YAMAHA「DX7Ⅱ-D/FD」でお勉強♪ | NOZ's Stylish Sound♪

NOZ's Stylish Sound♪

1980年代の音楽に輝きを放っていたシンセサイザーYAMAHA「 DX7」

繊細で綺麗な音を放つスタイリッシュなシンセサウンド「FM音源」を使って曲作りをしております♪

現在、YAMAHA FMシンセサイザー「DX7Ⅱ-D」と「DX7Ⅱ-FD」を、お預かりしております。

YAMAHA DX7II-D YAMAHA DX7II-FD


私も、良い機会と思い、「DX7Ⅱ」が手元にあるうちに、操作方法や音色作りの勉強をしておりました。

操作に関しては、私は今でも「DX7」を使っておりますので・・・

YAMAHA DX7 ロゴ


「DX7Ⅱ」も、少し説明書を読んだだけで、すぐに使えるようになりました。

「DX7Ⅱ」の操作や機能に関しては、開発に関わっていた浅倉大介さんのデバック能力と、ユーザー視点でのアドバイスが活かされているので、「DX7」2台分の多機能になりつつも、扱いやすくなっていると感じました。

特に「DX7Ⅱ」になってから、液晶ディスプレイが40文字×2行になり、音色作りの時には、1画面に複数のパラメーターを表示出来るので、「DX7」に比べて、エディット作業が快適です。

「DX7」の液晶ディスプレイは16文字×2行なので、「DX7Ⅱ」になってから、2倍の表示能力になった事が、これでお分かりかと思います。

なので、6オペレーターFM音源で音色を作るのならば、私は実機であれば「DX7Ⅱ」を、ソフトウェアシンセであれば「DEXED(ディクシード)」がお薦めでしょうか。

DEXED 起動画面


実は、「DX7Ⅱ」本体と一緒に、「SOUND SOURCE BOOK」と言う、YAMAHAが発行している本も、お借りしておりました。

この本には、「DX7」と「DX7Ⅱ」の両方で使える音色が掲載されております。

6オペレーターFM音源に関する本は、今まで一度も読んだ事が無かったので、今回こうして、じっくり読む事が出来て、とても勉強になりました。

実際に、本に掲載されている音色を打ち込む事で、「DX7Ⅱ」独特のユニゾンボイスや、キーボードレベルスケーリングによる音色の変化を、直接体感する事が出来ました。

そして、掲載されている音色を打ち込んで行くに連れて、「DX7Ⅱ」の操作にも慣れてきました。

正に「一石二鳥」ですね♪

FM音源に限らず、新しい事を覚える時に言える事ですが、頭で理解するだけで習得出来るものは「知識」であり、「知識」を基に、自分で操作する事で「技術」は身に付きます。

この本は正に、読む事でFM音源の「知識」を得て、掲載されている音色を「DX7Ⅱ」に打ち込む事で、実際の音を耳にする事が出来て、数値による変化や効果を感じて、「技術」の習得につながると思います。

ちなみに、私のFM音源の勉強方法なのですが、他人の音色データを打ち込む時には、6個もしくは4個あるオペレーターのうち、最初に「キャリア」となるオペレーターだけ打ち込みます。

当然、この状態では、純粋なサイン波しか出力されません。

その後から、「キャリア」に近い「モジュレーター」となるオペレーターから順番に打ち込んで行く事で、サイン波から徐々に変調して行く過程を知る事が出来ます。

この、音色作成の途中の部分と言うのは、実際に打ち込む事でしか出会えない、大切な部分でもあります。

パラメーターを1つ入力した直後に、鍵盤を押して、実際に鳴らしながら、変化や効果を確認します。

なので、各オペレーターの「キャリア」と「モジュレーター」の関係を理解して置くと、良いと思います。


YAMAHA SOUND SOURCE BOOKこの本「SOUND SOURCE BOOK」の著者は、沢 彰記(さわ あきのり)さんです。

1つ1つの音色に解説が付いてますので、解説を読みながら打ち込んで行く事で、理解も深まります。

FM音源のパラメーターが分からない人にとっては、チンプンカンプンな内容かもしれませんが、掲載されている音色を全て打ち込む事で、沢さん秘伝の128音色が手に入りますので、運良くこの本を入手されている方は、頑張って入力してみると良いでしょう。

そして、掲載されているパラメーターの数値を理解出来る人にとっては、感動の一冊になる事と思います。

あまり普通では知られていない、楽曲制作現場で使われている音色作りのテクニックが盛り込まれているので、音色作りに限界を感じていた人にとって、新たな活路を見出せるのではないかと思います。

その中から、1つだけ、私が特に感動した内容を紹介しましょう(^。^)

それは、キャリアに固定周波数を使って、モジュレーターで音程を作るテクニックでした。

普通は、モジュレーターに固定周波数を使って、キャリアで音程を変化させる事が多いと思います。

「キャリアに固定周波数なんか使っちゃって、音程変化するのか?」と、半信半疑でしたけど、実際に掲載されているデータを打ち込んでみると、あらまあ!ちゃんと鍵盤の音程で鳴ってくれるではありませんか。

実はこれには、設定する周波数に秘密がありました。

設定する周波数には、1~10Hz帯の周波数を使います。

1~10Hzと言うのは、人間の耳では聞き取れない超低周波です。

人間の可聴帯域は一般に20Hz~20000Hzと言われておりますので、1~10Hz帯は聞き取れないのです。

で、キャリアに1~10Hz帯の固定周波数を設定すると、どうなるか?と言いますと・・・

モジュレーターで作られた音に対して「うねり」を加える事が出来ます。

つまり、キャリアがLFO(ローフリケンシーオシレーター)の役割を果たします。

1Hzより、徐々に周波数を上げて行きますと、音の揺れる周期が、早くなります。

私も実際に、2オペレーターだけ使って、キャリアの固定周波数を変えて、直接確認する事が出来ました。

なるほど、効果は理解出来ましたが、キャリア1個だけに1Hzを設定しても、単なるLFOと同じ結果になってしまいます。

この場合は、普通にパラメーターのLFOを使ったほうが良いと思います。

そこでこの本では、キャリアを2個使いまして、片方の周波数を1Hzにして、もう片方を少しずらす(1.230Hzなどにする)事で、ステレオ感のあるビブラートを作れると言うものです。

普通のLFOで作るビブラートとは一味違った、立体感のあるビブラート効果を得ることが出来ます。

なるほど!

このような、1ボイスの中で2つの異なる周期の「うねり」を合わせる手法を、全く知りませんでした。

この手法を応用すれば、2ボイス使って、PAN設定で左右に引き離して、LFOスピードをずらしてユニゾンで鳴らす事で、ステレオビブラートを作れそうですね♪

いつ頃に発見された手法なのか?気になりまして、この本の発刊年数を見ますと、1988年12月でした。

なるほど、割とFM音源の後期に編み出されたテクニックなんですね!

おそらく沢さんは、日々のレコーディング作業で、80年代当時から既に、2ボイス使ったステレオビブラートを使っていたのだと思います。

それをFM音源の音色作りで、1ボイスの中でステレオビブラートを再現出来るように、応用したのではないかと。

著者の沢さん、本当に凄い人です!

沢さんは、以前から名前はお見掛けしておりましたけど、まさかこんなにFM音源が使える人だったなんて、全く知りませんでした。

なので、本の内容と、沢さんの凄さに、ダブルショックでした。

他にも、この本には、沢さんのFM音源テクニックがたくさん書かれておりますので、これ以上の音色作りテクニックの紹介は控える事にします。


次に、掲載されている音色の中から、1つだけ、面白い音色を紹介しましょう。

実は、この本で掲載されている128音色の中に、ゴジラの鳴声の音色がありまして ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

まさか既に、沢さんがゴジラの鳴声を「DX7Ⅱ」で挑戦していたなんて、全く知りませんでした。

私も、2015年01月11日の記事で紹介しておりますが、ゴジラの鳴声を「DX7」で挑戦しておりますので、これは興味がありました。

沢さんの「DX7Ⅱ」版ゴジラと、私の「DX7」版ゴジラの、音色対決と言った感じで、沢さんの作った音色データを打ち込んでみました。

沢さんは、固定周波数(フックスモード)の使い方と、エンベロープジェネレーターの使い方が上手いです。

なので、とても「生き物」に近いです。

私のゴジラは、固定周波数は使わずに、非整数次倍音の組み合わせでトライしたので、「機械的」になってしまいました。

使っているアルゴリズムも、沢さんと私では、全く違ってました(笑)

ピッチエンベロープジェネレーターの使い方も、沢さんゴジラは、鍵盤を押している間の音程変化に比重を置かれている感じがしました。

NOZゴジラは、どちらかと言うと、音色の中盤から、鍵盤を離した後の音程変化に比重を置いて作りました。

あと、沢さんのゴジラには、「DX7Ⅱ」ならではの「ユニゾン」を使った8ボイス仕様になってましたので、さすが!分厚い音色です。

私のゴジラは、シングルボイスなんで・・・(^^;

でもこうして、「ゴジラ」という共通のお題で、違ったアルゴリズムから生み出された音色データを比較してみるのは面白いですし、勉強になりますし、とても刺激になります。

そして、FM音源で音色を作るのに、正解は無いと思います。

人それぞれに、独自に作った音色が、その人の「個性」になるのが、FM音源です。

現代のPCM音源シンセサイザーは、本物の音をリアルに再現する波形再生方式とするならば、FM音源シンセサイザーは、非自然的な現実に無い音を作り出すサイン波合成方式です。

なので、生楽器の音色はPCM音源に任せて、FM音源は、生楽器では有り得ない音色を生み出して、両者の良い所取りで、互いに共存して行きたいものです(^。^)



PS:

このブログは、たくさんの人に読んでもらえるように、にほんブログ村音楽ブログ DTM・MIDI音楽ブログ 楽器・音楽機材ゲームブログ ゲーム音楽に参加してます♪

にほんブログ村