ぽんちゃの利きカレーコーナー(Megu Birthday Party~ in 渋谷WWW) | 計画をねりねり・・・・・・。

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思いつくままにオッサンが、Negicco、WHY@DOLL(ほわどる)を筆頭とする音楽、そして映画や読書のことなどをゴチャゴチャと。

Megu Birthday Party~ in 渋谷WWW

Megu(通称:ぽんちゃ以下同)、その生誕祭ではご本人が企画したコーナーが多彩に繰り広げられていった。

そのコーナーの3番目が利きカレーコーナーだった。

 

 

 

のっけから自分のことで恐縮だが、どうやら自分は味覚音痴らしい。

先日の残業帰り、晩ごはんを食べるために最寄りの 「松屋」 へ立ち寄った。

ハンバーグ定食の友にビールを飲もうということで、自動のビールサーバーに150円を投入して中ジョッキの生ビールを購入した。

でも、ジョッキの2/3くらいまでしか注がれず、泡立ちもまったくなかった。

まあいいか、そんなこともあるということで飲み始めたのだけれど、なにか妙な味のビール。

う~ん、何かの味に似たビールだったが、結局、わからず仕舞で飲み干してしまった。

帰りがけ、その自動ビールサーバーに目をやると、オーダーボタンが2つあり、その一つはビール、もう一つはハイボールが抽出されるボタンで、どうやらさっき、ハイボールのボタンを押してしまったらしい。

そういえば、妙な味というのは、たしかにウイスキーの味だった。

こんな程度な味覚の持ち主である自分。

そんな自分からしてみれば、カレーの味比べなどというものは、甘口、辛口、キーマ、和風、欧風、インド風、そんな程度であればかろうじて可能かもしれないけれど、お店のカレーを買ってきてそのお店の名前を当てるなどという繊細でなおかつ荒々しい味覚芸はかなりきびしいものになりそうな予感しかなく、さらには巷には多数のカレー屋さんが存在しているわけで、その中からぽんちゃが過去に食べたことのあるカレー屋さんに限定したとしても、そこのカレーの味をぽんちゃどこまで記憶しているのか、それがはなはだ疑わしく思え、ということは利きカレーというこのコーナー自体ムチャな企画であるし、そもそもコーナーが進むにつれて破綻してゆくようにしか思えなかった自分がいた。

 

 

 

 

 

さて、そんな中、ぽんちゃの前口上いわく、

   「スペシャルゲストをお呼びしていま~~~す。」

という一声で俄然場内が盛り上がり、期待感が急速に膨張し破裂寸前に至ったところでひょっこり袖から登場してきたのは、誰あろうNegiccoが所属する事務所の社長、熊倉 維仁氏(くまくらよしひと 通称:熊さん)で、これには期待感が一気にすぼんでしまい、でも一瞬のうちに、まあこれもありかもしれないな、と思わせてしまうのが熊さんのお人柄の成せる技。

 

いつまでも年齢よりもお若く見える熊さんが、やたらにぼくら観客へお辞儀して恐縮しつつ、

   「どうもスミマセン」

   「経費削減で」

とかなんとか。

冗談半分、本気半分のようなセリフをぼやきつつ、そこから繰り広げられるトークは、熊さんオリジナルな世界。

   「もうこの年齢になるとワクワクすることがなくて」

   「みなさんは、ワクワクしたくてNegiccoのライブに来てくださって」

   「でも自分には、ワクワクがないんです」

という、これまたお年寄り特有なボヤキをユーモラスに吐き出しつつ、このコーナーの進行役を勤めてゆく。

脇では、そんな熊さんを暖かく見守っているぽんちゃの立ち姿。

きわめて良い関係であることが一目瞭然な、社長と女性社員。

 

 

下手の袖から運び出されたテーブル。

そこには、それぞれに蓋をされた3つの白いお弁当容器が置かれていて、その前にはA・B・Cという3つのプレートが設置されている。

ここで熊さんが取り出したのは、アイマスク。

そのアイマスクをぽんちゃに着用してもらった上で利きカレーするというのは把握できたのだけれど、どうやら熊さん、アイマスクを手にしたら別のところにスイッチが入ってしまったようで、アイマスクを上下にしてブラジャーに見立ててぽんちゃにちょっかいを出す。

それを嫌がるぽんちゃ。

ここらあたりは、社長が女性社員を下ネタでからかうという、典型的な職場のセクハラ風景を見せてくれ、しかしぽんちゃ絡みであるからこそ、それはそれでかなり貴重な場面だったのだけれど、そんなセクハラ紛いを笑顔で軽くいなしてしまうぽんちゃには、さすがまもなく15年になろうかという両者のこれまでの積み重ねによる信頼があるからこぞ。

 

 

次に、いよいよぽんちゃにアイマスクを着ける熊さんなのだけど、しつこく上下逆さまに着用しようとしてみたりして、ここでもセクハラ紛いを小出しにするのだけど、そうしたくなるのはぽんちゃがそれだけ魅力的なわけで、そんな熊さんの気持ちが手に取るように理解でき、しかしようやく上下を元に戻してぽんちゃの頭の後ろにアイマスクのゴムひもを回し、いよいよアイマスクをぽんちゃの眼にあてがおうとする、でもその前にはまずぽんちゃの前髪をアイマスクがくぐらなければならないわけで、そのとき、ぽんちゃの口から出たひとこと、

   「あっ、前髪、上げないで」

という何気ない、でもぽんちゃにとっては非常に重要なこの言葉には、おしゃれ番長としての自負と妙齢な乙女としての恥じらいとプライドが感じられて、思わずクラクラっときてしまった。

この言葉に続いて、ぽんちゃの至近距離には実際にアイマスクを所定の位置にあてがおうとする熊さんがいるわけで、この作業をする熊さんが正直、羨ましく、さらにはその直後にアイマスクをしたぽんちゃがぼくらの前に出現したとたん、その姿はかなりな背徳感と倒錯感、そして世にもまれな、きわめて希少価値のあるぽんちゃの姿を見てしまっていることが感じられ、それを感じる自分に対してのかすかな嫌悪感と大いなる眼福感の狭間に、しばしの間、揺れていた。

 

さて、アイマスクを施されたぽんちゃを差し置いて、まず熊さんは容器の蓋を取り、丁寧にそれぞれのお弁当容器の下に敷いた。

カレー自体もぽんちゃには見せず、あくまで味覚だけで判断させるかなり過酷な趣向らしい。

そして、Aの容器からスプーンでカレーをひとすくいし、ぽんちゃの口元まで運ぶ。

ここでまたしても、熊さんがら飛び出したセリフは、

「ぼくなんかは食べさせてもらったことはないけど、なんかワクワクするね(目隠ししたぽんちゃにカレーを食べさせる行為は)。」

またもや社長熊倉氏のダークサイドが顔を出してセクハラ社長と化した一瞬だったのだが、でもそれをも、さきほどに続いてやはり羨ましく思えてしまう自分がいた。

Aのカレーを食べて味わい、そして熊さんが差し出したペットボトルのお水で舌をきれいに潤すぽんちゃ。

BとCのカレーも同様にして、3種類とも食べ終わったぽんちゃ。

さて、ここで、たちどころにぽんちゃが出した答え、それは、

   「3番目はココイチカレーっ!」

というものだった。

熊さんからの回答は

   「正解っ!、さすがっ!」

ココイチカレー、自分は一度しか食べたことはないが、これといった特徴を持たないのが特徴か。

その特徴のないところを味覚として保存しておき、その記憶をたちどころに解凍して呼び戻したぽんちゃ。

この瞬間、ぽんちゃが持っている味覚感覚の鋭さとその記憶の正確さを目前に突きつけられ、そして自分はそれにひれ伏すしかなかった。

ぽんちゃ、おそるべし。

 

 

 

 

 

残るは2つ。

まず、Aのカレーを再度、熊さんがぽんちゃに食べさせる。

すると、

「あっ、食べたことあるっ。どこだっけ。あっ、うみねこカレーさんっ!」

またしても正解。

うみねこカレーさん、昨年のぽんちゃ生誕祭では会場内にお店を出展され、ぼくらもそのカレーを味わい、実に美味かった。

でも、そのカレーをいま出されて食べたとして、アイマスクをしていなくても自分には言い当てることができないと断言できる。

驚異の味覚の持ち主、ぽんちゃ。

 

 

 

 

 

ラストのひと皿。

もう一度、ラストのカレーをぽんちゃが味わってみるが、なかなか該当する記憶にまでは至らない様子。

そんなぽんちゃを見かねて、熊さんが

   「渋谷、新宿、池袋、この3つのどこかにあるカレー屋さん」

それでもわからず、

   「池袋ではない」

まだ、わからず、

   「渋谷でもない」

ということで、残された地域は新宿しかない。

新宿という限定されたエリアにおけるカレー味の記憶ファイルを、懸命に探るぽんちゃ。

すると、ようやく該当らしくファイルに行き当ったようで、

   「草枕さん?」

   「正解っ!」

最後は少しだけ難渋したけれど、それでも正解を導き出したぽんちゃ。

まさにカレー番長、ぽんちゃ。

ぽんちゃが主宰する 「CURRY RICE RECORDS」 の名に恥じぬ強者っぷり。

 

 

 

 

 

アイマスクをとって、いつものぽんちゃに戻り、するとぽんちゃは全問正解して満足気な表情。

熊さんからもダークサイドは消え失せ、無事にこのコーナーを終えることができた安堵の顔付き。

自分だけが、ぽんちゃの味覚の鋭さに内心、タジタジだったのである。

当初の自分の予想では、全問不正解であろうというものだったのだけれど、その予想をものの見事に木っ端微塵に粉砕したぽんちゃには、もはや瞠目しかない。

そして、このような味覚の持ち主のぽんちゃが、手料理を作ったとしたらかなりハイレベルなものが出来上がるであろうことは容易に想像でき、そんな手料理を食べることができる方は幸せ者であるにちがいない。

 

 

最後に、3店舗にまでわざわざ足を運び、それぞれのカレーをテイクアウトしてきたスタッフにも敬意と感謝を表したい。

 

 

追伸 

自分にもぽんちゃのような鋭い味覚がほしい、せめて少なくとも、ビールとハイボールの違いがわかる男になりたい。

 

 

(記憶をもとに書いているため、セリフやしぐさや細部などが実際とはちがっているであろうことをご了承ください)