればお願いします。


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本年もあけましておめでとうございます。


今年は、昨年のように大晦日から、元旦、さらには2日までずっと病院というような、

鬼のような当直生活は免れました。


とはいえ、

今年もやはり、三が日なのに今日も病院に泊まっています。


どうも、

やはり医師という職業は、世間がお休みの時も働かなければいけないというような、

宿命があります。


しかも、我々のような若手の医師の場合、

そういった土日祝日の仕事が収入源であったりするので、


たちが悪いんです。


特に大学病院に勤務している医師などの場合、

平日の大学での業務には給与があまり出ないため、


主な職場である大学病院からの収入よりも、

当直などのパート収入がメインとなっていたりします。


まったく、これはどうにかなればよいのですが。


こんな愚痴で新年早々の記事を始めてしまうのもどうかとは思いますが、

こんな晴れているいい祝日に、病院にずっと閉じこもっていると、愚痴がこぼれてしまうものですね。


とはいえ、

今年もいろいろと記事は書いていこうと思います。


大分いろいろとこれまで書いてきたこともあり、

これを書こう!というのがなかなかすんなりとは出てこなくなってしまったこともありますので、


なにかリクエストがあればどんどん、

メールでもコメントでもいただければと思います。


もちろん、私の方でも、

今年はこういうことを書いていこうというようなアイデアはありますので、


少しでもためになるものを書ければとは思います。


それでは皆さん、

今年もよろしくお願いいたします。


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僕も毎週日曜日は、

「下町ロケット」を楽しみに見ていました。


個人的にはやはりロケットの話の方が夢があるなぁ、とおもっていましたが、

後半のガウディ編は医療がテーマなので、

そういう意味でも注目してみていました。


劇中で宿敵である椎名の言葉に、


「だから日本の医療は周回遅れなんだ」


という台詞があります。


本当に日本の医療は周回遅れなのかどうか?といいますと、


ある意味でこの椎名の台詞は正しく、

一方で、別の意味ではそうでもありません。


どういう意味かというと、


いわゆる最先端医療の分野では、

確かに日本の医療はトップクラスとは言いがたいのが現実です。


マラソンで言うならば、

先頭集団ではなく、第二集団といったところでしょう。


しかしながら、国民全員が受けている平均的な医療レベルという点では、

世界トップクラスでしょう。


これは国民の平均寿命にも現われています。


つまり、

日本の医療というのは、


誰もが一定以上のレベルの医療が受けられるという意味では、世界トップクラスなのですが、


かといって世界で最も進んだレベルの医療が受けられるのかというと、

そうではない、というのが現状なのです。


まあ、周回遅れというほどひどくはないようには思いますが、

確かに、先頭集団を追従している、というのが最先端医療での日本の現状のポジションかと思います。


それでも、

全体に提供されている医療のレベルが高いならいいじゃないか、

と思われるかもしれません。


しかし、

最先端の分野でトップランナーでないことは、


実は相当な損をしているのです。


また、下町ロケットの話になりますが、


佐山製作所の椎名の父親の台詞に、

「トップクラスじゃだめだ、トップを目指せ」


というような台詞がありました。


それもそのはず、トップをとるということが非常に重要なのです。


なぜなら、新しい薬も新しい医療機器も、いずれもそれらは最先端の研究や医療から生まれます。


そして、それらを開発した側は特許をとることによって、十分な対価を得ることができるからです。


一方で、それらを用いた治療を使いたい側は、

製品を輸入して購入するか、ライセンス料を払って製造するしかありません。


日本は医療における多くの分野において、

この後者なのです。


日本で開発された医療機器や薬剤というのは少なく、

欧米で開発された治療を使っているのが、ほとんどです。


僕らが出している薬も、使っている機器も、

半分以上が輸入品なのです。


特に高価なものにかぎって、

だいたい輸入品のような気がします。


日本人としては非常に残念なところですが、これが日本の医療の現状です。


そういう意味では医療というのは、国単位でみたときに、日本は相当な赤字だと思います。


国民全体に一定レベル以上の医療が行き届いているのは、

うがった解釈をすれば、


日本が大金を払って輸入した薬剤や機器によって支えられている、

といっても過言ではありません。


もちろん、

国産のものもあります。


しかし、未だに輸入品が多くを占めているのが日本の医療なんですね。


医療を成長産業にという、政府の方針もあるようですが、

それこそ、まさに、トップクラスではなく、トップを目指し、


知財戦略を進めていかなければいけないのです。


新しい医療を開発し、

しっかりと特許を守り、そして、その製品を世界に売る。


ここまでできるようにならなければ、医療を成長産業にすることは難しいでしょう。


現在、

製薬会社のランキングをみてみても、日本の企業はまったく上位に食い込めておりません。


国内市場ですら、外資に占められています。


これが、

「周回遅れ」という言葉の裏にある現状なのです。


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