脳死の法改正、どれくらいの人が意識しているのか? 再編版 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

ここのところ、


動脈瘤の話ばかり書いていましたが、


まだ、2回くらいは続いてしまいそうなので、ちょっと違う話題の記事にします。




以前にも脳死臓器移植などをテーマに記事を書きました。


「脳死臓器移植について」



http://ameblo.jp/nsdr-rookie/theme3-10025237156.html#main




あまり出会いたくはないものですが、


やはり科の特性上、脳死とは切っても切れません。




先日も事実上、脳死状態となったケースがありました。




あとから他疾患の既往が明らかになって移植とはなりませんでしたが、


法改正によってさらに脳死移植が身近になったと実感させられました。




この間の法改正によって、


大筋では、本人の意思が不明でも家族の意思で臓器移植可能ということにはなりました。




しかし、


一般の方々はどれくらいこの事実を認識しているのでしょうか?




前回記事にも書いたように、


日本は明らかに脳死臓器移植の後進国です。




そして、そのせいで救われるはずの命が失われているという現状が少なからずあります。




しかし、実際には移植にかかわる医療機関、


また、医療者の負担は非常に大きく、日常診療にかなりの影響を与えます。




金銭的に言えば、臓器提供側の病院は、


いろいろトータルで考えると数千万の赤字になることさえあると、言われています




イーブンくらいになるはず、との見通しはあるようですが、


実際は人件費などをしっかり計算に入れていないようです。




つまりは、


法改正はとりあえず改正されたものの、


現実的には脳死移植をサポートするような制度には全くなっていません。




なので、


積極的に脳死判定や移植に話をすすめようと思う医療者はあまり多くないように見受けられるのが現状です。




というか、


病院全体として、ドナー提供に積極的な所がそれほど多くあるとは今のところ思えません




ドナーを待っている患者さんや家族からすれば、


法改正によって改善はされつつあるものの、まだ、この現状は耐え難い状況と思います。




ただし、


脳死患者の家族が、移植を希望するのであれば、医療者側には義務が生じます。


そうなると動かざるをえなくなるわけです。




しかし上にも書いたように脳死臓器移植に積極的な病院でないかぎり、


たとえ脳死状態となっているにしろ、医療者から移植を切り出す、ということはそう多くないでしょう。




なので、家族側から話が切り出されない限り、うやむやに終わることが多いように思います。




つまり、


家族側から少しでもその話題が出ないと、たとえ脳死であっても移植へのきっかけは生まれないわけです。




そういった意味で、今回の法改正の内容がどのくらい世の中一般の方に浸透しているのか?


というのが重要な気がします。




どれくらいの方がこの


「本人の意思が不明な場合、家族の同意で脳死臓器移植が行われる」


ということを知っているのでしょうか?




読んだらクリックしてね↓


このブログの順位がわかります↓


人気ブログランキングへ


当ブログが電子書籍と紙の書籍で書籍化されています。

オンラインでの注文は↓から。是非読んでみてください。




電子書籍↓


サクッと読める!「脳」の話/名月論



¥300円

Amazon.co.jp


紙の書籍↓

誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論

¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話

¥1,365

楽天


読んだらクリックしてね↓


このブログの順位がわかります↓


人気ブログランキングへ