そもそも、やついいちろう、という芸人を知ったのはNegiccoと危険日チャレンジガール(通称:
キケチャレ)とのコラボ曲、つまりはNegiccoのおかげだった。
そのコラボ曲のリリイべにタワレコ汐留店まで足を運び、そこで芸人やついいちろうの面白さを知ることとなり、昨年末に両国国技館で開催されたエレ片のライブを鑑賞し、ますますやついいちろうのファンになってしまった。
そのやついいちろうが主催する「やついフェス」。
Negiccoも2日目に出演するというので、チケットを購入しておいた。
購入はしたものの、しかし、直前まで参戦を迷っていた。
自宅から渋谷まで出向く面倒さ、渋谷の街を歩く煩雑さ、ライブ会場の混雑度。
それらを考えると、ついつい億劫になってしまう。
でも、それらを振り切って出かける決意をしたのは前日だった。
当日朝、カミさんから洗濯物の取り込みを依頼される。
そう、カミさんは洗濯物を干し終わると夕方19時頃まで外出するというのだ。
Negiccoのライブ、そしてそのあとに続くキケチャレとのコラボライブだけにしておけば17時頃には帰宅できるはずであり、もちろんその場合は、コラボライブが終わった時点で帰宅しなければならなくなり、ということは、せっかくのフェスのプログラムの数々に涙を飲むしかなくなるのだが、参戦を迷っていたくらいだから、まあ、いいか、ということで、カミさんからの頼まれ事を二つ返事で承知した(この二つ返事というのが、個人的にはきわめて重要だと思っている。「それなら仕方ないからフェスの途中で帰ってくるわ」、などという恩着せがましいセリフは一切、自分の胸の内に収めておく)。
12時10分頃、渋谷駅から東急本店へ向かっていると、なにやら雲行きが怪しくなってきた。
天気予報によれば、本日の自宅付近は夕方までは“くもり”マークだけなので降雨の心配はせずにいたのだが、どうやら怪しい気配が漂いだしてきた。
会場付近に到着し、リストバンド交換所にて待ち列なしで赤いバンドが若い女性係員によって自分の左手首に巻かれた。
そこからすぐ先のO-EASTに行ってみると、ビルに寄り添うように待ち列ができており、最後尾の看板を手にしたアルバイトが立っていたので、その位置に並ぶ。
待っている方々は若い、圧倒的に若い。
大学生くらいの若者がほとんど。
中には、カップルで参戦している方々もちらほら。
12時30分過ぎ、列が動き始める。
中に入ると楽曲がすでに流れており、DJやついがすでに開幕している。
O-EASTに入場するのははじめて。
横長なホールでステージが高く、とても見やすいライブハウス。
自分は中央付近にスタンディング。
ステージからさらにひときわ高く作られたDJブースでは、やついいちろうが煽りはじめる。
途中、やついの提案でオーディエンスとやついとのディスりっこをしよう、空気が悪くなりかけたところで楽曲のサビを流すから、それでグッと一体感を出そうという主旨が伝えられる。
「おまえら、ここに何しに来た」、とかなんとか、やつい。
「ふざけんな、金返せよ」とか、思い思いのことで罵るオーディエンス。
「ブス、ブスばっかりじゃあねえか」と、やつい。
「おまえのほうがブスじゃねえか」と、オーディエンス。
これは面白い、そしてサビが流れてきて、見事に醸し出された一体感。
やつい、お見事、さすが、上手い。
これだけでも、わざわざ出向いてきた甲斐があったと思わされた。
やつい神輿?の登場。
ここだけは撮影可だというので、皆、すかさずスマホで撮影。
2組のパフォーマーののち、いつもの出囃子が流れる。
ネギライトがあちこちで輝き出す。
そしてNegiccoの3人が下手の袖から駆け出してくる。
ステージ中央付近で立ち位置を決めると、
『愛、かましたいの』
前回のNegiccoライブはダイバーシティ東京だったから、そのときに比べればはるかにステージが近い。
3人のコンディションがとても良さそう、ダンスにも歌声にもキレと安定感がある。
『トリプル!WONDERLAND』
かえぽの表情がいつにも増して豊かなような気がするのは、先日の「八千代ライブ」におけるムチャぶりの数々を見事に乗り切って、ある種の吹っ切れた感があるからなのだろうか?
MC
Nao☆ちゃん、いつものギャグを敢えて封印気味にしたのは、新規顧客の開拓にいそしんだのか。
たしかに、単独ライブでいつもお見かけするネギヲタさんの姿を、自分はそれほど気がつかなかったから、Negiccoの存在を知ってもらう絶好の機会である。
ぽんちゃが曾我部さんの名前を出したら、Nao☆ちゃんが「スカートの!」と思わず言ってしまったのは、ギャグではなくて単なるNao☆ちゃんの勘違いで、ご愛嬌。
曾我部さんはサニーデイ・サービス、スカートは澤部さん、部・部(べ・べ)ちがいでした。
『さよならMusic』
まさか、この曲でもう終わりということはあるまい。
ぽんちゃのラップ部分、いつ聴いても最高。
うれしすぎて最高。
『恋のシャナナナ』
ネギタオルがあちらこちらで乱立し、旋回。
この曲の歌詞、わかりやすくてライブにうってつけ。
この曲をここにもってくる選曲の確かさ。
『くちびるにメロディ』
一転して聴かせる曲に。
大人なNegicco。
『ともだちがいない!』
この曲は2度目、初見のときはピンとはこなかったが、あらためて聴いてみるととてもよいではありませんか。
自分の、聴く耳のなさを恥じ入る。
アイドルの楽曲というよりも、ロックアーティストのテイストで進んでいく。
Negiccoは、またひとつ楽曲の領域を広げた。
『ねえバーディア』
お約束で定番、そして大団円。
この曲で締めると、会場は充実感と幸せな空気に包まれてしまい、そして満足感がやってくる。
このあとは、引き続きここでキケチャレ姉さんたちのステージを鑑賞。
ただ、気になっていたのは自宅周辺の雲行き。
念のため、スマホで雨雲レーダーの今後の動きをチェックしてみると、自宅近辺は15時頃から濃い雨雲に覆われて降雨に見舞われる予測。
あれ、まあ、これはいけない、せっかく乾いているであろう洗濯物がびしょ濡れになってしまい、カミさんに愚痴られるのは必至。
ということで、今日はこれ切りで終了、自宅にあわててトンボ帰り。
15時過ぎに自宅に到着し、洗濯物の取り込み完了。
結果的には雨が降り出したのは17時頃だったから、キケチャレ姉さんも、Negiccoとのコラボも十分に見ることができたはずなのだったが、こればかりは致し方ない。
それにしても、40分ほどのステージだったが、いやあ、よかった。
Negicco、やはりいい。
3人の表情がとても生き生きしていたのは、MCでぽんちゃが言っていたようにこのフェスに皆勤賞で出演しているという、そのことに由来するホーム感、安心感なのだろうか。
そして、主催者とコラボしているという自信に裏打ちされているからなのだろうか。
でもそれだけではなく、やはり、やついいちろうの人柄が、作用しているのかもしれない。
やついには、周囲の人々を自然と和やかささせてしまうもの、それがフロアにいても感じられる。
それがなければ、2日間で300組近い出演者が参集するはずはない。
やついいちろう、おそるべし。
Negiccoのステージは、初見の方々にもかならずや響いたにちがいない。
また、やついフェス自体も、ライブハウス界隈も、思っていたほどにはグチャグチャ、ゴミゴミしているわけではなかった(そうはいっても、O-EASTしか行けてはいないのだが)。
今年で6回目の開催ということで、試行錯誤の末、運営もずいぶん熟れていた様子。
来年は、カミさんと高校一年生の愚かな息子も誘って、家族で参戦してみたい。
日帰りでどこかに出かけるくらいなら、このフェスに来た方がよっぽど楽しいことはまちがいない。
それは、面白いことに目ざとく敏感な若者、彼らが多数、来場していることで明らか。
彼らだけに味わわせておくのは、あまりにも惜しい。
オジさんが参戦してても、場違い感はまったくないし。
ていうか、みんな、それぞれ、ステージを楽しむことに夢中になっているから。