日本の脳外科 ハイリスク、ローリターン? 再編版 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

ようやく動脈瘤の話が終わりました。


今回は軽い記事にしようと思います。




僕は脳外科医なので、


世界的に脳外科医の扱いがどうなのか気になって調べてみました。




扱いを調べるといっても、なかなか難しいです。




調べてみると、


やはりある程度簡単に調べられる上に、皆の興味となっているのはやはり給料でした。




しかし、


国によって経済規模が違うので単純に金額では比較はできません。




なので、脳外科医が医者の中でどのような扱いなのか?


ということに注目しました。




つまりは、たとえば内科の医者と比較して給料はどうなのか?ということです。




そうすれば、同じ医者という中での比較で、


脳外科医の仕事が世界的に医療の世界でどう評価されているからが分かるからです。




内科は内科でも扱う臓器が違うと、


なかなか比較も難しいので、


神経内科医と脳外科医の比較ということにしました。




結果は、


中国や韓国では 2-3倍!


欧米諸国でもその程度から5倍まで。


アメリカにいたっては神経内科医の10倍にも。




ということでした。


すごいですね。




じゃあ、単に給料がいいのか?


ということですが、


給料がいいのにもやはり理由があります。




その理由は、ひとつは仕事内容が平均的にハードだということがあります。




そしてもうひとつは、


それだけのリスクがあるということです。




やはり脳外科の手術は最もリスクが高いのです。




なので、当然、


訴訟などで訴えられる確率が格段に内科医より高いのです。





アメリカなどでは保険料だけで年間1000万円以上かかるらしいですから。。


リスクがある分、収入も多いということです。




脳外科医の仕事に近い仕事はなにか?


と言われると、


たまに、爆弾処理班が近い、と思うようなこともあります。


共通点は、




人命を救う仕事である一方、精密操作を必要とし、極めてハイリスク、ということです。




ハートロッカーや、ジャガーノートといった映画を見たりすると、


似ているなあと思ってしまいます。




ただし、彼らは失敗したときに自らの命を失いますが、


我々は訴訟によって仕事を失うかもしれない程度で、命まではとられません。




詳しいことは分かりませんが、


きっと収入なども世界的にみれば脳外科医の方がいいかもしれません。




それにしても、


結論として、世界的には脳外科医は


ハイリスク ハイリターンなのです。




収入が大きいので、


当然人気は高いです。




基本的には、狭き門を通り抜けた人間しか脳外科医にはなれません。


アメリカなどでは100人に1人くらいしか進めない狭き門なのです。




さて、日本ではどうでしょう?




日本にあるたいていの病院では、


何科であっても基本給などは全て一緒です。




ただ単に、


年功序列で給料が上がる病院がほとんどです。




仕事は当然、脳外科はハードです。


夜中に呼ばれて緊急手術!なども日常的です。




しかも、訴訟のリスクは日本でも最近は高まっているので、


脳外科は結構危険なのです。





だれだれ先生が訴えられた、なんて話もけっこう耳に入ります。




つまり、日本では脳外科医は医者の中ではきわめて、


ハイリスク ローリターンとも考えられます。




自分自身のプライドと興味と使命感に支えられてやっているような人がほとんどでしょう。


おかげで、


何年か連続で日本では脳外科を志望する若手は全科の中でもっとも少ないらしいです。




もちろん、医者という職業はめったに食うには困らない安定した仕事です。


なので脳外科だからといっても、一般からみれば十分安定しているかもしれません。




しかしだからこそ、


なので、他の科にいけば安定して楽に稼げる権利があるのに、


どうして脳外科なんかにいくんだ?




というのが現代の医学生の基本的な考え方です。




ある程度信念と興味のある、


物好きな人しか選ぶことのない科になっています。




皮肉なことに、


世界ではあえて狭き門として100人から数人を選ぶような科ですが、


日本では自然と100人に数人しか選ばないような科になっています。




残念なことですね。




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