時刻日影図から等時間線が判断できない事例 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

2月25日土曜日 
まずは前回の花粉症の話だが・・・惨敗。今週花粉症の症状がでなければ、半年ほどつづけている瞑想がよかっただの・・・ラッパの練習がよかっただのいろいろ花粉症撲滅法をかたるつもでいたのだが・・・何のことはない、ブログを書いた翌日から鼻水ぐしゅぐしゅ目かゆで、日曜日の遅れた新年会の熱燗が効き鼻つまりまでフルコースが開始してしまった。

桜はまだつぼみ・・桜開花とともに花粉症は、終わる。定点観測を開始したい。
 
 
 昨日金曜日はプレミアムフライデーで世間的には、早々に帰宅できるらしいのだが当方は夕方5時半の天空率勉強会に備えての大阪谷町入り。
まずはユニオンシステム訪問。吉田社長から頂いたのが近日発売かな?動的弾塑性応答解析を行うソフトウェア『SS21/3D・DynamicPRO』の記念ゴルフボール。

 
来年の新春大会ではこれで一矢報いたいところだがロストボールの足しにしてしまったら悪く・・・どうししたものか。
『SS21/3D・DynamicPRO』は、一貫構造計算ソフトウェア『SS7』および『SS3』の計算結果をもとに、立体フレームモデルによる部材レベルの動的弾塑性応答解析を行うソフトウェアです。
また、制振ダンパーを建物に配置して解析することもできます。

とある。ご期待いただきたい。35年程のお付き合いで今や構造計算ソフトの雄。当方も負けてられない・・・企画BIMの雄てか!
 
 そして、ユニオンシステム蔵盛営業本部長とともに日積サーベイの生島社長をとなり駅まで歩きで訪問・・・・花粉症だというに。
前回の沖縄セミナーの成果の報告反省会とともに次回開催地の検討を行った。
・・・・・どうも開催地の選定がうまい物、うまい酒を第一に選定する傾向がありいかん(お互いさまだが)それも考慮しうえで蔵盛本部長に一任する事にした。
 
 そして5時半から大阪建築会館で近確機構の皆さんと天空率研究会を行った。
当方からは天空率取り扱いの最新の状況の報告とともにケーススタディーを行い活発に意見交換を行った。

終了は8時近く。皆さん遅くまでお疲れさまでした。
 
 今週からゼネコンの皆さんの勉強会も始まった2回コースの1回目

 若手設計者の皆さんとともに今回は手計算で逆日影計算を行う事から始まった。1時半から始まった講習も5時終了後、自主トレの申し入れがあり結局6時過ぎまで頑張っていただいた。来週は天空率だ。お待ちしてます。!
 
 さて講座を開始したいが今回は日影規制の講座でゼネコンの皆さんの講座に連動している。しつこい比嘉の真骨頂。
 
比嘉ブログで繰り返し見ていただいている回で
 

日影規制の話5:手計算で逆日影を行う方法


がある。
 
 その回で解説したのが8時枠で影の重なりをカウントする事により等時間線を特定する事が可能であるとした。
 例えば、下図で示す様に8時枠内にある3時間の重なりの線11時の線が3時間線、13時の線が5時間を意味する事を解説した。
 

この例では、3時間が10mラインを超えており(黄色部)、5時間もわずかだが5mラインを超えている為、規制ライン内におさまる様に建物高さを逆算する方法(逆日影)を解説した。
 
同様に16時枠内でも13時が3時間11時が5時間になる事を解説した。
 
 

この場合は3時間線が10mラインを超えておりやはりNGで建物高さをカットしなければならない。
 
この様に時刻日影線の重なりで等時間線を特定する事が可能なケースは、影を発生する北側の建物ブロックの幅が広い場合。
 狭い場合、必ずしもその事が成立しない。その事を今回は解説したい。
 
 前回まで解説した事例だがたとえば

 
プランの初期段階で階段室の上部を斜に設定せずひさし部をフラットに設定した建物ブロックで時刻日影図を描くと
 

 
 8時枠の中で3時間線の11時を確認すると赤丸で示す様に階段室の部分がNGになっている様にみえる。ところが等時間日影計算をすると
 

 
赤丸で示す様に10mラインの内側にある。つまりクリアーしている。
時刻日影と等時間線を重ねて表示すると
 

赤丸で示す3時間そして右下の5時間の階段室から発生する影部で時刻日影の重なりと等時間線が一致しない。
 
 この事で審査機関から等時間線の精度に問題があるのでは?と指摘をうけた設計者がサポートセンターに相談があった。・・・・結論からこの場合まったく問題なしでこの様な事は幅狭の建物ブロックの時刻日影線でおこりうる。
・・・解説を開始しよう。
 
 コンピュータ処理による等時間日影計算は、設計者が目視で行う様に影の重なりを追跡しない。理由は、この事例の様な間違いがおこる事と複数建物の影が複合された際に発生する島日影は1時間程度間の時刻の重なりでは検出できないからだ。
 
 コンピュータ処理における等時間線の作図法でもっとも一般的な手法はメッシュ法だ。
 
 メッシュ法とは、日影計算対象面を任意の間隔で碁盤目状(メッシュ)に設定された交点に1分間隔で(秒単位でも可)で時刻日影を投影し交点上に積算された影の時間を任意の時間指定で線分補完する方法。
 
 
 
  時刻日影では上図時刻日影は、1時間毎だ。つまり荒い。実際の影は1時間毎に影になるわけではなく連続して影は移動していく。
 
 8時枠の時刻日影の計算間隔を10時半と10時50分から10分ごとで作図すると下図の様になる。
 

 
10時半の階段部の幅の時刻線は11時とすべてが重なっているわけではない。
11時の3時間線が重なっているヶ所とそうでないヶ所を色分けで確認すると
 

 
 青で補助線を脇に書きいれた11時の部分は影が3時間連続している為、3時間のカウントとなるが赤表示した部分は10時30分時には日向であり影の時間にカウントされない。
  さらに11時に10mラインを超えている時刻線は11時10分には10mラインの内側に移動している。11時の瞬間、階段室の上側の影の線が10mラインを超えているだけだ。3時間等時間線は連続して3時間影になる位置を結線した線分の事だ。青表示の上部が右下に結線された等時間線となる事がわかる。
 
 
 等時間線が正しい事をさらに証明してみよう。
 
まずNGとおもわれる規制ライン上を指定点日影で確認する。
 

 
今回は50cm刻みでチェックしたがP6が2時間58分で2分のクリアランスがある事がわかった。→確かに等時間線の結果は正しいようだ。
 
 さらに半天空図で太陽の軌跡と建物の重なりを確認する。半天空図により太陽の軌跡を表現すると建物の背後に太陽が隠れた部分が影になる。
 

 
2時間58分の内訳は8時から10時半までの2時間30分と10時31分から10時59分までの28分で合計2時間58分。10時30分から31分の間はどうなったのか?拡大するとわかる
 

 
パラペット上部から太陽が顔をだすが1分で階段室に隠れてしまう。その間が1分。
 
時刻日影の場合この様に途中の時間でひょこり太陽が顔をのぞかせる部分までは60分間隔で確認するには不可能だ。1分間隔の時刻日影図だと

 
その濃淡から階段部の幅が狭いために影の時間の雰囲気がわかる。等時間線と複合すると
 

 階段部の影が右下に移動し3時間の重なりの位置が右下下がりの等時間線と一致する。
今回の階段室の様に投影されるブロックの幅が狭い場合、8時枠で11時は3時間等時間線と一致しない。
 
 尚、等時間線だが1分単位の場合1分の誤差の可能性がでてくる、その為1分を超えた分は繰り上げ加算され安全側表記を確保している。今回の場合1秒単位で処理すると誤差は最大2秒以内となりより正確になる。
 

 
計算間隔を1秒に設定し計算開始すると

 
 2時間58分だったポイント6は秒単位では2時間56分49秒と2時間58分が1分11秒短い表記になった。理由は、1分単位の場合でP6は途中で太陽軌跡が中断される為2回時間切り上げの安全処理が施されている為。
 
 
秒単位の場合さらに詳細な時間で解析した結果日影時間が減少し真値に近づいた事がわかる。
 
 階段部と同じ高さの建物ブロックを配置すると
 

 
建物ブロック幅が広くなり影もその分十分重なる。

 
赤枠で示す11時の部分は3時間を意味する事になる。

 
この場合NGとなる。北側に面した高いブロックの幅が狭い場合時刻では等時間線を判断できないことに注意したい。
 
 
同様に10時半と10時50分から10分毎の時刻日影線で確認すると
 

8時枠の11時の時刻日影線の位置は連続して3時間影になっており3時間等時間線と同一となる。円弧で記した右側階段室の右側凹み部の影は8時の枠外にあり11時部の3時間線に影響を与えない。
 
 今回も長くなった。このあたりで終了としたい。
鼻水に加え今週は咳き込みも発生してしまった。これが風邪なのか花粉なのか判然としない・・対策にこまっている。来週までお元気で! hi
 
 
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